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2019/01/26

米陸軍がトランプに警鐘鳴らす?!

米陸軍がトランプに警鐘鳴らす?!

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 戦友の死を悼む米軍兵士

1 序言
  1月18日付の米軍ご用達紙スターズ&ストライプス(※)は、米陸軍戦争大学によって発表された「イラク戦争における米軍」という研究について非常に示唆に富むコメンタリーを出しています。私が着目したのは、イラク戦争の教訓の分析ながら、現在のトランプ大統領のシリアからの米軍の撤退の方針発表に警鐘を鳴らしていることです。
  この研究では、イラク戦争を経験した米軍人達が反省教訓事項をまとめたものですが、目を引くのは次の内容です。イラク戦争当時、大統領選挙の頃からオバマ大統領が提唱していたイラクからの早期撤収について、少し治安状況に改善が見られた時点でろくに現地の状況も掌握せずに過早に撤退方針の発表をしたことで、じ後にISISの台頭・影響力拡大という大きな混乱の禍根を残しました。研究では、単にその件を指摘しているだけであって、現トランプ大統領のシリアからの撤収方針の発表について全く言及していません。しかし、発表のタイミングから言っても、これはまさに戦場の現実を知る軍人たちのささやかな警鐘ではないか、と思うのです。軍人ですから現行政府の方針に基本的には柔順に従うのみですが、それでも現大統領の決定について控えめながらも「それではイラク戦争の時のオバマ大統領と誤判断と同じ轍を踏襲するのではありませんか?」と指摘しているのではないかと思います。
(※ ”Army Releases Long-Awaited History of War in Iraq” : https://www.military.com/daily-news/2019/01/18/army-releases-long-awaited-history-war-iraq.html )

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  では肝心の研究の内容について概略まとめます。
2 研究が示すイラク戦争における米軍の反省教訓事項
   この研究は、2013年に当時陸軍戦略大学校長であったレイモンド・オディエルノ将軍がこの研究開始を命じ、自身も数回のイラク派遣を経ていたが、同様にイラク戦争を経験した将校たちによって編集され、1000ページにも及ぶ大作となったようです。10年を越えるイラク戦争で、米陸軍は4,000人以上の将兵の命を失いました。失敗と試行錯誤を繰り返しながら、ようやく治安の安定をみていますが、イラクには現在も引き続き基幹要員(2018年8月の段階で5200名)が駐留しています。その反省教訓事項の集大成がこの研究です。
  ポイントは以下の通りです。
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 ① イラク国内のイスラム教宗派間対立、社会的及び政治的な対立軸について、軍指導部がその重要性を十分認識していなかったこと
 ② 政策の範囲での任務遂行に固執するあまり、現地駐留米軍の中に既成概念に捕われない卓越した革新的指導者達が存在していたが、彼らを「処罰」をもって排してしまったこと、(2005~2006年頃の反乱防止作戦(COIN: Counter Insergency Operations)に従事していた旅団レベル・大隊レベルの将校達の中に、将兵達が命を張って作戦を遂行する現場の必要性から、柔軟で革新的に作戦を指導して成果を上げた卓越したリーダーがいた。しかし、軍指導部はこれを「逸脱」と見なし淘汰した。本質的な問題や解決すべき課題に蓋をして、あくまで「政策」の範囲内で淡々と遂行することを是とした。)
 ③ イラクの治安機関や軍隊を再建するための教育訓練支援を実施したが、結果的に機能不十分であり、米軍への依存体質を助長してしまい、この勢力が米国に依存することこそあれ、自国の治安を守る信頼できるに足る存在に育たなかったこと
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 ④ 軍指導部の状況判断は、その当時は合意に基づく合理的判断に思えても、結果的には判断を誤ることが多かったこと、(誤判断に至ったプロセスや背景、組織的・体系的な問題があったのかについて明らかにすることが今後の課題)
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 ⑤ 2007年頃から米軍を増派し、反乱防止に徹底して取り組んだことが逐次に成果を上げ治安が改善しつつあったが、オバマ大統領が突如2011年秋に米軍を撤退する発表をしたことで、結果的に反政府グループ・イスラム過激派を喜ばせ、これまで米軍と連携協調してきた現地の友人たちを見捨て/裏切ることになり、これがISISの勢力拡大を招いたこと、(当時のイラク政府の首班であったマリキ首相の政策が、徒にスンニ派とシーア派の宗派間対立を助長したことも一因となり、イラクは内戦状態に陥り、2014年頃にはISISが主要な勢力にのし上がり、モスルを含む相当規模の支配地域を掌握することを許した。)

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3 オバマ大統領とトランプ大統領の「撤退」発表のアナロジー
  上記の⑤について、私見を少々。
  2011年のオバマ大統領の判断と2018年末のトランプ大統領の判断は、その状況判断に至る背景や理念、及びこれに対する現地の状況がよく似ています。
  まず両大統領とも、本人の元々の理念として、そもそも米国が海外で世界の警察官的な役割を果たすことに対して反対派。この米軍派遣を間違った政策であると信じ、早期の撤退が当然であると確信しています。そして、現地の状況は彼らが知る限り、表面上はかなり治安が回復してきており、当面の敵であった勢力はかなり弱体化している、と認識。国防長官や軍首脳、国務長官や大統領補佐官らと十分な相談はしていないが、彼らに打診したら反対され説得にかかってくることを慮り、敢えてサプライズで自分の考え=早期撤退の方向性を発表してしまう。あたかも勝利宣言。マスコミや世論へのアピール度は高い。一言で言えば「パフォーマンス」。サプライズで大胆なことを発表することの、世間へのインパクトの魅力に取り付かれたのでしょう。
  しかし、・・・しかしながら、それを聞いた現地の派遣部隊はさぞかし驚愕したでしょう。現場はこれまでの現地派遣部隊の日々の努力で安定しつつあっても、現地の治安機関や軍はまだ自立に至らず。「米軍が撤退する」との報に、これまで連携してきた現地の治安機関や軍は落胆し、協力者は命を脅かされ、米国の裏切りに対し義憤に駆られ怨嗟を残し、弱体化しつつあった敵は息を吹き返し、・・・結果的に内戦状態に後戻り、これまでの努力は水泡に帰す。
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  そんなデジャブーが見られることがないように祈ります。
  だからといって、オバマ大統領やトランプ大統領が派遣米軍の早期撤退を望むことが間違っているということではありません。元々、米国の外交・安保・対外政策思想には、建国以来の「isolationism=孤立主義」というのがあります。米国は元々が英国の植民地から始まり、英本国からの税や政策などの束縛を嫌って分離・独立を求め、独立戦争によって血と力で勝ち取った建国でした。当時から、米国はヨーロッパの政治に関わらず、むしろ「孤立」を望む政治風土があります。ただ、その後国力が増し、第一次世界大戦終了時には世界のリーダー的存在となっていました。もはや、孤立ではいられず「世界の警察官」たろうとする考え方と、やはり孤立でよいとする考え方とがありました。大統領という立場では、以前私のブログの「マクナマラの教訓⑲:ジョンソン大統領をどう見るか?(後編)」の中で「Two Presidency Theory」という話を書きましたように、大統領の政治姿勢に二つの系譜があって、内政に力を入れる考え方と、外交・安保に力を入れる考え方があります。前者は孤立主義が淵源であり、後者は大国としての責任から「世界の警察官」たろうとする考え方です。オバマ・トランプ両大統領は、世界のリーダーとしての責任は理解するものの、だからといって遠く離れた見知らぬ国で米国の青年達が無為に犠牲になって行くのは「もう沢山」、もう介入政策を転換すべし、という考え方と言えましょう。ガチガチの「孤立主義」ではないものの、「世界の警察官」政策から転換する時期だ、という考え方と言った方が正確かも知れません。ただし、アメリカ第一主義を標榜するトランプ大統領の場合は、「米国の青年達の犠牲」よりは「米国民の税金の使い道」を「もう沢山」と考えているのでしょうけど。
  撤退にはタイミングがありますから、現地政府、現地派遣軍、国防長官、国務長官、補佐官等、十分に現地の状況、今後の見積もり・計画を検討するプロセスが必要でした。両大統領はそこを経ずに、まず自分の信念で結論を過早に公表したことが問題です。

  サイは既に投げられました。
  シリアをはじめ中東情勢に注視して行きたいと思います。
   (了)
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2019/01/13

続 レーダー照射事案の見方  「韓国のyoutube反論の書き下し」

時事通信社(時事通信映像センター)「韓国が自衛隊哨戒機レーダー照射問題に動画で反論」
( https://www.youtube.com/watch?v=hXJEZSVaWcc )より

ご参考まで、書き下しました。

画面は黒地に韓国語テロップ(じ後は「テ」と略す)
テ: 日本は人道主義的な救助作戦の妨害行為を謝罪し、事実湾曲を直ちに中断せよ!
   - 日本の海上哨戒機の低空威嚇飛行と虚偽主張に対する大韓民国国防部の立場
画面は韓国国防省の旗をバックに報道官がコメント
崔賢洙(チェ・ヒョンス)国防部報道官: 韓日当事者間の速やかな協議を通じて、相互の誤解を払拭させ、国防分野の協力関係発展を模索しようという趣旨で、実務映像会議を開催してから、僅か一日で日本側が映像資料を公開したことについて、深い憂慮と遺憾を表明します。重ねて表明したように、広開土大王艦は正常な救助活動だったほか、我が軍が日本の哨戒機について、追跡レーダー(STIR)を運用しなかったという事実に変わりません。
画面は黒地にテロップ
テ: 大韓民国海軍が問う
   日本の海上自衛隊の目的は何か?
   2018年12月20日15時頃 東海(日本海)海上
画面は韓国海洋警察の撮影映像
(動画の状況:洋上に漂う2隻の漁船?沖に海軍艦艇(広開土大王か?)
テ: 広開土大王は漂流中の遭難船舶に対し、人道的な救助作戦を遂行していた
(動画の状況:沖の海軍艦艇の上空を低高度?で哨戒機が通過(哨戒機に「EP-1」との○表示とテロップ入り)
テ: 人道的な救助作戦が進行中、日本の哨戒機が低高度で進入した。
画面は白地に問題点提起のテロップ: 1.日本の哨戒機はなぜ、人道主義的な救助作戦の現場で低空の威嚇飛行を行ったのか?
画面は海自哨戒機の撮影映像: 
テ: 日本の哨戒機は広開土大王艦の150m上、距離500mまで接近
テ: 艦船の乗員らが騒音と振動を強く感じるほどに威嚇的でした
テ: 日本の公開映像を見ると、哨戒機も救助状況を承知していました
テ: 人道主義的な救助作戦中であった艦艇に、非紳士的な偵察活動を継続し、
   広開土大王艦の人道的な救助作戦を妨害する、深刻な威嚇行為を行いました
テ: 相互に偶発的な衝突が発生する恐れもあるため、
   武装軍用機が他国の軍艦に低空の威嚇飛行をしてはなりません
テ: 日本の哨戒機が我が軍艦上をなぜ低空で威嚇飛行をしたのか?
テ: 日本は回答しなければならない
画面は白地に問題点提起のテロップ: 
テ: 2.日本が国際法を遵守したと主張しているが、果たして事実だろうか?
画面は防衛省がネット上にアップした日本語の「韓国海軍艦による火器管制レーダー照射事案について」
テ: 日本の哨戒機が国際航空法を遵守したことを裏付けるために
テ: 日本の防衛省のHPに掲載した資料を調べると
テ: 国際民間航空協約と日本の航空法の施行規則を引用しました
テ: 当時、哨戒機の飛行高度(150m)は国際法的に問題がないと主張しました
画面は国際民間航空機構の国際民間航空協約の表紙
テ: 資料の出所は国際民間航空機構、国際民間航空協約の付属書2-4
画面は協約の英語条文
テ: 高度150m以下の視界飛行を禁止する条項があります
テ: しかし、付属書の趣旨は国際法的に一般の民航機の運航と
画面は民航機の着陸場面
テ: 安全のための一般飛行規則を定めるためのものです
画面は協約の英語条文
テ: 更に、国際航空機構の国際民間航空協約は
テ: 軍用機に適用しないと明確に規定しています
画面は協約の英文条文を透かしながら黒地
テ: 日本は国際法を恣意的に歪曲して解釈しています
画面は白地に問題点提起のテロップ:
テ: 3.広開土大王艦は日本の哨戒機に向かって射撃統制・追跡レーダー(STIR)を照射しませんでした
画面は洋上の広開土大王の動画
テ: 当時、広開土大王艦は人道主義的なレベルの遭難船舶の救助のため、
テ: 探索レーダーだけを運用しました
画面は海自哨戒機撮影映像を使用した防衛省のユーチューブ映像(洋上に広開土大王と韓国海洋警察救助艇の表示テロップ)
テ: 日本が公開した映像に日本の哨戒機はレーダー電波を探知したと主張しながらも、依然として広開土大王艦の周囲を飛行しました
(画面では哨戒機が広開土大王から10時の方向、約距離5000mであったテロップが出ている)
テ: 日本が公開した映像によると、日本の哨戒機は低空飛行をしながら、
(画面では哨戒機が広開土大王から火器管制レーダーの照射を受けていることを示している)
テ: 広開土大王艦の艦砲が「自らに向いていない」と、
テ: 攻撃意図がないことも確認しました。
テ: もしも広開土大王艦が日本の哨戒機に向かって追跡レーダーを作動していれば、
画面は黒地に変わる
テ: 日本の哨戒機は直ちに回避行動をしなければならない。しかし、広開土大王艦側で再び接近する常識外の行動を見せました
   日本はなぜそうしたのか?回答しなければなりません
画面は白地に問題点提起のテロップ:
テ: 4.日本の哨戒機の通信内容は明確に聞こえませんでした
画面は哨戒機撮影映像
テ: 日本側が試みた通信は雑音がひどく、広開土大王艦ははっきりとは聞こえませんでした
テ: しかも、日本の哨戒機が通信を試みた時は、
テ: 既に救助作戦の上空からかなり外れた後でした。
画面は黒地に変わる
テ: 我が海軍は友邦国の海上哨戒機にいかなる威嚇行為もしていません
テ: もしも日本側が主張する追跡レーダーの証拠(電子波情報)があれば、両国の実務協議で提示すればよいでしょう
テ: 人道主義的な救助活動中だった我が艦艇に向かって、威嚇的な低空飛行をしたことについては、謝罪しなければなりません
テ: 日本はこの事案を政治的に利用せず、実務協議を通じ、事実確認の手続きに入らねばなりません
大韓民国 国防省
2019/01/13

続 レーダー照射事案の見方 「トランプは韓国を見限り在韓米軍撤退もありうる」

続 韓国海軍レーダー照射事案の見方
「トランプは韓国を見限り在韓米軍撤退もありうる」

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1 前言: 結論から言うと、
 ① 今回の韓国のレーダー照射事案及び反論、徴用工問題等を通じ、韓国は国家としての無責任さを露呈し、同盟国の信頼を崩した。
 ② 米国トランプ大統領は、在韓米軍基地の負担をめぐる交渉等で不協和音もあり、韓国を見限り、在韓米軍の大幅な縮小ないし「撤退」もありうる。
 ③ もはや、①も②も体を張って諫めたであろうマティス国防長官も辞任。安保政策はボルトン補佐官が握り、米国の狭義の死活的国益以外には米軍や血税を費やさない方向へ。
 ④ 東アジアだけの話ではなく、米軍のシリアからの撤退などにより、力の空白を巡って中東情勢は荒れ、国際情勢も大きく動く1年に。
 ⑤ じ後、朝鮮半島は中国の影響下で南北1国2制度的な融合を試み、やがて上手く行かなくなろう。しかし日本は朝鮮半島に妥協せず、援助せず、関わらないことが得策。

 あまりこの手の興味本位的な荒れる予想はしたありませんが、年末の確信犯的なトランプ大統領のマティス国防長官離任劇と今回の韓国の国家の体を為さない状況により、これは今まで現実路線で温厚な大人の対応策が適切と思ってきましたが、もはや、これまでと違う異次元の国際情勢になることも想定し、日本も相当の腹をくくった対応が必要、と考えを改めました。
 まず、事実関係から整理してみましょう。

2 事実関係の整理
 - 12月20日(木) 午後3時頃、能登半島沖において、韓国海軍「クァンゲト・デワン(広開土大王)」級駆逐艦から、哨戒中の海上自衛隊のP-1(厚木)が、火器管制レーダーを照射された。防衛省は21日に岩屋毅防衛大臣が記者会見にて公表し抗議。
 - 12月22日(土)  防衛省は詳細に分析した上で見解を発表。韓国側は、当初、「遭難した北鮮漁船の捜索活動中に装備する全てのレーダーを使用、その覆域にP-1が入ったので意図的に非ず、偶然の出来事。」と説明。じ後、
 - 12月23日(日)  河野外務大臣は「(関係改善のため)政府一丸となった対応を」と韓国に要望。
 - 12月24日(月) 金杉外務省アジア大洋州局長が訪韓し、韓国外交部にて遺憾の意を表するとともに協議。この際、韓国側は「火器管制レーダーは照射していない。」と訂正。
 - 12月28日(金) 防衛省はP-1機の撮影映像を公表。
 - 明けて平成31年1月2日(水) 韓国国防部は、当時海自P-1機が韓国側に対し「威嚇的な低空飛行」をした、として謝罪を要求。‬
 - 1月4日(金) 韓国国防部がyoutubeにて韓国側映像と防衛省映像を使用した反論映像を公表。
 (※ 映像そのものはyoutube上にいろいろ出ていますのでご随意にご覧ください)
 (※ 時事通信社の日本語訳version(https://www.youtube.com/watch?v=hXJEZSVaWcc) 
の書き下し資料を別途upしましたので、ご参考まで)

3 韓国側の反論
 ① 日本の哨戒機はなぜ、人道主義的な救助作戦の現場で低空威脅飛行をしたのか? 
  (「150メートル上空、距離500メートルまで接近した」、「武装軍用機が他国の軍艦に低空威脅飛行をしてはいけない」と主張)。
 ② 日本が国際法を遵守したと主張するのは果たして事実か?
  (国際民間航空協約と日本の航空法の施行規則を引用し、p-1機の飛行高度(150m)は国際法的に問題がないと主張したが、国際民間航空機構(ICAO)国際民間航空協約付属書(Annex)2-4。高度150メートル以下の視界飛行を禁止する条項あり。また、国際民間航空機構(ICAO)の国際民間航空協約は、軍用機には適用しないと明確に規定。「日本は国際法を恣意的に歪曲し解釈している」と主張。)
 ③ 広開土大王はP-1機に向け射撃統制追跡レーダー(STIR)を照射していない。
  (広開土大王は人道主義的な遭難船救助のため、探索レーダーだけを運用。火器管制レーダーを照射されたと言いながら、P-1機は依然韓国艦の周囲を飛行。P-1機は、広開土大王の武装(艦砲)が「こちらを向いていない」こと、攻撃の意図がないことを確認したではないか。「本当にレーダー照射を受けたなら回避行動をとっているはず」と主張。)
 ④ 日本の哨戒機の通信内容は明確に聞こえなかった。
  (「日本側からの通信は雑音がひどく明確に聞こえず。」と主張。
最新の状況(1月8日)では海自側の英語がヘタで分からず、とまで主張。)
「万一、日本側が主張する追跡レーダーの証拠資料(電磁波情報)があるならば、
両国間の実務協議で提示すれば済む。実務協議を通じ、事実確認の手続きに入るべし」と主張。

 - 「総じて、人道主義的な救助活動中だったわが艦艇に向けて、威脅的な低空飛行を行ったことに対し、謝罪せよ」と主張。

4 韓国側の反論の評価
(1)韓国の反論の分析・評価
  ①② 低空威嚇飛行はあったのか?国際法を遵守していなかったのか?
    韓国の主張は「海自P-1が上空150m、距離500mまで接近・威圧低空飛行をした」ということを前提にしていますが、150mというのは韓国の主張であって、韓国側映像(あれが実映像であったとしても)を見ても150mではないのは明らかです。どこにもP-1機が低空威圧飛行をしたという根拠はありません。レーダー照射から焦点をずらす問題のすり替えですね。国際法に合致した行動かどうかの指摘も同じこと。日本側は「150mは国際法上OKなのだ」なんて主張していませんよ。日本側は、海自P-1の行動は全て合規適切なものであったと、当たり前の行動をしたのだと表現しただけであって、韓国側の反論は支離滅裂です。
  ③ 広開土大王はレーダー照射を本当にしていないか?
    これは、韓国は当初に一回是認したくせに後に否定し、「していない」と頑強に主張しています。海自P-1機は、防衛省側映像の中にも機内の会話が明確に残っていますが、「データ取れたか?」「はい、取れてます。」との会話があるように、明確にレーダーの解析情報を持っています。レーダーの解析情報が出たとしても、韓国はしらばっくれるかも知れませんが、もはや日米海軍からの信頼を100%失っています。これまで大人の対応として、追い詰めないように心掛け、逃げ道を用意して置いたのに。なぜ韓国がこれを認めようとしないのか?正気の沙汰じゃありません。
  ④ P-1機からの通信が聞こえなかった?
    海自P-1は、VHF緊急周波数(121.5MHz)、国際VHF(156.8MHz)、UHF緊急周波数(243.0MHz)で2回ずつの合計6回も、波を変えて何度も海自側は通信を試みています。いずれも国際的な緊急連絡用周波数で、VHF緊急周波数(121.5MHz)及びUHF緊急周波数(243.0MHz)は国際的に対領空侵犯スクランブルの際も相手方に通話するときに使うものであり、韓国海軍艦艇がこれを良好な感度で傍受していなければいけません。あの距離で雑音が大きくて聞こえなかった?あり得ない。国際VHF(156.8MHz)も広く民間船舶も使っている16チャネルの遭難安全呼び出し周波数であり、遭難した北朝鮮の船舶との間の通信にも使っていたはずです。これに対し、一切の応答はありませんでした。広開土大王にも聞こえていたはずです。こんな軍隊はありませんよ。軍人として、韓国海軍の軍人たちは、反論が適切でないことが分かっていると思います。おそらくは、韓国政府の横槍が入って、国家の政策としてあの反論を出しているのでしょう。韓国海軍の軍人としては忸怩たる思いがあると思います。
  何度も言いますが、海自側は間違いなく火器管制レーダーを照射されたエビデンスを持ってますから、米軍のもう知っているし、これは後で恥をかくだけです。まさに正気の沙汰ではないのです。前述3項の④の赤字部分をご覧ください、彼らもデータとられていることを知っていて、それは実務者協議の場で出せ、すなわち密室で話し合おう、と甘ったれたことを言ってますね。それはあまりに無責任。国家として、説明しなければいけないことは相手国にも、自分の国民にもしなければならない。ただだだをこねて相手が甘えを許してくれることを待っているとしか思えません。

(2)問題の本質  
  なぜレーダ照射が起きたのか?
  以前もお話ししたように、考えられる原因は次の3点です。
  ① 韓国海軍の現場のモラルハザードによる反日感情の勇み足
    文政権下で軍の規律が緩み、反日感情の発露として、あくまで現場の勝手な判断で勇み足が起きたのではないか、という案です。
  ② 韓国政府の意図的な対日挑発
    時あたかも徴用工の日本企業に対する賠償命令判決で緊張する日韓。更に地味ながら、日韓の漁業交渉も進捗せず。対日対決姿勢を政権安定施策としているため、少し危険ながら上の指示で火器管制レーダー照射が起きたのではないか、という案です。
  ③ 南北の瀬どりを秘匿するための緊急避難
    米国と北朝鮮の交渉が行き詰まる中、実は南北が協調しており、北朝鮮には輸出できない禁制品目を南北がこの海域で漁業を装って「瀬どり」(洋上で密輸)しており、そこを哨戒するP-1に対し「瀬どり」を秘匿するため、緊急避難的に強制排除のために火器管制レーダーを使ったのではないか、という案です。

  一番公算が高いと思うのは、①です。
  最近、元統合幕僚学校長の伊藤元海将も③の瀬どり説を口にしますが、伊藤さん、違いますって。そんなやばいことを、なぜわざわざ海自にパトロール(哨戒)されるかもしれないのに、日本のEEZ内の国際的漁場大和堆でやるのか?ってことが信ぴょう性を落とします。南北朝鮮で戦略物資を密輸するならもっと彼らの沿岸でやればいい。②の政府が確信犯でやらせていたとしたら、そんな無責任な国は益々もって見限るべきです。しかし②の案だと、韓国政府は無責任すぎますよね。そこまでバカじゃないと思いますが・・・。
大和堆
大和堆 (12月16日の産経のツイート https://twitter.com/Sankei_news/status/1074243219821518848 より)

背景としては、やはり「大和堆」ですよ。今回の現場は、「能登半島沖」とか日本のEEZ内とか言われていますが、実は「大和堆(ヤマトタイ)」と呼ばれる天然の良好な漁場です。ここで日韓北鮮ともに漁をしたがります。しかし、日本のEEZ内ですが、竹島の領有を主張する韓国・北鮮は、自らの権利を主張。基本的には、日韓の漁業協定でルールを決めていますが、日本は守っているのに南北ともに守らない。協定では、自国が自国の漁船に守らせる約束ですが、自国漁船を取らせ放題にしつつ、日本船を締め出そうとする。魚種によって資源保護のために取る時期や大きさを決めているのに、守っている日本漁船がバカを見る形になっています。違法操業の南北漁船に対し、海上保安庁が警告を発します。今回の事案の数日前にも密漁して逃げて遭難した韓国船を日本漁船が救助しています。最近は、韓国船は韓国海軍の艦船を近傍に伴ってこの漁場に来ることが続いています。10月には、韓国海洋警察が日本の漁船にこの漁場から出ていけと言われ、日本政府が抗議するという事案がありました。北朝鮮の漁船の遭難もあったのかもしれませんが、まさに日韓鮮の漁の戦場なので、愛国心から反日感情の発露が出る背景がここにはあると言えましょう。日韓漁業交渉はずっと暗礁に乗り上げています。大和堆は、そんな場所なのです。
  こんなシナリオがあったのではないでしょうか。
  今日もまた韓国漁船のエスコートで大和堆に来た。この海域は憎き日本の海上保安庁の巡視艇や海自の哨戒機P-1が飛んでくるので油断がならない。何、北鮮漁船が遭難?仕方ない、捜索活動だ。あっ!奴が来やがった、厄介にも海自P-1に嗅ぎ付けられ、つぶさに写真撮られたり上空を旋回したり、・・・。うるせぇなコノヤロウ、ここは韓国のEEZ内なんだよ!って、ついカッとなって本来の手続きを経ずに上空を旋回する海自P-1に対して火器管制レーダーを照射する者がいた。無線で海自から意図を聞かれた。艦内は騒然。艦長が状況を確認。何?レーダー照射した者がいた、だって?バカな部下が勝手なことをしおって・・・。しかし、何度もかかって来る無線には回答せずにやり過ごしてしまった、・・・。帰国したら大変な事態になっていた、国防部に調べられた、このことは一切話すなと念を押された、報道を見るともはや自分たちの手を離れて、政府が勝手に反論している・・・。
 そんなのが実体ではないかと思います。

5 米国はこれをどう見るか?
(1)韓国を見限る可能性も
  今回の件は、間違いなく防衛省・海自は米国防省・米海軍とツーカーに情報交換しています。通常であれば、実務者協議の中で米国が仲介となり証拠を確認させた上で韓国側が日本側に謝罪する形で、他方、公表上は「実務者協議で相互に誤解があったことが確認でき、今後の同種事案再発防止の枠組みが構築された」、という具合に韓国のメンツを一応保った形でシャンシャンのはずです。ところが、その役割を身を挺してやってくれる存在だったマティス国防長官はもういません。本人は辞任に際し2月までは残務整理すると言ったのに、トランプ大統領が腹いせに12月末で離任させ、代理に替えやがったのが残念でなりません。せめて2月までその任にあれば・・・。国防省や米海軍は現実路線ですが、トランプ大統領がそうは考えない、どう考えるのかがポイントです。
Mattis_Centcom_2009.jpg
 返す返すも残念なマティス国防長官の辞任(現役時代の雄姿)

  懸念事項として、トランプ大統領は韓国文大統領に信を置いていません。対北朝鮮でも、対中国でも、そして米国との在韓米軍駐留経費をめぐる交渉も、韓国政府の対応は「同盟国」としての信頼関係は危うくするものがあります。そして今回のレーダー照射事案。これが決定打とは言いませんが、むしろトランプ大統領の元々の持論である「もはや米国は世界の警察官ではないのだ。米国の努力を評価してくれない者のために、なぜ米国は軍を駐留させ米国の税金を費やす必要があるのか?本来努力すべき者が自ら努力すべきだ。」という信念が鎌首を持ち上げてくるでしょう。これがゆえにシリアやアフガンからの撤退を突然公表し、マティス国防長官を斬った訳ですから。すなわち、論理的帰結として、在韓米軍の撤退ないし大幅な縮小は十分あり得ます。ある専門家は、米朝首脳会談の際に両首脳間で在韓米軍撤退について、核を放棄することを条件に密約したのではないか、と推察しています。ウーム、トランプ大統領ならさもありなん。
  私は、今まで「在韓米軍撤退などありえない」と思っていました。米国は懐が深い国なので、いかに大統領が自らの持論があろうが、それまでの国際的な信頼関係や同盟関係を崩さずに、大統領の望む方向性があったとしても軟着陸させるよう、必ず優秀にして深謀遠慮するスタッフが「殿!」とばかりご注進を申し上げてソフトにかつ現実的に対応してきました。しかし、トランプ大統領の周りにはもはやイエスマンしかいない状況です。常識・良識のある大統領であればありえないことも、トランプの場合は例外的にありえる。そう思えてきました。
  本来、在韓米軍撤退を思い止どまらせる一番のポイントは、「韓国という同盟国、友好国、そして民主主義国家としての価値観を共有する国を、みすみす中国の影響下に渡してしまうことになるのは、米国の死活的な国益を損じることになる」という論理です。しかし、トランプはおそらくそうは思っていないようです。 
  在韓米軍の撤退となると、東アジアの国際情勢は大きく動きます。漁夫の利を得るのは中国。在韓米軍という喉元に刺のような存在が労せずしてなくなるのですから。在韓米軍の撤退により、当然力の空白が生じます。歴史的にもそうでしたが、中国が南北朝鮮の後見になるでしょう。中国は朝鮮半島を我が物にしようとは思わず、むしろ戦略的バッファゾーンとして、統一朝鮮より中国の強い影響下で南北が1国2制度として成り立った方がいいでしょう。南北朝鮮もそれを望むでしょう。
  それは中国にとってラッキーなことでしょうけど、米国にとって中国の思い通りでそれのどこがいいの?ここについては、南北朝鮮を強い影響下にいれることで、中国は更に強大になるのか?当初はそうでしょう。朝鮮民族の悲願の達成をプロデュースすることで、中国は非常に盛り上がり、世界的評価も高く、ノーベル平和賞を取るかもしれません。しかし、長くはもちません。それは南北朝鮮が結局は不良債権だからです。韓国と北朝鮮の経済のギャップは雲泥の差、一応2制度であっても南北の国民達はお互いの実態を知り、特に北の国民達は止められても南に流入しようとするでしょう。南側は流入してくる北の人々への対応負担や富が北に費やされることに不満を持ちます。北の政府は弾圧の嵐、南側は統一すべきではなかったのだという政争で満ち、国内不満・矛盾は混迷に向かうでしょう。この南北を後見人として面倒を見る中国も厄介な内憂?(外患?)を抱えることになります。ただ、そういう時って、不満を忘れさせる統一の敵に対する敵愾心・愛国心でまとまるんですよ。気が付いたでしょ。中国はまた「日本」を共通の敵とするって手を使ってしのごうとするでしょうね。それはそれで厄介ですけど。すみません、脱線しました。米国にとっての話でしたね。米国にとって、在韓米軍の撤退によって、当初は中国に短期的優勢を譲るように見えて、実は徐々に不良債権を抱える中国の力が落ちていくだろうと、不動産屋のトランプは読んでいるのではないかと思います。だから、在韓米軍撤退したっていいのだ、と確信犯になれるんですよ。
  在韓米軍の撤退は、日本にとっては望ましいことではないです。米国は在韓米軍を撤退しても、アジア太平洋地域での影響力は変わらずに維持したいと希望するでしょうから、在韓米軍の撤退ゆえに在日米軍への任務負担が高まり、トランプは駐留国としてのホストネーションサポートは今まで以上を要求するでしょう。また、日本の自衛隊への任務分担も当然増え、質実共の増強を求められるのではないでしょうか。具体的には、北からオホーツク海、日本海、東シナ海、状況により南シナ海までの海上、航空の哨戒(対ロシア、対中国、対北朝鮮、+対韓国)はこれまで米軍がやってきた分の応分の負担が要求されると思います。在韓米軍の撤退はあっても、日本の戦略的な位置、日米経済の強力な結び付きから言って、米国にとっての「死活的国益」であるがゆえに「在日米軍の撤退はない」と言えると思います。

(2)中東をはじめ国際情勢も激動する可能性
  もともとは、韓国のレーダー照射問題などローカルな小さい話題であって、これそのものが大きなインパクトを持つものではありません。むしろ、トランプ大統領のシリア・アフガンからの米軍撤退を始めること自体が大きなインパクトを持ちます。実行上は段階的に進めることになるでしょうが、シリアから米軍がいなくなると大きな力の空白が生じます。カギはトルコとロシアとアサド政権が握ります。
  この際のワイルドカードはクルド勢力です。クルドの人々はトルコ・シリア・イラクの国境地帯に広く分布して、自分の国を持てずそれぞれの国から抑圧されてきました。今回のシリアのIS勢力との戦いでは、米軍が協力関係にあり、本当によく戦いました。よって米軍が退くと一番困るのはシリア民主軍と称するクルド勢力です。マティス国防長官がトランプ大統領に伝えた最後のご注進も、まさに「友好、同盟、信頼」の問題です。クルド勢力はさぞや米国を「俺達を利用し、裏切った」として恨むことでしょう。過去同じようなことがありました。ソ連のアフガニスタン進攻の際、アフガンの抵抗勢力だったタリバンを支援し、戦う集団に育てたのは米国でした。タリバンを支援し武器を与え、当時のソ連を往時のベトナム戦争のような泥沼に引きずり込みました。そして利用したあげく支援を辞めタリバンを見殺しにしたのです。タリバンは山岳地域で頑強に生き残り、ソ連がアフガンを去った後、アフガン全体を握り、やがて米国に牙を剥きました。マティス国防長官が懸念した「友好、同盟、信頼」が、やがて再び米国に牙を剥くことも考えられます。
  トルコにとってはまさに、思わぬ棚からボタ餅。トルコ国内のクルド勢力はトルコにとって反政府勢力PKK=テロリストという位置付けですから獅子身中の虫、この際撲滅したい存在です。これまで米軍がクルド勢力と行動を共にしていたため攻撃することができませんでしたが、米軍が去れば殲滅するかも知れません。ある専門家の方は、カショーギ氏暗殺問題の真相録音を持っているトルコのエルドアン大統領と、サウジアラビア王室を瓦解させたくないトランプ大統領との間で密約があったのでは、と指摘します。
  シリア政府にとってもこんなラッキーなことはありません。目の上のタンコブだった米軍が労せずに退いてくれるなんて、願ってもないこと。既に憎きクルド勢力がシリアの北部の一部を既に自治していますから、トルコと挟撃して面倒なクルド人勢力の掃討作戦をするかもしれません。その際に、陰に日向にシリアをバックアップするのがロシアでしょう。米国にプレゼントされたようなものです。米国はなぜロシアを利するようなことをするのでしょうか?恐らくそれは、米国が憎んでやまないイランが力の空白に入ってくるのを抑えられえるのはロシアしかおらず、ロシアの方がましだという考えなのではないでしょうか。これまた、プーチンとトランプが握っているのではないのかと、私は疑っています。マティス氏にはクルドを裏切り、トルコを助け、仇敵ロシアを利する、それが危なっかしく見えてしょうがなかったのではないでしょうか?しかし、不動産屋トランプには、今やGDPではロシアの8倍もある中国の方が強敵であって、ロシアをそれ程の敵だとは思っていないのかもしれません。
  シリアからの米軍撤退は、実質的にはさすがに段階的に縮小するのでしょうけれど、シリアの内戦は様相を変えてクルド一掃になりそうですから、中東は今後荒れることになりそうです。結局中東からの難民は今まで以上になるかも。
 
6 結びに代えて
 他方、日本と韓国・北朝鮮との関係ですが、これまでそうであったように、常識・良識のある対応としては、現実路線で良好な関係を維持するよう努め、丁寧に実務者間協議を重ね、援助をしつつ日本の言い分を理解させ、win-winを標榜するのが定石ですが・・・。これまで想定しなかったようなことが現実化する時代なので、頭を柔らかく保って考えて見ると、古田博司筑波大大学院教授の「反韓三原則」=(韓国に対して)助けない、教えない、関わらない、というユニークな意見に妙に納得するところがありました。この意見を読むまでは、今後の対韓国の対応のあり方は是々非々かな、と思っていましたが、読んでみてつくづく古田氏の意見に納得。こういう対応もこれまでにない有力な一案だと考えました。非常に参考になるので、ご興味ある方は是非ご一読をお勧めします。(参照: 「韓国を助けるな、教えるな、関わるな: 古田博司氏に聞く「東アジア3ケ国との付き合い方」 (JBpress 2015.4.6 井本省吾) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43424 )
 この韓国と袂を分かつという意見は、一見過激な右翼的・嫌韓的な感情論的反韓論のようで、実は歴史的考察に基づく味わい深い議論でした。古代からの中国と朝鮮半島の関係、そして近世の日本の朝鮮半島への政策、等の歴史が示す教訓であり、その洞察の深さに読む前の偏見が吹き飛びました。また、在韓米軍撤退後の中国の影響下の南北朝鮮の融合についての考え方が、ほぼ同じ。私の考えは我ながらかなり変わっていると思うのですが、同じように考えている人がいた、というのはまさに驚き。
 (了)

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