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2019/03/31

電磁スペクトラム戦能力を早急に向上せよ!

クリミアの二の舞を避けよ! 電磁スペクトラム戦能力を早急に向上せよ!

CBS news Ukraine mobilizes as Russian troops control Crimea
「Ukraine mobilizes as Russian troops control Crimea」CBS News より
( https://www.cbsnews.com/video/ukraine-mobilizes-as-russian-troops-control-crimea/ )


 前回のサイバー戦の脅威とこれへの対応の話の続編として、今回は電磁スペクトラムの脅威について考えてみたいと思います。以前は「電子戦」と呼ばれ、主として敵の通信機器に電波障害を起こさせる攻防でしたが、今や通信機にとどまらず各種装備が高度にシステム化・ネットワーク化するとともにUAVやら人工衛星まで広範多岐に亘る時代。電磁スペクトル戦とは、電子戦のみならず、それらの装備を無効化してしまう幅広い電磁波の幅域を駆使した作戦です。いわゆる電磁パルス(EMP)も電磁スペクトラム戦の一部です。今やこの電磁スペクトラム戦が脅威になってきました。しかも、電磁スペクトラム戦がサイバー戦とコンビで駆使されれば、開戦劈頭にして我の指揮通信やシステム化・ネットワーク化した装備がダウンしてしまう悪夢のようなブラックアウトが正夢になるかもしれません。

<ポイント>
① ロシアは電磁スペクトラム戦とサイバー戦でクリミアを無血併合
② ロシアの電磁スペクトラム戦能力の高さに米国が劣勢を自覚
③ 対応策は急務。サイバーや他の陸海空宇宙の領域と合わせて一本で対抗すべし。これがマルチドメインオペレーション。

1 ロシアは電磁スペクトラム戦とサイバー戦でクリミアを無血併合
  2014年、ウクライナのクリミアをめぐる不穏な情勢に世界の耳目が集中した。前年、親ロ派のヤヌコヴィッチ大統領が親西欧の国民の支持が得られず。親西欧の暫定政府ができ、ヤヌコヴィッチはロシアに逃亡。しかし、ロシア系住民の多いウクライナ東部やクリミアでは、元々ロシアへの併合を望む市民も多く、クリミア自治州はロシアに支援された民兵が州を閉鎖して、州議会でウクライナからの独立した共和国を宣言。ロシアは支援を表明。他方、ウクライナ暫定政権はこれを認めず。世界的な非難と注目がクリミアに集まった。リトルグリーンメンと名乗る民兵集団もロシア正規軍ではないかとの疑念もあり、ウクライナ国軍との衝突も懸念された。特に、クリミアは黒海の不凍の軍港としてロシアにとって死活的国益。歴史的にも、ロシアは容易にクリミアを手放さない。

  2月下旬、クリミアでついに軍事行動。この際、勢力で劣勢の親ロ民兵は優勢なウクライナ国軍に対し、企図を秘匿した迅速な行動と敵に対する正確な砲兵射撃により、軍事的には電撃的圧勝。ウクライナ軍の指揮通信が妨害され統制の取れた行動が取れず、敵の行動に対する情報収集は偽情報に混乱され、他方ウクライナ軍の行動は全て敵に掌握され、正確な砲兵射撃が襲ってくる状況だった。

  これを可能にしたのが、ロシア軍の電磁スペクトラム戦とサイバー戦のバックアップだった。ロシア軍は、ウクライナ軍の指揮通信システムやネットワークを狙い撃ちで電波妨害、米軍からウクライナ軍に供与された高度にシステム化・ネットワーク化された装備を役立たずにせしめた。ウクライナ軍の情報収集手段、UAV、レーダー、センサー、ミサイル誘導や衛星からのGPSなどを機能させず、ハッキングにより乗っ取るなど、ウクライナ軍に親ロシア民兵側の情報を取られずにむしろ偽情報で撹乱し、砲兵射撃やミサイルも誤作動や誤目標に弾着させた。他方、親ロ民兵やロシア軍の行動は秘匿しつつ、ウクライナ軍の行動はロシアから供与されたUAVが正確に位置を把握して効果甚大な射撃をした。これにより、敵味方ともに少ない損害で電撃的な勝利を得たのだ。ウクライナ東部でも同様の戦闘を展開。東部戦線では損害がかなり出た模様だが、軍事的には親ロ民兵側が勝利。結果的に、世界から非難される中、プーチンは不退転の意志を示し、既成事実としてクリミア及びウクライナ東部をロシアに併合した。(経緯はかなりザックリとまとめたので、あまり正確でない。ご容赦を。)

 ちなみに、前述したようなロシアの電磁スペクトラム戦(電子戦)の装備の細部の性能などは割愛するが、次の記事にロシアが発表したベスト5の装備が紹介されているので参考にされたい。 「Blind & conquer: Top 5 Russian radio electronic warfare systems」Russia Beyond 2015年2月16日付 ( https://www.rbth.com/economics/2015/02/16/blind_and_conquer_top_5_russian_radio_electronic_warfare_systems_41393#__scoop_post=31803c40-b63f-11e4-93b2-842b2b775358&__scoop_topic=3973209 )
スクリーンショット (2)
Krasukha-2(クラスカ-2)(Source: Press Photo 「Blind & conquer: Top 5 Russian radio electronic warfare systems」Russia Beyond 2015年2月16日付 より)

2 ロシアの電磁スペクトラム戦能力の高さに米国が劣勢を自覚
  クリミア及び東部の戦闘後も両者は睨み合いを続けたが、ウクライナ軍も戦闘の細部を分析検討し、米軍と情報共有した。そこで米軍が学んだことは、ロシア軍の電磁スペクトラム戦の分野におけるソフト・ハード両面の先進性は米軍を遥かに凌駕しており、もし両軍戦わば、米軍ですらウクライナ軍と同様に、ロシアの電磁スペクトラム戦とサイバー戦という非物理的攻撃及び物理的攻撃もハイテクからローテクまでハイローミックスでチャンポン攻撃をしかけてくることには、なすすべなく圧倒される、という現実だった。一つには、米軍はこの十数年の間、正規軍の強敵と対峙していないので、自軍の装備のシステムやネットワークに自信を持ちすぎて、よもや調子が悪いとか妨害で機能しないとか、そんな状況下を経験したり訓練したりしてこなかったために「対応ができない」、という状況なのだ。在欧州米陸軍司令官ホッジス中将は、このロシアの電磁スペクトラム分野の先進性を「涙が出る(eye-watering)」と表現したという。(ご参考まで 「Electronic Warfare: What US Army Can Learn From Ukraine (By: Joe Gould)」Defense News 2015年8月2日付( https://www.defensenews.com/home/2015/08/02/electronic-warfare-what-us-army-can-learn-from-ukraine/ ))

  米軍は、10数年に及ぶイラク・アフガン戦争やISIS等との非対象戦を戦ったがゆえに、強力な正規軍との戦闘を念頭に置いた装備体系、特に電磁スペクトラムのような分野は軍事予算の制約から後回しになった。当時、米軍兵の命を脅かせていた路上の即製爆弾IEDへの対応が目の前の問題であったため、対IEDの妨害電波発信機などは充実した。しかし、この空白の10数年の差は甚大だった。ロシアはこの間に、電磁スペクトラム戦分野で世界最高峰を独走し、サイバー戦とのコンビネーションの分野でも大きく水を開けられた。オバマ政権下では国防予算が厳しく制約されたが、トランプ政権になってやっと危機感を聞き入れてくれるようになったらしく、マルチドメインオペレーションの名の下に、今後急速に差を縮める努力をするであろう。その意味では、トランプ政権を少しだけ評価する。

3 日本も対応策を!(サイバーなど他の分野とともに多次元統合防衛力で挽回を!)
  これは決して他人事ではない。ロシア同様、中国の電磁スペクトラム戦分野での先進性も日本にとって脅威。この分野では、自衛隊は未だ従来の「電子戦」の域を出ていない。勿論、列国の軍事的趨勢を踏まえてキャッチアップすべく整備しているが、電磁スペクトラムのフルな幅域を駆使した電磁スペクトラム戦という観点では、ロシアや中国の充実ぶりに比して大きく後れを取っている。しかも、敵はサイバー戦とのコンビネーションでえげつない攻撃をしてくると思われる。自衛隊も今やシステム化・ネットワーク化している上に、既述の米軍の立ち遅れの話と同様、隊員たちは電子戦下の対応に習熟する訓練をしていない。いざ有事となれば、無線による指示信号を妨害されたり、無線やサイバー攻撃で自衛隊のシステムに入り込まれてダウンさせられたり、・・・ウクライナ軍の二の舞いは十分に想定しておかねばならない。よって、努めて早期にこの差を挽回しなければならない。
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陸自のネットワーク電子戦システム

  現在陸上幕僚監部の指揮通信システム・情報部長 廣恵将補は通信学校長時代から「電磁スペクトラム戦は喫緊の課題である」との問題意識を熱心に発信しており、筆者も注目していた。さぞや頭の固い陸幕防衛部や防衛省内局にもPRしたことと思う。結果的に、多次元統合防衛力の概念の説明や図の中に、明確に電磁スペクトラムを盛り込んでいるのを見て、よくぞ盛り込んだ!と驚きを禁じ得ない。米軍すらマルチドメインオペレーションの概念図に電磁スペクトラムは入れていない。米軍は、Cyber and Electro-Magnetic Activities (CEMA)という作戦概念なのでサイバーの領域(ドメイン)に含めていると考えられる。陸海空という従来の軍事作戦の領域、宇宙という新領域、これら物質的領域に加え非物質的なサイバーと電磁スペクトラムの領域、という理解のようだ。米軍は電磁スペクトラムは明示的に強調していないので、これの日本版を新概念として説明する際に、ともすればサイバーしか語らない形も十分あり得た。それを明示的に、「電磁スペクトラム」をわざわざサイバーと別の領域という形で強調したのだ。これは画期的と言える。地味な玄人ネタながら、筆者としてはこれを高く評価したい。
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  電磁スペクトラム戦を新防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画に入れ込むことができたが、さてこれからが勝負。これから中期的に整備されるであろう電磁スペクトラム戦の装備はただのハードウェアであって、今後これら装備を駆使して、他の陸海空宇宙等の領域(ドメイン)と統合作戦により防衛力として「使える」ものにしていくソフトウェアも整備していかねばならない。現役諸兄の健闘に期待する。
  その際にネックとなるのが、またしても専守防衛の呪縛であろう。防御的な作戦行動は問題ないが、攻撃的となると・・・。恐らく電磁スペクトラムの領域においても、物質的損害を相手に与えるものでないが、サイバーと同様に問題になるのではなかろうか。
  結局のところ、前回のサイバー戦で述べたように、まず自ら防御はガッチリと固めた基盤の下、米軍との相互運用性を発揮した密接な日米共同作戦で「共同対処」する中で、攻撃部分は米軍に期待する、ということではなかろうか。当然、自衛隊が自らすべき部分、できる部分は頑強に責任を果たし、かつ、米軍の作戦を容易たらしめる支援をするのは言うまでもない。その上で、ロシア・中国を凌駕するまで能力を向上させた米軍に、サイバー戦と電磁スペクトラム戦をフルにコンビネーションを発揮してもらう。恐らく、少なからず「他力本願ではないか!」とお叱りを受けると思うが、筆者は賢明な策だと信じて止まない。

 了」

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2019/03/25

東京五輪を狙ったサイバー戦は始まっている

東京五輪を狙ったサイバー戦は始まっている
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 昨年11月のNewsweek日本版誌(2018年11月27日号(11月20日発売))に「東京五輪を襲う中国ダークウェブ」特集が掲載されました。掲載記事によれば、中国が東京オリンピックを標的としたサイバー攻撃を企図しており、既にその準備攻撃が始まっている、とのこと。今回は、このショッキングな話題を皮切りに、企業の情報セキュリティとは一線を画した、国家が意図をもって他の国家をサイバー攻撃をする「サイバー戦」について勉強してみたいと思います。

<ポイント>
① 東京五輪を狙う中国のサイバー攻撃
  中国は東京五輪で日本の国家的威信を失墜させるため、既にサイバー攻撃を通じ攻撃準備を開始している
② 国家が背後にいるサイバー攻撃の実態
  実例には枚挙に暇なし:イランの核開発施設の破壊、ウクライナの重要インフラの停止、日本年金基金の個人情報流出さえサイバー戦の準備だったかも
③ サイバー戦時代のサバイバル
  次から次へと新手の攻撃、攻撃元が特定困難、抑止が効かない、IOTに依存するほど脆弱、などの厳しい環境に順応するしかない。防御を固め、被害があっても局限し、また防御を固める。
④ 日本のサイバー戦対処のあり方
  日本は基本的には防戦が関の山。ならば、自ら防御を固めて盾とし、米国との同盟で矛も保持し、日米共同の陸海空+宇宙+サイバーのマルチドメインオペレーションにより攻防揺るがない体制を。

1 東京五輪を狙う中国のサイバー攻撃
  中国は東京五輪で日本の国家的威信を失墜させるため、既にサイバー戦の攻撃準備を開始している・・・。そんなショッキングな記事がNewsweek日本版誌(2018年11月27日号)に掲載された。同誌「東京五輪を襲う中国ダークウェブ」特集の記事によれば、現在、中国のハッカー集団が軍民共同戦線を張って、2020年の東京五輪の混乱を狙った日本に対するサイバー攻撃を活発化させている。記事は、インターネットの裏社会に世界中の闇ハッカー達が情報交換をしているダークウェブがあり、ここに出入りしているハッカーの情報として、今や東京五輪狙いのサイバー攻撃が話題の的になっており、「実際に金融機関や流通分野に対する攻撃が既に実施されており、五輪で使われそうな支払い処理システムのソースコード(ソフトの設計図)がまるまる盗み出されたケースも確認されていた。」(引用)としている。また同記事は、この中国のサイバー攻撃の目的は、東京五輪という晴れの舞台での日本の威信の失墜であり、世界から日本の情報セキュリティに対する信頼を失わせ、もって国際企業に日本へのビジネスにおける信頼を低下させ、相対的に中国に対する信頼性を高めることであると論じている。

  これらのサイバー攻撃は、東京五輪本番に向けた攻撃準備行為と考えられる。いわゆるフィッシングのようなメールを打ってきたりするが、それは小銭目当てではない。官民に幅広く攻撃し、幅広く情報を取る。その情報から固い壁に浸透する抜け穴を見つけて入り込む。入り込んだマルウェアは、当面は悪さをせず潜伏する種を植え付ける。やがて時期がくれば一挙に悪さをしでかす。例えば、東京五輪の開会式で世界中が聖火台への点火を見守っている時に、「あっ!真っ暗になった!」とブレーカーが落ちたような大停電。あるいは、100m走の決勝で停電しタイムが表示されない!等々、こんなことになったら大変だというネタは切りがない。しかし、起き得るのだ。ロンドンもリオもピョンチャンも、五輪はいつもサイバー攻撃の的になっていたのだから不思議はない。

  特に、中国は人民解放軍の中にサイバー戦部隊が存在し、更に軍や政府が賛助している中国の大学やIT企業(例:ファーウェイ)やハッカー集団、更に大勢の愛国ハッカー達が裾野を形成し、巨大なサイバー帝国となっている。彼らが官民一体となって東京五輪の失敗を図ってきたら、・・・そら恐ろしいばかりである。
 
  ※ 実は、私の今回のブログの目的は、中国による東京五輪に向けたサイバー攻撃の脅威をお話しすることではありません。この逸話を「つかみ」に使用し、国家が他国に対する意志の強要の一手段としてサイバー攻撃を仕掛けることが当たり前の世の中なのだ、ということをお話ししたいのです。と言うわけで、次項では国家的サイバー攻撃=サイバー戦について、事例をご紹介したいと思います。

2 国家が背後にいるサイバー攻撃の実態
  国家が背後にいるサイバー攻撃の実例には枚挙に暇がない。
プレゼンテーション1 (2)
上記は、大澤 淳氏の「Society5.0時代のサイバーセキュリティを検討する」(21PPI NEWSLETTER No.61 MAY,2018 http://www.21ppi.org/newsletter/pdf/61.pdf )から引用させてもらった「国家が関与したとみられる主なサイバー攻撃事案」の列挙である。よく見ると、どの国が関与したのか断定できないものは書いていないので今一つピンとこないかもしれないが、一つ一つに仕掛けた国の狙いがあって成果もそれぞれあって、特定は難しいものの恐らくこの国が仕掛けたであろうという推定がある。被害を受けた国がウクライナの例が幾つかあるが、下手人はロシアと言われている。両国間には、2014年以降にクリミヤとウクライナ東部のロシアへの分離独立問題があり、紛争が冷めやらない2015年と2016年の年末の寒い時期にウクライナで2年連続して電力がダウンした。
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「ウクライナにおける制御系システムへのサイバー攻撃」石井 延幸 (Cisco Japan Blog セキュリティ 2016年3月28日付 https://gblogs.cisco.com/jp/2016/03/syber-attack-in-ukraine/ より)

  しかし、これもまだましな方かもしれない。最も狡猾で、計画的周到さ、大規模で多くの要員を要し、多くの費用がかけられていることから、国家が関与しているに違いないと言われる重大なサイバー攻撃事例だったのが、イランの核開発施設の破壊事案である。(なぜか大澤氏の表にはない。)2000年代ヒトケタの頃、イランの核開発問題がイスラエルにとって焦眉の急の問題であった。イスラエルは米国に空爆の了承を求めたが米国は首を縦に振らず。その代わりがこのサイバー攻撃だった、と言われている。米国・イスラエルの共同作戦、コードネーム「オリンピックゲーム」の始まり。一説によると、・・・ある日、イランの核施設の職員がUSBメモリーを見つける。研究者のものらしい表示もあったので、エクスプロラーでショートカットファイルの閲覧によりファイルの名前だけでも確認しようと、USBを施設内のPCに差し込む。実はここにはwindowsの当時未知の脆弱性があり、USBを差し込んだだけで自動的にプログラム実行となり、マルウエアは侵入に成功した。このマルウェアはウラン濃縮のための遠心分離機を制御するドイツのシーメンス社製の小さな器材を探し、身を隠して感染に気付かせない。この器材に至って初めて器材を冒すプログラムを書き換える。そして、モニターには正常な運転状況であることを示す信号を再生しつつ、実は速くなったり遅くなったりのギリギリの異常を引き起こす。これにより2009年後半~2010年初頭に1000台もの遠心分離機が破壊され、イランの核開発を大幅に遅延させる状況に至らせた(※このマルウェアの凄いところは、決して核物質満載の遠心分離器を爆発させるような破滅的破壊をさせず、コントロールされた節度ある暴走でウラン濃縮ができなくしてしまうというシロモノだったこと)。イランの研究者達は何が起きたのかすら気づかなかった、と言われるほどの巧妙さだった。このマルウェアはStuxnetという米国国家安全保障局NSA(及びイスラエル当局)が作成した傑作マルウェアだった。イランの核施設のPCがOSとして使っているwindowsのまだ未知の脆弱性の情報を使い、そこを突いたエクスプロイトコードが浸透した。しかも遠心分離機の制御装置がドイツシーメンス社製の特定機種の器材と知っていて、それのみを狙い撃ちに、その器材の未知の脆弱性を突いた。これらの未知のセキュリティーホールは、前述のダークウェブで超高額で情報が売り買いされていると言う。これはもはや「サイバー兵器」と言えよう。こんなことを市井のハッカーができるとは思えない。やはり国家が背後に、いや、主導的に開発しない限り、こんな化け物のようなサイバー兵器は開発できない。(ちなみに、David E. Sanger著の「Confront and Conceal: Obama’s Secret Wars and Surprising Use of American Power 」(Crown Publishers)という本に、オバマ政権下のこのイラン核開発施設へのサイバー攻撃を含む裏話が克明に描かれている。まだ読破しておらず、Stuxnetのあたりを読んだ程度なので、そのうち読破したい。)
ナタンツ

2008年4月、イラン中部のウラン濃縮施設で遠心分離器を視察するアフマドネジャド・イラン大統領(当時)
「USBでウイルス感染 イラン核施設攻撃の手口」(毎日新聞経済プレミア 2018年7月26日 松原実穂子 / NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト: https://mainichi.jp/premier/business/articles/20180724/biz/00m/010/002000c より)


  しかし、「天網恢々、疎にして漏らさず」「人を呪わば穴二つ」という諺のように、このStuxnetは予期せぬことからネットに出回り、やがてThe New York Times紙が特ダネとして報じることになる。米国のNSAも、攻撃を了承したオバマ大統領もさぞ痛恨だったに違いない。イランの研究者が、自宅のPCに職場のファイルをUSBで持ち帰り私物のPCに繋いだのだ。これにより、Stuxnetは期せずしてインターネットを通じ世界に拡散した。拡散とともに世界のサイバー専門家の研究対象となり、その精密な全貌が明らかになった。これが世界に認知された国家によるサイバー兵器使用の最初の例と言える。ちなみに、この後、イランもサイバー攻撃により米国の電力インフラなどに対し報復と思われるサイバー戦を仕掛け、成功している。

  ついでに、2015年の日本年金基金の個人情報流出。これは某国が日本の官公庁を幅広く情報収集するものであったようだが、国内的には個人情報を流出させたのが年金機構だっただけに問題が炎上した。これは本格攻撃のための情報収集なので、そこで取った情報から本格攻撃の端緒や付け込みどころを既に押さえられたかもしれないのが怖いところ。ちなみに、2017年のWannacryランサムウェアの被害拡大事案は、金銭搾取目的のサイバー攻撃だったが、関係国の調査で「北朝鮮の犯行と断定」とされている。金銭搾取を国家が主導するという目的からして、これはサイバー攻撃ではあるがサイバー戦とは言えない。それはそれで問題だが・・。

  しかし、これら事例からもわかるように、国家によるサイバー攻撃、サイバー戦と言うのが現実問題としてあることについて認識をしていただけたことと思う。

3 サイバー戦時代のサバイバル
  国家が背後にいるサイバー戦でなくとも、一般的なサイバー攻撃の脅威は、もはや一般的に認識が広まっている。その一般論として、多くの方々が既に理解していることとして、サイバー攻撃への自衛策としては次のようなことが言える。
① OSやソフトの最新化
② 信頼できるセキュリティ対策ソフトを入れる
③ 怪しいサイト、ソフト、メールの添付文書には手を出さない

  この一般論の話でも裏を突かれるのがサイバーの世界だ。まず、①のOSにはどんなに脆弱性がないように作っても、必ず後で脆弱性が見つかる。見つかればすぐそこを修復するパッチを当てるよう促して脆弱性を塞ぐことに努めるが、塞ぐまでの間は脆弱。加えて、既述したStuxnetのように、まだ作った企業すら気づいていない未知の脆弱性を突いてくることもあり得る。②のセキュリティ対策ソフトについても、既知のマルウェアのリストと照合・検知・対処しているだけなので、未知のマルウェアの攻撃には気づかない。マルウェアは、次から次へ手を変え品を変えて新手の攻撃が出てくるのが現実。③についても、怪しければ手を出さないが、怪しまれない形で攻めて来るのでついつい手を出してしまうのだ。よく知っている信頼できる相手から、信頼できそうな添付文書が来ても開かないで済むだろうか?本人に電話する?毎回?ウイルススキャンする手はあるが、これも未知のマルウェアだったらOKしてしまうことになる。

  一般論でさえ安全確保が難しいのに、これが国家がバックアップしたサイバー攻撃だったら、対応は更に難しい。国家が国家に対するサイバー攻撃を想定すると、相手国の国家運営そのものの政府の重要システムや、国民生活の基盤となる電気・水道・ガスなどの重要インフラや金融も目標たり得る。今や、国家も重要インフラも、ほとんどシステム化。恐らく、平素システム化が進んでいるが故に、もはやマニュアル操作に習熟した要員が残っていないのではないだろうか。時代はIoTの時代なため、逆説的に脆弱なのだろう。  また、新手のマルウェアも勿論だが、そんな高度なマルウェアを開発しなくても、分散型サービス妨害攻撃いわゆる「DDoS攻撃」という一挙大量のアクセス要求が来たら、これだけで目標となるシステムの窓口はパンクし処理不能となる。しかも、攻撃元は特定が困難なのだ。自分の発信元を明らかにしないよう、偽装するソフトまである時代なのだ。しかも、不特定多数の踏み台(本人は自分のPCが踏み台にされているとは気づいていない)も使用される。攻撃元が断定できなければ抑止が効かない。

  結局、・・・これらの厳しい環境に順応するしかない。こうした厳しい環境を踏まえた上で、防御を固める。感染に気付き被害があっても、努めて損害を局限する。そして、また防御を固める。こんな地味な防御しかないのだろう。このように、サイバー攻撃に対するサバイバルというのは非常に難しい。これが現実なのだ。

4 日本のサイバー戦対処のあり方
  日本は基本的には防戦一辺倒が関の山であろうと思われる。米国のように、特定国へのサイバー攻撃を企図して秘密裏にサイバー兵器を作り、秘密裏に任務達成するようなことはできない。あるいは、サイバー攻撃を受けた場合、自衛権を発動して攻撃元に対して自衛隊による物理的攻撃をするぞ、という抑止が効くだろうか?いやぁー、それは無理、話にならない。そもそも攻撃元の特定は困難だし、サイバー攻撃に対して自衛権発動できるかの問題は、日本では政治的に無理だろう。余程の明白な急迫不正の侵害であっても、政治的に大もめし、判断に時間がかかるだろう。

  ならば、まず自ら防御を固めるところは厳重にやるしかない。これを盾とした上で、米国との強固な同盟を活用させてもらうのはいかがだろうか。サイバー戦に関し、米国と密接な連携を図り、米国の強大なサイバー戦能力の傘の下に入る。遠巻きな表現をしたが、早い話が、攻撃部門は米国に依存する。もって盾と矛の両者を保持し、攻防揺るがない体制を取るしかないのではないだろうか。

  前回のブログで書いた話に戻って申し訳ない。最近、米国が陸・海・空に加えて宇宙空間とサイバー空間も新たな戦場とするマルチドメインオペレーションというドクトリンに変えた。これに日本も同調し、新防衛計画の大綱にて多次元統合防衛力というドクトリンに移行し、米軍との運用相互運用性を高く維持する。様々な分野で、特に防御的な正面で米国を支える。その一方、サイバーを含め攻撃部門は米国の傘の下に入ることで、もって日本を敵にするということは米国を敵にすることになる、という戦略的抑止を効かせる。こういうことではなかろうか。
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多次元統合防衛力

  例えとして適切でないかもしれないが、誤解を恐れずに分かりやすく言うと、サイバー対処は核兵器対処になぞらえて考えると説明し易い。日本は決して核兵器を保有して攻撃に使うなどということはない。しかしながら、アジア太平洋地域の厳しい国際情勢からすれば、日本は弾道ミサイル等の核の脅威下にあるのが現実。従って、弾道ミサイル対処等の防御は固める。もし急迫不正の弾道ミサイル攻撃を受けた場合、米軍との密接な連携の下、日米の弾道ミサイル迎撃体制で対応する。我が国の領土領海領空に関わる侵害に対しては、日米共同作戦により断固として実力を行使して対処する。万が一、損害が出れば最小限に局限する。他方、米軍との密接な連携の下、この攻撃の策源地に対する攻撃を含めた広範な作戦を米軍は実施する。日本は、直接的な攻撃分野には支援できないが、米軍の作戦の後方支援の分野で強力にバックアップする。・・・この「弾道ミサイル対処」の部分を「サイバー攻撃対処」に置き換えれば、ご理解いただけるのではないだろうか。
  
  サイバー空間(及び宇宙空間)が第5の戦場と呼ばれる時代になったんですね。全く複雑怪奇な時代になりました。しかし、現実にそうなった以上、何とかこれに適応しなければなりません。日本の政治的及び国民の理解の範囲で対応するには、上記のような考えも有力な一案だと思いますが、いかがでしょうか。
  
  さて、次回の予告です。実は、この「第5の戦場」について、重大な脅威となる課題がもう一つあります。「電磁スペクトラム」といいます。実は防衛省の新防衛大綱の説明ではサラっと語っています。恐らく、この重大性について日本のマスコミさん達もまだ気付いていないかも知れません。この話をしないと、今やこんな攻撃に晒される時代になったのだ、という恐ろしさがご理解していただけないと思います。てなわけで、次回はそんな話を勉強させていただきます。

了」

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2019/03/17

米軍事予算の目玉マルチドメインオペレーションとは

米軍事予算の目玉マルチドメインオペレーションとは

 2019年3月11日に米国の2020年度の予算教書が発表され、翌12日に国防省がブリーフィングを開き国防予算案が明らかにされました。この予算教書にはそこかしこに米国の財政問題が滲み出ており、今後米議会内で喧々諤々の議論を呼ぶ波乱含みのもののようです。しかしながら、ここでは国防予算案の重視ポイントにのみ注目し、その中でも目玉となったMulti-Domain Operationsに焦点を当てたいと思います。(予算教書の細部の分析は、ウォールストリートジャーナル紙2019年3月14日付に詳しい記述があります。 参照:Diamond onlineから https://diamond.jp/articles/-/196866 )

<ポイント>
① 2020年度の米国防予算案が明らかに
  今回の国防予算は、トランプ大統領の大盤振る舞いで国防予算は7500億ドル。これは、前年度7160億ドルの5%増。破格の優遇予算編成となった。まぁ、民主党が強い米議会では大もめすること間違いなし。ひょっとしたら、トランプお得意のハッタリかまして議会でもめた時のキリシロにするつもりかも。
② 国防予算の重視ポイントは3つ
  今回の国防予算案の重視ポイントは3つ。軍事大国との競争、宇宙とサイバー、そしてマルチドメインオペレーション。目を引くのは宇宙とサイバーの重視だが、その何がしたいかと言うと「マルチドメインオペレーション」。これが中心課題となろう。
③ マルチドメインオペレーションとは
  陸海空のこれまでの戦いの領域(ドメイン)に加え、宇宙空間、サイバー空間も戦いの領域に想定し、全領域を通じて作戦を展開し勝利を獲得する、というもの。ポイントは、宇宙とサイバーをも戦闘の領域として考え、むしろ大気圏外や宇宙空間の活用や、サイバー攻撃とサイバー防護により、ロシアや中国の作戦を敵に先んじて潰し、陸海空の作戦環境を我が有利に展開するというもの。
④ 日本の新防衛計画の大綱の多次元統合防衛力との関係
  昨年末に日本の新防衛大綱が閣議決定されたが、ここで新たに打ち出した「多次元統合防衛力」とは米国のマルチドメインオペレーションの日本版。しかし、日本は国内法制・政治的制約から、宇宙とサイバーにおいては攻撃はせずに専ら防御能力の向上に努めるだろう。しかし、米国との相互運用性を確保して日米共同作戦で負けない戦いをするしかない。

1 2020年度の米国防予算案
  国防予算は、2期8年のオバマ政権下で長期にわたり縮減に耐えてきましたが、その反動とも言うべき大盤振る舞いをトランプ大統領から受けている。2020年度の国防予算は7500億ドル。これは、前年度7160億ドルの5%増。トランプ大統領は、国防予算以外はどの省庁も5%カットで予算編成させたというのだから、国防予算に対する優遇ぶりが伺い知れる。細部は、2項の重視ポイントの説明の中で国防予算案の内容を述べる。

2 2020年度の米国防予算案の重視ポイント
  今回の国防予算案の重視ポイントは3つ。 ①軍事大国との競争、②宇宙とサイバー、そして③マルチドメインオペレーション。
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US Army TRADOC "US Army Multi-Domain Battle" 

① 軍事大国との競争に勝つこと
  軍事大国(Great-Power)とは紛れもなくロシアと中国を指す。米国は、長期に及んだテロとの戦いの中、オバマ政権下で国防費を押さえ込まれたため、テロとの戦いで枯渇しつつある弾薬の在庫補充や部隊の即応性維持に対して軍事資源の多くを費やしてきた。この間、ロシアや中国は米国を凌駕する新装備システムを開発してきた。最新の精密誘導打撃ミサイル、統合防空システム、巡航及び弾道ミサイル、サイバー戦能力、対人工衛星能力、など米国の既存のウェポンシステムでは対抗しえないのではないか、との深刻な懸念を抱えている。これは2018年のNational Defense Strategyにも「米国は今や軍事大国化したロシアや中国に対抗する軍事的先端優位性を失いつつあるリスクに瀕している」と表現していることでも読み取れる。
  今回の国防予算案では、この軍事大国との競争に負ける訳には行かない、勝たねばならない、との意識を改めて強調していると言えよう。早い話が、軍事産業とタイアップして米国の軍事先端優位性を維持するぞ(もって純国内の需要拡大、雇用拡大、経済成長につながる)、というトランプ大統領の意志なのだろう。

② 宇宙とサイバーに焦点を当てる
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(Pars Today 2017年11月19日付 アメリカ前国防長官、「アメリカは、サイバー戦争に対処しきれない」 より ( http://parstoday.com/ja/news/world-i36823 ))

  上記とも関連して、具体的な重視事項として名指ししているのが「宇宙」と「サイバー」の領域であり、「宇宙」に141億ドル(昨年度比10%増)、「サイバー」に96億ドル(昨年度比15%増)を配分している。
  「宇宙」では、宇宙軍創設、宇宙での通信システム、宇宙ベースの警報システム、宇宙への打ち上げ能力、GPS、ナビ等の施策が盛り込まれている。「宇宙」の予算項目に入れていないが、前述のとおりロシアや中国が「最新の精密誘導打撃ミサイル、統合防空システム、巡航及び弾道ミサイル、サイバー戦能力、対人工衛星能力」等を開発しているため、これに対抗する米国の新装備等の開発にも資源配分される。ちなみに、トランプ大統領はマチス前国防長官の反対を押し切って「宇宙軍Space Force」という新たな軍種を作ると表明している。陸軍・海軍・空軍・海兵隊に加えて宇宙軍としたいらしい。(但し、海兵隊が海軍省の下にいるように、あくまで空軍省の下の組織という形)というのも、中国はいわゆる対人工衛星キラー衛星やキラー兵器を開発・実験してきており、いざと言う時に米軍のウェポンシステムの自己位置評定やナビ機能を麻痺させる準備を着々と実施。また、月の裏側に基地を作る準備をし、宇宙空間を作戦の一部にしつつある。これに後れを取ってはならない、との意志であろう。
  「サイバー」では、攻撃・防御両面のサイバースペース運用、サイバーセキュリティ機能の強化、国防省のネットワーク・システム・情報へのリスク軽減、国防省の汎用クラウド環境の近代化、などの施策が盛り込まれている。誤解のないように補足すると、これは一般企業の「情報セキュリティ」とは次元の違うものであり、米国や世界に展開している米軍に対するサイバー攻撃やサイバーテロに対する防御のみならず、米軍が作戦をする際には米軍の作戦の一翼にサイバー攻撃も実施する、というものである。明示的には記載されていないが、いわゆる電磁波Electro-magnetic攻撃・防御も含まれているものと思われる。「サイバー」を重視しているのは、これまたロシア・中国の軍事先端優位性が関連する。クリミヤ危機の際、ロシアはウクライナにサイバー攻撃をかけ、サイバー空間を通じたスパイ、偽情報、情報錯綜、システムの分断・破壊を作為してウクライナの軍事作戦を麻痺させ、ロシア軍が優勢に作戦を遂行した。中国は、正規軍内にサイバー部隊を擁するほか、愛国的ハッカーの組織的運用を行って、恒常的に米国、西欧諸国、日本などに対するサイバー攻撃やサイバー空間でのスパイ活動を仕掛けている。サイバー攻撃に関しては、物理的被害が目に見えづらいこと、犯人が特定しづらいことも手伝って、やったもん勝ちの攻め手市場になっている。もはや、サイバー領域は軍事作戦の一分野になっていると言っても過言ではない。米国はサイバー正面で元々底力のある国であり、市民ハッカーの層の厚さ、幅広さ、深さは他を圧倒しているが、ロシアや中国は国家が意図を持って主体的に攻撃防御両面で駆使してくる点で、米国は先端優位性を失いつつあると言える。従って、負けてはならないとの意志が表明されたもの。

③ マルチドメインオペレーション
  これまで陸、海、空それぞれの戦いから陸海空の統合へと作戦概念が進化発展してきた。この更なる発展形態として位置づけられたのが「マルチドメインオペレーション」である。これは、将来の戦いは陸上、海上、空中、宇宙そしてサイバー空間で戦われ、敵を倒すためこの5つの領域全てにわたって統合した作戦を展開して勝利する、というもの。前述の宇宙やサイバーを重視する項で述べたような「宇宙やサイバー」の作戦の重要性も、これまでの陸海空の統合作戦に加味した総合的な作戦概念である。これは、予算要求の個別的な項目を見ても理解できるものではなく、米軍4軍種の統一した作戦概念として合意された新たな考え方「マルチドメインオペレーション」の腹の部分を読み解かないと理解できないと思う。日本の昨年末(2018年12月)に閣議決定された「多次元統合防衛力」はマルチドメインオペレーションの日本バージョンであり、日米の相互運用性(interoperavility)の観点からも当然の流れといえる。作戦概念の細部、特にその「腹の部分」は後述する。

3 マルチドメインオペレーションとは
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薬師寺克行「今月の外交ニュースの読み方」2018.11.9 vol.32 「サイバー攻撃、ドローン…戦争が「目に見えない」時代に突入した」より ( https://courrier.jp/columns/141929/ )

 マルチドメインオペレーションとは、陸・海・空・宇宙・サイバーの全ての領域(domain)において、同時並行かつ一斉に作戦展開する概念であり、全ての領域で敵の先手を打って敵に対応の暇を与えず、我が優勢なうちに敵に劣勢なまま敵の鼻ずらを引きずり回し、戦勝を獲得することを目指すもの。何を言っているのか分かりづらいかもしれないので、ザックリ言うと、これまで同様に陸海空の作戦を我が優勢に進めるため、宇宙やサイバー空間での先制攻撃により、作戦環境を我が優位な状況に作為する、ということ。具体的には、宇宙空間では、敵の軍事衛星やキラー衛星・キラー兵器の破壊、我が軍事衛星の防護、宇宙空間(大気圏外)も使った軌道のミサイルなどを駆使した作戦を展開。サイバー空間では、平素のうちにサイバー戦により敵のシステム中にバックドアを作っておき、いざ作戦開始すればバックドアからサイバー攻撃を開始し、敵の軍事インフラ、指揮通信システム、各種ネットワーク、ウェポンシステム等の妨害・誤動作・無効化・破壊、加えて敵国の政治経済中枢や国民生活基盤インフラを麻痺させる。映画で見たことがあるかもしれないこれらの攻撃は、既にロシアや中国が現実化しているのだ。実は米国も既に実際に運用している。
  (この辺が非常に恐ろしい部分で、またの機会にこの辺の話を書きます。)
   (※参考まで 米陸軍のTRADOCの MultiDomainBattle: Evolution of Combined Arms for the 21st Century というyoutubeのビデオクリップがヴィジュアルに解説しています。勿論、腹の部分の話なんてしていませんけど。( https://youtu.be/nfOgPayfATo ))

4 日本の多次元統合防衛力について
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防衛大綱・多次元統合防衛力のイメージ (時事ドットコムニュース 【図解・行政】防衛大綱・多次元統合防衛力のイメージ(2018年12月)より ( https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-anpoboei20181218j-01-w510 )

  前述したように、日本の新防衛大綱で謳っている「多次元統合防衛力」とは、米国のマルチドメインオペレーションの日本バージョンである。しかし・・・・。残念ながら、日本に米国のようなマルチドメインオペレーションを遂行する力はなく、また憲法はじめ国内法上の制約や国民的理解が得られない等の法律的・政治的課題から、日本が実施する多次元的統合防衛力とは、米軍のマルチドメインオペレーションのうちの攻撃的部分を禁じ手とした防御的なものにならざるを得ないだろう。だって、そうでしょ?日本がサイバー攻撃で、相手国の政経中枢や国民生活インフラを破壊できますか?やるとしても相手国の軍事施設に限定かな。いや、それすら「ダメだ!」と国会で大もめするだろうな。結局は防御的な手段方法のみになるのだろう。ただし、既にマスコミが報じているように、護衛艦いずもをF35B(垂直離発着化:VSTOL)の空母化改修をすること、主力戦闘機としてF35Aを導入することなど、この辺もこの「多次元統合防衛力」の一環である。
  私見ながら、多次元統合防衛力の採用、F35の導入やいずもの空母化など、この辺については、米軍との相互運用性の重視であって、日本の自衛隊単独の作戦としてではなく、いざと言う時の米軍の攻撃的手段を期待しての作戦構想ではないかと推察する。日米共同作戦をする上で、米軍と同様の作戦が遂行できる陸海空宇宙サイバーのアセットを持ち、米軍との共同作戦遂行の基盤とする。他方、役割分担として、自衛隊のできない攻撃的部分は米軍の攻撃手段に依存する。結構高い買い物を米国からすることになるが、保険金なのだろう。

○ 結言
  前項の最後に述べた日本の多次元統合防衛の腹の部分、これを非難しなじる方々もいると思いますよ。しかし、現実的には賢い自己防衛策ではないか、と私は思います。現代の作戦環境は、ここまで科学技術が発展、特にサイバー攻撃などがここまで進化すると、こうでもしないと日本は守れないのです。そんなところに来てしまったんだな、と痛感しています。私らが自衛官の時分に、核兵器はともかくとして、陸海空のアセットで戦う通常戦争の世界で「エイ、ヤー」と訓練していた当時はまだまだ平和なもんだったと思いますよ。今の時代は、サイバー戦だって?なんだそりゃ?ですよね。しかし、現実問題、次にどこかでロシア・中国・米国などが絡む戦争・紛争があるとしたら、確実にサイバーから始まるでしょう。(インド・パキスタン紛争では起きませんが・・)開戦劈頭で、相手国はシステムダウン。何がどうなっているかわからないうちにsurgical airstrike外科手術的航空攻撃を受けて自国の攻撃手段は壊滅状態にされるでしょうね。
  次回から、サイバー戦について勉強したいと思います。読んでいただける皆さんと、ぜひサイバーの恐ろしさを共有させていただきたいと思っています。

 了」


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2019/03/09

印パ衝突に日本が学ぶこと

印パ衝突に日本が学ぶこと

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カシミールでの印パ住民間の衝突(Pars Today 2016年10月01日付より)

   2019年2月に再燃した印パの衝突は、3月になってようやく落ち着いてきた模様ですね。何よりです。それにしても、インド・パキスタンが英国植民地から独立して以来もう70年も経つというのに、今だに両国民は相互に嫌悪し、競って核武装するまで軍事対立し、カシミール地方は係争地として平素から緊張下にあり続けています。今回の衝突は、自爆テロを契機に憎悪が再燃、報復の応酬、戦闘機の領空侵犯・撃墜などに発展してしまいました。まぁ、治まりつつあるようなので何よりですが、「歴史は繰り返す」論からすれば、緊張は続くし又いずれ衝突は起き得るでしょう。
   私見ながら、今回の衝突を通じ、日韓(朝)がこのようにならないように、と心配 になりました。

○ ポイント
① 印パ紛争の経緯
   英国植民地からの分離独立、ヒンズー教徒とイスラム教徒は相容れ難く、インドとパキスタンに分立。独立後もカシミール地方の帰属や両教徒の間の対立・衝突が続く。
② 対立の構図
   民族・宗教的な差異からの抑圧・被抑圧の関係という史的経緯を経て、生理的反発・DNA的な憎悪へと発展。その憎悪が些細な対立を契機にテロや暴動の形で現れ、それが悲劇を生んで報復の応酬に至る。
③ 日本が学べること
   印パのようなことが日韓(朝)で起きないように、我々は注意しなければいけない。これまではなかったが、一度日韓(朝)の間で衝突やテロが起これば、印パのように報復の応酬にならないとも限らない。特に、マスコミやインターネット投稿者は、徒に緊張や憎悪を煽らないよう、自制し慎重に行動すべきである。自分は見てもいない事件を無責任に煽る行為は、世の怒りを無秩序に拡大し、コントロールの効かない魔物を生みだしかねない。同じアジアの悲劇から学ぶべきである。

1 印パ紛争の経緯
   英国植民地からの分離独立運動が難産ながら功を奏したが、ガンジー師の努力むなしく、ヒンズー教徒とイスラム教徒(ムスリム)は相容れ難く、1947年に英国の調整案でインドからムスリムが多い地域(東西パキスタン)を分離して独立へ。この際、カシミール地方はほとんどの住民がムスリムだがマハラジャ(藩王)はヒンズー教徒という構図であったため、マハラジャはインドに帰属を希望。これがカシミールの悲劇の始まり。帰属をめぐる係争地や相互の地に残る両教徒の衝突が続き、3次にわたる軍事紛争が勃発。第1次印パ戦争は1947年に既述の構図の下で勃発。インドが優勢、国連の調停で治まる。1962年に同じくカシミール地方に国境を接する中国とインドの間で国境紛争があり、中国に事実上押されて停戦。(余談ながら、その悔しさをバネにインドは核開発に走る。これを受けてパキスタンも核開発開始。)カシミール地方の中のインドが実効支配していた地域の統合宣言をしたことがキッカケにパキスタンが猛反発、第2次戦争に。この際の停戦ラインがカシミールを分割し、それぞれ実効支配しつつ、お互いにカシミール全域の帰属を主張。第3次は、インドが東パキスタン(現バングラディシュ)のパキスタンからの分離独立を支援したために印パ間で軍事衝突。結局、インドが優勢のうちに停戦となり、概ね休火山状態に。
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カシミール地方(時事ドットコムニュース 2019年2月15日付より)

   しかし、両国民の相互の憎悪が潜在化し、対立・緊張は今も根強く、時折顕在化してこうして衝突している。21世紀に入っても、2001年にインドの国会議事堂襲撃事件、2008年にムンバイ同時多発テロ(日本人を含む180人もの犠牲者を出す)があった。最近の趨勢は、パキスタンのイスラム過激派がインド側でテロを起こす形が多く、その都度、インドはパキスタンを非難。両国民の憎悪のボルテージは上がった。しかし、今回ほどの直接衝突ではなかった。

   今回の衝突は、2019年2月14日にインドのスリナガルで自爆テロが契機となった。パキスタンから越境してきたイスラム過激派組織が自爆テロを起こし、インドの警察関係者40人以上が犠牲となった。インドはすぐさま非難するとともに、26日にはインド空軍機がパキスタン領内のイスラム過激派組織の訓練基地を空爆で報復。27日、これに対しパキスタン軍がカシミール地方の停戦ライン?上空でインド空軍機を2機撃墜。これに対しインド軍もすぐさまパキスタン空軍機1機を撃墜させた。パキスタンは撃墜した航空機から脱出したインド空軍パイロットを捕虜にとったが、インドに対し対話による緊張緩和をもちかけ、解放すると声明を出した。しかしインド側の激昂治まらず、「どんな代償を払っても、私たちを止めることはできない。」とモディ首相が発表する状況に。
一時は「第4次印パ戦争勃発か?」とか、「印パ間の核戦争の脅威」とまで懸念されたが、3月1日に既述のインド空軍パイロットがパキスタン側からインドへと無事に帰還。3月4日付のVOA記事では、「US: Gulf Countries Helped Ease India-Pakistan Tensions(米国: 湾岸諸国が印パ間の緊張を緩和させた」との報道もなされ、目に見えた緊張緩和へと落ち着きを取り戻した模様。記事によれば、米国トランプ大統領が中東諸国に呼びかけ、特に、これを受けてサウジアラビアのムハンマド皇太子が印パの慰留に努めたらしい。この辺も深堀りするといろいろ面白そうだが、今回の趣旨ではないので割愛する。

2 対立の構図
   対立の原点は宗教及びこれに根差す風俗風習。インドの場合、土着のヒンズー教が土台にあって、カースト制で生来の階層が決められ階級差別があり、外来のイスラム教が抑圧を受け虐げられる低階層に浸透する素地があった。支配・抑圧的なヒンズー教徒を主とするインド一般の勢力と被支配・被抑圧的なムスリム、という対立軸が存在した。本来独立はインドとして他宗教を包含して独立するはずだったが、独立以前に両派の対立と暴力が横行し、死傷者も多数でため、もはや分離せざるを得ず。ムスリムが多かった地域がパキスタンとしてインドから分離独立となったもの。
   鳥瞰すると、民族・宗教的な差異から抑圧・被抑圧の関係という構図があり、長い歴史の中で、両派は相互に対して生理的反発・DNA的な憎悪が脈打つ状態へと発展した、と言えよう。であるがゆえに、平素平穏であっても、両派のお互いへの反発のボルテージは高く、些細な出来事でもエネルギーが蓄積され、ひとたび契機があるとスイッチが押されて一挙に落雷し、じ後は憎悪や怨嗟の応酬となり、しばらく治まらなくなってしまう。
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印・パキスタンが、カシミール停戦ラインで軍事衝突 (Pars Today 2019年2月27日付より)

3 日本が学べること
   印パの対立が生む悲劇は、他人ごとではない。印パのようなことが日韓(朝)で起きないように、とつくづく思う。しかし、「願い」や「思い」ではなく、そこには注意しなければいけないこと、慎重、熟慮、忍耐、などの「努力」が必要なのだと思う。
幸いなことに、日韓(朝)間に印パの例のような宗教的・風俗風習的な対立の構図はない。しかし、民族的な歴史的経緯はどうだろう。日本人の認識と韓国・北朝鮮から見た認識は絶対に格段の違いがあるだろうことは容易に推察できる。我々からすると言われなきほどに、彼らは我々に憎悪感を持っているようだ。恐らく、最近の文韓国大統領の徹底的な反日路線の淵源はそこにある。そしてこれが一定の勢力の韓国人の支持を得ているということがその証左である。
   これまではなかったが、一度日韓(朝)の間で過激グループの衝突やテロが起これば、印パのように報復の応酬にならないとも限らない。例えば、韓国観光中の日本人が反日暴動に暴行される事件が起き、それを背景に、日本観光中の韓国人が嫌韓グループに暴行される事件が起きたとか。そんなことが起きようものなら、お互いのマスコミやネットはさぞ喧伝し扇動することだろう。北朝鮮も喧伝・扇動に参戦してこよう。どのテレビをかけても朝から晩まで日韓(朝)の緊張ネタばかり。ネットは炎上。相互の国民のボルテージは高まり、そんな憎悪や怒りが制御不能なレベルまで高まれば、印パのような報復の応酬に至ってしまうだろう。
   上記の例え話は脇に置くとして、現実の世界で考えていただきたい。現在の両者の関係は、いまだ物理的衝突でなく議論の上だが、それでも緊張のボルテージはこれまでになく高まっているのは間違いない。いわんや南北宥和の進捗や中国寄りに進展していくと、彼らが何かうまくいかなくなった時の怒りや非難の槍先には日本が標的にされよう。そんな時、暴動やテロで日本人が犠牲になったとしても、日本側の一部の過激なグループが相手側に対し短慮な報復に及ばないよう、警察の皆さんにはご努力いただきたい。また、マスコミもネット投稿者も事実報道以上に喧伝することは控え、間違っても国民世論を煽るような論調や論陣を張らないよう、慎重な対応をしてもらいたい。
   そうでなくても、特にネット上に嫌韓ネタを書く方が多いことには正直言って辟易する。確かに、最近の韓国の対日姿勢には腹に据えかねるものがあり、そうした嫌韓ネタが世にうけるのは理解できなくはない。しかし、それと単に民族的憎悪をかき立てることとは違う。憎悪や怨嗟の行きつく先に明るい未来は開けないのだから。


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2019/03/02

米朝首脳会談は長い目で見よ

米朝首脳会談は長い目で見よ

   2月27-28日の米朝首脳会談について、各国の受け止め方やマスコミ論調は、そのほとんどが「決裂」と悲観的に論じられています。私見ながら、それは短慮に過ぎると思います。かくも複雑な問題は、長い目で見て慎重に手堅く適切に対応すべきです。たかだか2回目の会談でクリアカットな問題解決を望んでいたのだとしたらバカ過ぎますよ。一喜一憂せず、長い目で見守りましょう。
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(2019年03月1日付 BBC Japan 「【解説】2回目の米朝首脳会談はなぜ決裂したのか」(写真Reuter)より)

<ポイント>
① 問題の本質は「北朝鮮の核の脅威を解消すること」
② これまでも北朝鮮は国際社会との「完全、検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)の完全な履行という約束を度々裏切ってきているので、今回はCVIDでなければならないこと (最近はトーンを下げたFFVD(Final Fully Verified Denuclearization)という用語を使っている。)
③ そうした条件を北朝鮮が真摯に取り組んで、それが誠実に履行されていることが国際的にモニターできて、そこで初めて国際社会は経済制裁の緩和や様々な援助を与えること
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27日、ハノイで会談するトランプ米大統領(左)と金正恩朝鮮労働党委員長=AP
(2019年2月27 付 読売新聞オンライン 「20:432回目の米朝首脳会談、始まる…1対1の形式」より)

   この原則なしに妥協してはならず、その意味において、時間をかけてでも慎重かつ適切に、事前の協議の場で事務方が詰めるという外交ステップを踏むべきです。

   とは言うものの、実際、北朝鮮のような国が事務方同士の詰めで逐次に誠実な対応になるわけではないのです。偉大なる指導者・主領様、独裁者たる金労働党委員長が部下に方向性を命じてくれないと進められません。「よし分かった。今後は非核化を逐次進めよう。その見返りに安全保障と政権への不可侵の確約を得て、制裁を解除させ各種援助を得よう。細部はお前ら事務方同士で詰めろ。」とでも方向性を決めてもらわないことには、勝手には動けません。首脳会談に期待すべきはそこだったのでしょう。

   トップ同士が話し合うからには、細かい詰めを踏まえた上で、共同宣言に踏み切る上で最後の条件闘争のみという段階までは事前に自国内の協議で詰めておかないと。その上で二国間の事務方の首脳会談前の詰め、そのお膳立ての上でトップ間の会談で踏み切るかどうかの判断をすることになります。要するに今回の首脳会談は事前の準備が相互に不足していたわけでしょう。

   ただただ、今後時間をかけてでも詰めればいいのです。
   アホなマスコミや米国内の政治的な動きを見ると、「決裂」と悲観したり、トランプ大統領の金委員長擁護の発言(北朝鮮に拘束された末に死亡した米学生に係る責任について)を捉えて問題視したり、ロシア疑惑で元側近が反旗を翻したことが判断に影響しただの・・・くだらないですね。そうした海面上の波しぶきのような論調に惑わされず、気象衛星的な視野で潮目やグローバルに雲行きを見るべきです。その意味において、珍しくトランプ大統領は慎重に発言しています。いつもならTwitterや会見で口汚なく相手を罵倒したり酷評したりしますが、今回は今後の交渉のために、慎重に発言していますね。少しだけ見直しました。
(了)


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