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2019/11/21

香港、大学占拠は風前の灯だが戦略的退却だ!


  2019年11月21日の時点で、香港の民主化デモは、大学占拠の態勢が香港警察に包囲され、大学構内にいた学生ら反対派のほとんどが投降か逮捕され、残る徹底抗戦組は200名足らず、今や風前の灯火状態になりました。(※1)
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  私見ながら、これは決して民主化運動の哀れな末路ではなく、長い戦いの一区切り、一局面であり、戦略的退却ですよ。大学占拠により、一時的に「徹底抗戦だ!」と、高揚感も上がったかもしれないものの、状況を見て諦めたわけですよ。このまま籠城していても勝ち目はないな、と。しかも、香港警察なので未成年者は逮捕せずに身柄を確認したらリリースしてくれていたし。逮捕されてもまだ、香港警察だからましですよ。籠城戦を止めて、ここはひとまず退こう、と。元々組織的な防御をしていたわけじゃないんだから、それぞれの考えで三々五々に抜けていった。それはここで終わりにするのではなく、「次のために」。だから、戦略的退却なんですよ。恥でも何でもない。これはこれでいいんです。にも関わらず、日本のマスコミの報道では、この大学占拠の攻防戦の状況を報じる際に、あたかも民主化運動の惨敗のような表現をするのが我慢なりません。本質が分かってない。
  私は、三々五々に撤退してくれて本当に良かったと思っています。もし、彼らが徹底抗戦策をとって、ほとんどの者が大学に立てこもり、警察と正面衝突をしていたらどうなるか?TVに出ていたように、事前に準備した火炎瓶やボウガンを使って警察官を殺傷していたら、・・・・。当然警察は数にものを言わせて徹底的につぶしにかかるでしょう。死人も出たでしょう。そして、大学占拠側が首尾よく防御戦闘ができてしまったら、警察が退却してしまったら、・・・もっとずっと厄介な結末が待っていました。中国政府が香港警察に見切りをつけて、介入。人民解放軍の圧倒的な制圧、鎮圧。そして次に来るのは香港全土に治安回復と称して戒厳令を敷く。…そんなことになったらますます大変。

  香港の民主化運動は、特に、(逮捕者を中国本土へ送還することを認める香港政庁の決定に対する反対運動を端緒とした)2019年6月以降のデモ戦術は、誠にもって神出鬼没にして柔軟機敏。彼らは数年前の雨傘革命の挫折を教訓にデモ戦術を改善しました。雨傘革命の失敗はバリケードを築き拠点を占拠して長期戦をしようとしたこと。そこで彼らは、リーダーや固定的な組織を持たずに、そこかと思えばまたあちらというゲリラ的デモを敢行。AIを駆使して個人を特定して取り締まろうとする中国政府や香港政庁をケムに巻いて、散々脅されてもあちこちでデモを敢行して勇敢に戦ってきました。香港警察はまさに翻弄されていました。

  彼らのすばしこいデモ戦術の勝因は、神出鬼没・柔軟機敏な流動的な戦いです。言ってみれば、イラクで地上最強の米軍を苦しめたイラクの反米武装グループの「非対称戦」です。正規軍と「通常戦」をせず、ヒットアンドアウェイで戦う弱者の戦法。勿論デモですから様相は全く違いますよ。しかし正規軍が組織的戦力を発揮して戦う戦い方に対して、相手と真面目に戦わずに、神出鬼没に政治的主張をPRしては衆参離合するというデモ戦術だった訳なので、「非対称戦」であることには間違いない。2019年の香港デモも香港警察と通常戦闘を避けて神出鬼没に戦ってきました。にも関わらず、その彼らが結局は大学占拠という固定的かつ組織的な通常戦闘をしようとした。通常戦闘なら正規の準軍隊である警察は組織的にその力を発揮します。世界の軍隊が学ぶ「戦術」ではこうした組織的な通常戦闘の戦理を「優勝劣敗」といいます。組織的戦闘力の優勢なものが勝ち、劣るものは敗れる。但し、それは「組織的な通常戦闘をしたら」の話。だから、組織的に戦おうとせず、デモで政治的主張をPRしたらさっさと解散していいんですよ。戦闘力で戦うのではなくて、世界の報道に載せてもらって、TVやYoutubeで世界の皆さんに見てもらって、国際的な支持や賛同や声援・応援を得られればその方がいいんですよ。こんなところで腹を切る必要はないんですから。

  確かに、大学占拠は風前の灯ですが、香港民主化デモそのものには追い風も吹き始めました。
在香港英国領事館に勤務していた香港人の方が、中国の秘密警察に拉致・監禁・拷問を受けて、民主化デモに英国がバックにいることや民主化運動に加担している中国本土の者について詰問された、というニュースが出てきました。2019年10月下旬、英国外務省は在英中国大使に対して抗議しています。(※2)
また、2019年11月19日、米国上院議会で香港の人権を及び民主化運動を支持する「香港の人権及び民主化の法案」が可決しました。(※3)

  香港の皆さん、こうした追い風も吹いていますよ。今回の一時的な退却をトラウマにすることなく、早く立ち直ってください。大学占拠のような固定的組織的な戦術はもうやめて、また神出鬼没型で流動的にデモを続けてもらいたいものです。

※1: VOA記事「Hong Kong Protesters Increasingly Desperate as Campus Standoff Continues」(November 19, 2019 08:23 AM)より
※2: VOA記事「Ex-British Consulate Staff Says Chinese Police Tortured Him」(November 20, 2019 03:38 PM)より
※3: VOA記事「Senate Passes Bill to Support Human Rights in Hong Kong」(November 19, 2019 08:12 PM)より

(了)

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2019/11/19

香港デモへの包囲・掃討戦始まる

香港デモへの包囲・掃討戦始まる

やはり始まりました。香港の民主化デモが占拠している大学の一つ、香港中心部にある香港工科大学にて、遂に警察による包囲・掃討作戦が開始されました。

VOA記事「Student Protesters Trapped at Besieged Hong Kong Campus」(November 18, 2019 09:00 AM)及び「Polytechnic University President Urges Hong Kong Protesters to Leave」(Updated November 18, 2019 04:00 PM)は、刻々と戦況を報じています。

11月18日の未明、既に香港工科大学の包囲環を形成した香港警察は、猫の子一匹逃げ出せないようにしておいて投降を呼びかけました。一部の学生は投降に応じ、また一部は包囲を破って逃走を試みて警察に捕らえられました。じ後、じわじわと包囲環を圧縮。一部の強硬派の学生は火炎瓶や割ったレンガ等を警察に投げて抵抗。更に過激に、大学構内のインフラの破壊などで対抗。しかし、徐々に警察の包囲環が縮まり、抵抗して逮捕された学生らが後ろ手をプラスチック紐で縛られて報道陣の前を連行されていく。もはや、この戦いに未来は見えません。

私見ながら、もはや大学占拠側に勝ち目はありません。香港警察は、デモが占拠している数個の大学のうち、一番広報効果の高い香港工科大学を狙って、報道下の包囲・掃討戦を香港の市民に見せています。香港市民のほとんどが、この光景を固唾を飲んで見入り、そして失望感を感じることでしょう。香港政庁と警察は、中国政府や人民解放軍に制圧される前に、一部の自治魂、一部の香港魂を持って、何とか香港人の手で事態を収拾しようと試みているものと思います。だったら、その方がいい。デモはまた違った手段・方法でやれるから、ここは一旦平和裡に引いた方がいい。相手が香港警察のうちに。

(了)

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2019/11/17

香港、軍が鎮圧準備を開始した!

香港大学占拠を軍が鎮圧準備中!

またも状況が動きました。
2019年6月から現在進行中の香港民主化デモは、現在では数個の大学を拠点とした防御戦になりつつあります。11月16日、そんな中、中国人民解放軍の兵士が「ボランティア」と称して大学周辺の瓦礫を清掃しているとのニュース(※)。人民解放軍が香港の街中に入ったのは初。本来は、香港政庁が治安悪化などで中国政府に要請しない限り(当然まだ要請していませんが)、入域できないことになっています。そのグレーゾーンを狙って、「ボランティア」で入って来たというもの。香港の議員や識者も、ボランティアとは言え人民解放軍が入域したことに懸念を示しています。
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Personnel from the Chinese People's Liberation Army barracks in Hong Kong emerged on to the city streets on Nov. 16, 2019, to help with the cleanup after a week of violence and disruption caused by pro-democracy protesters. (VOA記事「In Hong Kong, Chinese Soldiers' 'Voluntary' Street Cleaning Stirs Worries」(November 16, 2019 04:03 PM)より)

私見ながら、これは人民解放軍の現地偵察であり、既に鎮圧作戦の作戦準備が始まっている、と解釈します。軍という組織が任務を与えられると、その任務を分析し、任務を具体的に達成すべき目標に具体化します。そして、その達成要領を具体的に計画します。今、その人民解放軍のボランティア達がやっているのは、その敵情視察及び現地偵察です。間違いない。
人民解放軍にとり、今回で言えば、大学を占拠した暴徒の鎮圧が任務。具体的な達成目標は、大学の包囲環の構成、そこで暴徒に投降を呼びかけ、じ後掃討戦です。その具体的実施要領は、圧倒的な制圧射撃(恐らくは催涙弾とは思いますが、部分的には堅固な障害物の打通と暴徒の戦意喪失を企図した対戦車砲のような指向性炸薬の直接照準射撃も)、最後に包囲環を圧縮して撃滅・掃討になるでしょう。現地を見て偵察したいのは、その掃討の際の突破口と突入方向とそこへの接近経路。加えて暴徒の人数が多いので、掃討に伴い、逮捕して後方に下げる動線の確保も重要です。

因みに、香港には既に19箇所12個の人民解放軍の駐屯地があり、5000〜10000の兵力で駐屯しています。しかし、前述のように香港政庁の要請なくば香港市街地には入ってこないことになっています。恐らく、今回の鎮圧のため既に暴徒鎮圧用の精鋭部隊を増強し、暴徒鎮圧用の武器や装備を揃えているでしょう。彼らは、満を持して作戦開始の命令を待っている。

ですから、香港の民主化運動のみなさん、他にも有効なデモ戦術戦法はありますから、大学占拠は早々に撤収してください。彼らが作戦開始したら、圧倒的火力と兵力で蹂躙される運命しかありません。他日を待ちましょう。

※ VOA記事「In Hong Kong, Chinese Soldiers' 'Voluntary' Street Cleaning Stirs Worries」(November 16, 2019 04:03 PM)より

(了)

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2019/11/16

香港大学立て籠り、ここは退いた方がいい、引き際を誤るな!

  2019年6月から5ヶ月に及ぶ香港の民主化デモは、今や数個の大学を拠点とした立て籠りのフェーズになっています。香港政庁の林鄭月娥長官も中国政府の習総書記もデモを暴徒・犯罪者と表現。そろそろ危険水域の予感がします。香港のデモのみなさん、神出鬼没のデモの方が得策ですよ、大学立て籠りはそろそろ引き際ではないでしょうか?さもないと、香港政庁と中国政府の思うツボ、暴徒・犯罪者の汚名を着せられて包囲・殲滅されてしまいますよ。
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Police in riot gear react to protesters near the University of Hong Kong, in Hong Kong, Nov. 16, 2019. (VOA記事「Xi Warning May Prompt Harsher Crackdown in Hong Kong, Analysts Say」November 16, 2019 01:59 AMより)

  11月15日付のVOA記事を追うだけでも、同じ香港デモの大学立て籠りを報じていながら、「一部はバリケードを解いて引き上げ始めた(※1)」というのもあれば、「新たな、更に暴力的なフェーズに入る(※2)」というものも。大学内でも一部に去る者もいれば、大学内に残って警察との戦いの準備を更にエスカレートさせる者もいるようです。徹底抗戦するつもりのようですが、拠点に集結するということは普通の一般市民とも遊離してしまって、その拠点を包囲されると、それで終わりですよ。止めましょう。戦術を変えた方がよい。くどいようですが、それは奴らの思うツボ。このまま大学を拠点に過激な行動が続き、小衝突を繰り返していると、ついに事態好転の機を逸します。奴らは大学をワザと好きにさせておいて、「もはや香港警察だけでは無理」とか「もはや一線を越えた」と言える何かの事件を契機に、香港警察+人民解放軍に完全に包囲され退路を断ってきますよ。大学を腹切り場として圧倒的な鎮圧を受けることになり、民主化運動そのものが根絶やしにされてしまいます。

  やられた。またブログを書いている間に新たな記事が出ました。
The Hong Kong government is probably considering measures to strengthen its crackdown on anti-government protesters after Chinese President Xi Jinping issued a direct warning, urging the city to “end violence and restore order,”(※3)てことは、習総書記は香港政庁に「早期暴徒鎮圧、治安回復」の命令を発し、香港政庁はついに鎮圧のための準備に入ることが考えられます。

  悪いことは言わない。大学は早々に引き上げましょう。今ならまだ間に合う。相手が香港警察のうちに引き上げた方が利口です。頼むから。

※1: 「Hong Kong Protesters Issue Demands, Begin Leaving a University
By Associated Press」(November 15, 2019 01:31 AM)
※2: 「Hong Kong Protests Enter New, More Violent Phase」(November 15, 2019 12:27 PM)
※3: 「Xi Warning May Prompt Harsher Crackdown in Hong Kong, Analysts Say」
(November 16, 2019 01:59 AM)

 (了)

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2019/11/11

香港デモは犠牲者出すも進化中。しかし中国軍の介入を懸念。 

  香港のデモは収まる気配なく、先週2019年11月5日(火)には警察との衝突の中、デモ参加の学生が死亡、一部の過激な市民が中国政府容認派議員に対する傷害事件も。警察側の過剰な対応への批判が強まる中、香港情勢は益々混迷が深まる模様。しかし、2014年の雨傘革命の失敗を教訓に、デモ戦術は進化。中国政府や香港政庁の各種締め付けを掻い潜り、あの手この手で捕まらずに強靭に対抗中。しかし、私見ながら、中国政府はいつまでも黙って待ってはいない、と人民解放軍による介入を懸念しています。
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June 9 demonstration, at Arsenal Street, capturing Hennessy Road, Admiralty. 
(ウィキペディア「2019年香港民主化デモ」より)

<状況> まずは状況から。
(2019年11月9日付VOA記事「Protests Expected at Hong Kong Shopping Malls One Week After Violent Clash」参照)
① 香港の反政府デモは収まる気配なく、先週も市内の各所でデモがあったが、一部の過激な市民が中国政府容認派議員に対してナイフで切りつけ、議員の耳を噛みちぎるなど事件も起き、デモと警察と衝突が各所で生起。そんな中、デモ参加者と見られる学生が重体で見つかり、病院で死亡、6月以来の反政府運動で初の犠牲者が出た。

② 11月9日(土)に香港政庁の直近にあるタマラ公園にて、犠牲者となった学生の死去を悼む夕べが営まれ、何千もの多くの市民が参列し、静かに追悼の誠を捧げた。

③ 香港警察は、会見にて学生の死亡への関与を全面否定。学生は建物から誤って落下したものと見られ、そこに警察は立ち入っていなかった旨声明。しかし、市民の反発や疑念は根強く、追悼の夕べをよそに「報復」を言明する者、月曜からのストを呼びかける者、各所でデモやバリケードを築く者をはじめ、早くも警察との衝突なども散見された。
  (※11月11日現在、VOA記事にはないが、今朝ほど警官が学生に発砲して重体、という事件が発生。状況は急変するかも…)

<私見ながら>
◯ 進化によって生き延びる香港デモ
  香港の反政府デモは、初の犠牲者を出してしまったことで益々混迷しそうです。実は、私はつい最近まで香港デモは早晩収まるだろうと、タカをくくっていました。2014年の雨傘デモの際の収まり方と同様、デモの過激化と長期化で市民の心が逐次デモから離反し、デモ長期化で香港のそもそもの経済活動が停滞し、中心人物達も中国政府と香港政庁にうまく押さえ込まれて終息していくのだろう、と思っていたのです。
  ところが、香港のデモは2014年の雨傘革命の教訓に学び、良い意味で「モグラ叩き」のように神出鬼没のデモ戦術に進化を遂げています。優秀な香港警察の一枚も二枚も上手をいき、官憲に捕まらず、AIの顔認証カメラにも認識されず、各種システムやデジタル的な痕跡からの追跡をも免がれ、今のところ香港警察を翻弄して反政府デモをPRした上で逃げ切るしたたかさを誇っています。

  では、何を学んで如何に進化したか?2014年の雨傘革命の際、香港の中心部にバリケードを築き長期間占拠したこと、デモは公然たる中心人物の指示で動いていたこと、デモ参加者は中国政府による各種システムや電子情報的な追跡で個人が特定されたこと、の3点で綻びを生じました。  
  香港経済中枢の長期にわたる占拠は市民の離反を生み、デモの首謀者が公然とアジったりしたことでデモの中心人物が逮捕されてデモの支柱が欠け、更にデモ参加を中国政府に特定された市民は様々な個人特定の報復・妨害に会いました。
  これら3点に学んで、まず、特定地の長期占拠を辞め、香港の英雄ブルース・リーの「水のように変幻自在にあれ」という名言を肝に銘じ、デモの仕方も定型なく神出鬼没かつ変幻自在に変えました。
  次いで、デモには特定の中心人物はなく、指揮命令系統なし。割と穏健派も参加できるデモもあれば、勇武派と言われる一部過激な攻撃・襲撃をする一派まで、参加形態もいろいろ。雨傘革命の当時の中心人物も姿を現わしますが、彼らは指導者ではない。あれ?これって「踊る大捜査戦:レインボーブリッジを封鎖せよ!」で見ませんでした?テロ的な犯罪があちこちで起きる一連の事件、この犯人たちには指揮命令系統のピラミッドなんかない、水平的な組織、いやそもそも組織がないのかも。そんな、誰にも命令されず、ただ自分の考えで神出鬼没、変幻自在な事件が起きるという話でした。もはやプロファイリングや捜査による犯行組織の次の行動の読みや犯人像の絞り込みなどができない世界。あれを思い出しましたよ。
  そして第3に、中国政府顔負けの国家主導ハッカーばりの電脳化を遂げ、中国政府にトレースされないよう情報伝達を工夫。警察の行動の情報共有やいつどこで如何なるデモ戦術をするか、参加者間で意見交換するなど、あの手この手を駆使。世界に冠たるサイバー攻撃能力を有する中国政府をもってしても手を焼くネットワークを構築しています。更に現場では、手信号で前進、攻撃、退避、催涙弾処理などを伝達したり現場に必要な物資の調達・配給をしたり。
  香港デモは、このように強靭にしてしなやかなデモ戦術に進化し、市民に離反されず一蓮托生となった息の長い戦いを継続しています。全く、素晴らしい進化を遂げ、勇敢に戦う香港市民。心から応援したいと思います。

◯ 香港デモの展望: 私見ながら中国政府の軍による介入を懸念!
  進化しつつある香港デモに、今後如何なる展望が考えられるでしょうか。

  望ましくは、この香港市民の勇戦敢闘を国際社会がバックアップし、中国政府の弾圧・鎮圧を思い留まらせ、民主化要求を中国政府に飲ませること。
  しかし、このブログを書いている11月11日現在で、デモと警察の衝突で警官が取り押さえようとした学生に発砲し学生は重体、という事件が起きました。

  私見ながら、最大の懸念は「もはや香港警察では抑えられない」と中国政府が香港警察を見切り、人民解放軍の奇襲的・圧倒的な介入によって香港を戒厳令下に置くことです。勿論、国際社会から非難されるでしょうが、それを中国政府が恐れるか?「否」という話だと思います。中国政府にとって、香港問題は中国の内政問題、死活的国益です。国際的非難を恐れて、香港の市民に民主化の譲歩するか?ここで譲歩したら、台湾問題は勿論のこと、中国のあちこちで市民の反抗が始まるかもしれない。中国政府=中国共産党一党支配の国是として、あり得ない。残酷なようですが、現実的にそれが中国の本質です。

  従って、香港市民の皆さんには、デモは過激にならず穏健に細々と息長く、国際社会へのPRを重視して、慎重に頑張ってもらいたいと思います。中国政府をなめても信用してもいかん。まだ香港政庁を相手にしている方がなんぼも「まし」ですから。
  本当に、気をつけてね・・・・。

(了)

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2019/11/03

焦れる北鮮、トランプは塩対応

焦れる北鮮、トランプは塩対応

 2019年10月31日(木)、北朝鮮はまたもミサイル発射。これに対し、相変わらず、米国トランプ大統領は全く音無しの構え。今回の発射は、北朝鮮が一向に進展しない米国との交渉に苛立ちを見せているものと思われます。
 朝鮮側の複雑な思惑の交錯について、2019年11月1日付VOA記事「Eyeing Impeachment Inquiry, North Korea Pushes US on Denuclearization Deadline」が報じています。
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FILE - President Donald Trump reacts to the crowd after speaking during his reelection kickoff rally at the Amway Center, June 18, 2019, in Orlando, Fla. 本年6月に再選に向けてのフロリダ州でのキックオフにて(上記VOA記事より)

<状況>
① 10月31日(木)、北朝鮮は再びミサイルを発射、ミサイルは日本海の日本の排他的経済水域内に落下。北朝鮮は、米朝交渉が本年末に期限を迎える前に、非核化と引き換えの経済制裁の先行的緩和などの一定の進展を促すため、これらの一連の段階的に高いプレッシャーをかけているものと思われる。事実、北鮮政府は発射前に同趣旨の声明を出している。

② 本年(2019年)2月のハノイでの米朝首脳会談の後、特段の進展なく、10月のストックホルムでの事務レベル交渉でも進展なく、北朝鮮高官は期限を無視するのは米側にとって「重大な誤り」であり、いつでも交戦に至る可能がある旨、警告している。

③ これらの背景として、北朝鮮では複雑な思惑が交錯。北朝鮮にとって弾劾審査は左程重視しておらず、むしろ来年の次期大統領選を最重要視。北朝鮮は、来年の選挙を見越して本年末の交渉進展期限を設定。トランプの再選なき場合、米朝関係は逆戻りの可能性もある。よって、現トランプ政権のうちに交渉を進め制裁緩和を獲得したい、と企図。他方、金正恩にとり、歴代の米大統領は北朝鮮との直後交渉を拒んでおり、首脳会談まで実施できたのはトランプ大統領のみであり、実は再選が望ましい。交渉の足踏み状態への焦れあるものの、トランプを国内的窮地に追いやることは避けたい。複雑な思いで状況を見極めている模様。

④ 他方、トランプ米大統領は、9月以来弾劾問題(※)への対応に全力投入、現在下院において弾劾審査の手続きの渦中。北朝鮮との非核化交渉で米側が先行的に譲歩し、経済制裁を緩和するような政治的にリスクが高いことは何もしないであろう、と見られている。(※次期大統領選の有力候補バイデン氏の子息のウクライナ国内での問題の捜査をめぐり、トランプ米大統領が同国への援助をテコに恣意的に関与した、との疑惑)

<私見ながら>
◯ 北朝鮮が、米朝交渉の暗礁乗り上げ状態に対して、焦れに焦れていることは明白ですね。これまでもミサイル発射は数度に及んでありましたが、もはや「テスト(=発射実験)」や「データ収集のため」の段階のものではなく、必要ないのに政治的メッセージの発信という手段になっています。これまでも、政治的メッセージとして国営放送で相手を口汚く罵ったり、国連や交渉後のぶら下がり会見で北朝鮮高官が不快感や要求などのコメントを発することがありました。また、ワザと米本土に届く長射程化や潜水艦発射化、弾頭の多弾頭同時多目的攻撃可能化などをPRしたこともありました。今回のは、PRすべきほどの驚愕のものはなく、発射時間もこれまで早朝だったのに今回は夕暮れ時。結局、焦れや不快感をPRしているとしか、今回の発射理由の解釈の仕様がない感じです。
   他方で、金正恩のトランプに対する愛憎合わせ持つ複雑な心境は、十分に理解できます。

◯ では、その気持ちはトランプに伝わっているのか? 全く伝わらないないでしょうね。状況④の通り、トランプさんは今、バイデン氏の息子をウクライナ政府に不当な圧力をかけて捜査させたとの疑惑でてんやわんや。大統領としても本来の内政政策や外交政策を脇において、この問題への対応のために報道官を新たに採用したり、CMを作ったり、共和党議員と次々に会ったり、・・・。なぜなら、つい2ケ月前くらいまでは弾劾はないだろうと言われていたこの案件が下院で可決され、上院で審査となるのはほぼ確実。歴史上この境遇になった人はトランプさん以前には、南北戦争時代のアンドリュー・ジャクソンとクリントン、そして上院の弾劾の前に辞任したニクソンの3人しかいないのですから。何とか、そんなことで歴史に名を残すことがないように、とトランプ大統領の頭にはこれしかありませんよ。

   自分のケツに火の粉がかかった状態ですから、恐らく北朝鮮への対応などout of 眼中。トランプ米大統領は、北朝鮮のミサイル発射の報を受け、まず初めは「この忙しい時になんてバカなことを・・・」と内心激怒し、それでも落ち着いて側近の説明や分析を聞き、言いたいことはグッと丸呑みして、マスコミの前では大人の対応。いやー、トランプさんも成長しましたね。結果的に、焦れったくてミサイル発射し、「期限」を振りかざして米国の譲歩=制裁緩和〜解除を期待したって、トランプ米大統領は相変わらず塩対応なのです。
   実質的な対応は何もしないでしょう。北朝鮮のいう「期限」とは、米国が一方的に制裁を解除することが非核化のスタート、とでも考えているようです。その一方で、米国の考えでは、まず北朝鮮が非核化の具体的なプロセスとして実質的な核実験施設や核の濃縮技術などの核開発施設の廃棄を進めるとか、そういった非核化の実質的推進の証拠を見せない限り、制裁は解かないと終始明言しています。 よって、「期限」を振りかざしたところで何も動かない。結局、北朝鮮の「片思い」ないし「一方的な思い込み」の強い瀬戸際外交としか言いようがありません。

   怖いのは、北朝鮮が更に焦れて、「おい!期限を無視すんじゃないよ!」とばかり、例えばグアム島やハワイ諸島の近所にミサイルを撃つとか、そんな状況を見誤ったことをしたら、さぁ大変。トランプ大統領は必ず実力行使に出るでしょう。むしろ、直接軍事衝突の一歩手前を演出して、弾劾が吹き飛ぶような危機を作り、対北朝鮮で米国の国論を統一するかも・・・・。北朝鮮がそうした愚挙に出なければいいのですが。

(了)


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