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2020/02/29

新型コロナ: 中東でイランバッシング

中東でも新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、拡散源としてイランがやり玉に上がっている。中東各国は、「イランは新型コロナ対応で国内での感染拡大の実態を隠蔽しており、拡大阻止のための施策が不十分であり、近隣各国に感染が拡大している」とイランに対する非難や締め付けを強めている。

(参照: VOA記事2020年2月27日付「Virus Response in Mideast Tainted by Political Views of Iran」及び「Virus Response in Mideast Tainted by Political Views of Iran」(下の写真も同記事より))
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イラン政府の新型コロナ対応の記者会見(汗を拭って説明している保健省次官が実は感染が判明)

<状況>
①2020年2月27日現在のイランにおける新型コロナ感染による死者は24名で、中国以外の国では最高値、これはわずか2日前の25日の発表で死者15名であったことからしても感染拡大の程が窺える。内外からの指摘では、イランの感染者や死者はこの公式発表の数字よりずっと多く、イラン政府は感染の実態を隠蔽し報道管制を行なっていると言われている。イランのある地域の議員の告発によれば、感染の焦点であるコム市内だけでも既に50名死亡しており、感染が拡大しつつあるという。感染者と思しき患者が当局に救急車で何処ともなく連行される映像がネットに流れたり、政府の発表をしていた保健省の次官自身が感染していたことで、内外の報道の注目を浴びている。

②イラン近隣各国では、既にクウェートとバーレーンで数十名、イラク6名、レバノン2名、をはじめ中東地域で240名の感染者が確認されており、これらはイランからの感染拡大と受け止められている。近隣各国政府も神経をとがらせ警戒感を顕にしている。イラク、トルコ、パキスタン、オマーンなどでは、イランから感染者が自国へ流入しないよう飛行機乗り入れや陸路・海路の渡航者や帰還者の入国をシャットアウトしている。
(ここまでは前回のブログでお話しした通り)

③イラン近隣各国では、元々の反イラン感情もあって、半ば政治的な意図で「今回の新型コロナウイルスの中東各国への感染拡大はイランが元凶」との報道やイラン締め出し政策を講じている模様。
反イラン色が強いペルシャ湾岸諸国は特に旗幟鮮明。サウジアラビアでは、サウジ政府系報道機関が「イラン政府はどこか腐っている。イラン政府は国内の多くの市民に感染が拡大していることを隠し通している」との激しい口調でイランの拡大阻止不全を糾弾。また、ドバイも地元紙が自国内の感染者は全てイランが感染源であると一面トップで報じた。
国内にシーア派が一定程度いて、反イランと親イランが混交しているレバノンとイラクではやや複雑。レバノンもイラクも国内に親イラン勢力がイランの強力な支援を得て国内政治に強い影響力を持っている。反イラン派はイランが感染源であると喧伝する一方、親イラン派は沈黙を守る。しかし、親イラン派が政権を取っているイラクでさえ、イランから入国した者が感染が判明したことに伴い、さすがに国境を封鎖している。

<私見ながら>
◯ 中東各国のイランバッシングは半ば政治的な「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」バッシング
感染防止、特に水際での流入防止のための純然たる医学的・疫学的な政策ならともかく、イラン近隣の中東各国のアンチ-イラン的・政治的なプロパガンダや悪評の喧伝や意地悪的な措置については国家としての品格を疑います。この機に乗じてイランを袋叩きする国々や勢力は、政治的な思惑が背景にあるのであって、見ていてあさましいですね。
確かに中東地域での感染拡大の何分の1かはイランに帰すると思います。しかし、ほとんどの感染源は中国でしょ。イランに帰するって話も元々のウイルス発祥や感染源は中国ですから。例えば、ドバイの地元紙の一面トップの国内の感染者はイランが感染源というのは誤報で、感染者の多くが中国からの帰還者。にも関わらず「中国」については一切糾弾していません。中国が自国に多額の投資をしていることに起因していると考えられます。

◯ 敵は新型コロナウイルス、敵を見失うべからず。
イランの新型コロナ対応の会見でいつも説明していた保健省の次官が感染していたという話。その人は保健省次官ですが、医師でもあり、公式会見の場でスポークスマンとしての立場もありながら、感染拡大阻止の現場の第一線の医療現場にも立っていたそうです。ある日の会見では油汗を拭き拭き質疑応答していて、会見後の検査で感染していたと判ったと言います。病状は安定しているそうですが、彼は第一線で戦い不幸にして敵弾に倒れました。立派な戦死ですよ(死んでないけど)。見上げたもんです。
敵を見誤ってはいけません。敵は新型コロナ。イラン政府は確かに拡大阻止をミスリードしているかもしれないし隠蔽しているかもしれない、そこを糾弾するのはまだいいし、自国の感染防止のためにイランからの入国に制限を設けのも適切な処置だと思います。しかし、この機に乗じて政治的にバッシングするのは筋違い。
平素はギクシャクした関係にあっても、いかにウイルスを封じ込めるか、中東地域の各国で情報交換し協力・協調してもらいたいところです。まぁ無理でしょうけど。
(了)


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2020/02/26

イランで新型コロナ蔓延か?近隣国も警戒

新型コロナウイルスの勢いは衰えを見せず、今や世界中に拡散しつつある模様です。当初、発祥地中国を中心とするアジアに向けられていた目は、欧州ではイタリア、中東ではイランが注目されています。各種報道によると、イランでの感染拡大はもはや蔓延かも知れず、その実態をイラン政府が隠蔽しているとの指摘もあり、近隣国にはパニックの兆候も見られ警戒を強めています。
(参照: VOA記事2020年2月24日付「Some Signs of Panic as Coronavirus Appears to Spread from Iran to Neighboring States」(下の写真も同記事より)及び「High Anxiety in Iran as Coronavirus Disrupts Daily Life」、2月25日付「Senior Iranian Health Official Infected with Coronavirus」及び「Pompeo Blasts China, Iran for Response to Virus Outbreak」)
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マスクをつけて通勤するイランの女性たち(テヘラン:2月23日) Commuters wear masks on a public bus in downtown Tehran, Iran, Feb. 23, 2020. Iran's Health Ministry raised the death toll from the new coronavirus to eight people in the country.

<状況>
① イラン政府の2月25日の公式発表によれば、感染95名、死亡15名。しかし、イランのある地域の議員が告発するところでは、イラン政府は意図的に感染の実態を隠蔽しており、ある地域だけでも既に50名は死亡はおり、感染が拡大しつつあるという。事実、政府の発表をしていた保健省の次官自身が感染していたとのこと。

② 新型コロナウイルスの感染の脅威は、広く市民生活に影響を及ぼしている。イランでは、イラン核開発を糾弾する米国の厳しい経済制裁により、マスクや消毒液をはじめ、医療用の薬品、資材が著しく欠乏し、市民の手に入らず、医療機関でさえ不足している。市内では、感染したと思しき者が何の説明もなく救急車に押し込めらて何処かへ搬送されるなど、市民の不安が募る。

③ イラン近隣各国では、既にクウェート、バーレーン、レバノン、アフガニスタンなどでも合計10名以上の感染者が確認されており、イランからの感染拡大と受け止められている。近隣各国の市民の一部にはパニックが見られるなど、各国政府も神経をとがらせている。イラク、トルコ、パキスタン、オマーンなどでは、イランから感染者が自国へ流入しないよう飛行機乗り入れや陸路・海路の渡航者や帰還者の入国を拒否する施策も始まっている。

④ ポンペイオ米国務長官は2月25日の会見にて、中国とイランの対応について名指しで批判した。同国務長官によれば、両国政府は感染拡大阻止のためのレスポンスが不適切であり、かつ、自国内での報道機関に対する検閲や圧力により情報が正しくつたわることを妨害し、実情を隠蔽している模様。

<私見ながら>
◯ イランの状況
  イラン側の言い分も聞いてみたいところですが・・・。確かに、公式の発表やロウハニ大統領の発言には強気発言が多く、つい最近でもロウハニ大統領は「この状況は週末には改善し、通常に戻るだろう」など強気を通り越して能天気(無責任?)な発言をしています。イランはイスラム教シーア派の教義が国是の宗教的独裁国家です。核開発もそうだしサイバー攻撃もそうですが、本来は極めて自己防衛的な思いから発しながら、結果的に周辺国・関係国にとっては極めて悪質かつ攻撃的な脅威と見える国です。国内・国民への安心付与のため、感染の状況の報道統制や隠蔽、情報操作、更に感染者を闇に葬るような対応など、指摘されているような状況がありうることは想像に難くありません。周囲の国々も、イランの公表内容などを信頼しておらず、自己防衛措置に走っている状況なのでしょう。

○ 新型コロナ禍とは、終わってみて正体が分かる気がします
新型コロナウイルスは致死率こそ低いものの、感染の拡大状況からして過去のSARS、MARS、鳥インフルエンザを凌駕する勢いを見せています。過去、今回のウイルス禍ほどの世界的な経済的影響を与えた感染症も例がないと思います。確かに感染拡大の速さと世界的な拡散の地理的大きさにおいて圧倒的です。
しかし、・・・真の怖さは何なのでしょうか?私見ながら、病気としての怖さそのものよりも、感染拡大の速さと広がりに対して、我々がパニックを起こしているだけではないかとも思います。一時期、エボラ出血熱の対応のため、自衛隊のアフリカへの派遣が検討されたことがありました。あの頃の認識・覚悟をからすると、少々の違和感を感じています。既知のインフルエンザも、年によって流行し感染が拡大し、高齢者や基礎疾患のある方がかなりの数字で亡くなられます。数字的には、新型コロナとそう変わらない、との指摘があります。病気としての危険性なら、SARSやMARSの方が恐いウイルスでした。なら、なぜかくも恐れられるのでしょう。生まれてこの方、過去これほど流行を恐れた感染症ってありました?確かに、感染拡大の速さと広がりは群を抜いています。今や経済大国となった中国は世界的な人の交流があるので、基本的に世界的拡散の基盤はありましたが、今回の感染拡大の速さと広がりの拡散の原因は、間違いなく中国人の春節(旧正月)の海外旅行シーズンと重なったというタイミングでしょう。こんなことになるのが分かっていれば、習近平主席も春節前に民族大移動に釘を刺せばよかったのかもしれません。今となっては後知恵に過ぎませんがね。
しばらくは続きそうですが、この感染危機が去って冷静に振り返る時期になったら、この病気も既知の感染症となり、予防もでき、罹患しても治療薬のある、普通の感染症の一種になるのでしょう。そうなったら、正しい評価が出るのだと思います。今の状況は、本当の姿以上に大きい・恐いものと受け止められている気がしてなりません。

(了)


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2020/02/21

トランプ: 中国メディアを宣伝機関扱いに


トランプ政権は、中国政営メディアを報道機関の位置付けから「中国政府の強い統制を受けるプロパガンダ機関に過ぎない」として在米の外国大使館・領事館と同等の扱いに変更。これにより中国国営メディアは全職員の名簿提出や米国での保有資産状況の報告などが義務付けられる。中国がこれに反発することは必至であり、今後在中国の米国メディアが報復措置で強い統制を受けることを懸念する声も。
(VOA記事2020年2月18日(火)付「US Imposes New Rules on State-Owned Chinese Media Over Propaganda Concerns」参照。下の写真も同記事から)
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英字紙チャイナ・デイリーを読む人民解放軍将校

<状況>
① 2月18日(火)、トランプ政権は中国国営メディア5社(the Xinhua News Agency新華社通信、China Global Television Network中国国際テレビ、China Radio International中国国際放送、China Daily Distribution Corp.英字紙チャイナ・デイリー、Hai Tian Development USA, Inc.米国海天発展)を大使館や領事館と同等のランクに位置付ける措置を発表。これにより、これらのメディアは全職員の名簿(雇用も解雇も)を提出し、米国での保有資産(賃貸も保有も)を米国務省に提出することが義務付けられる。

② 今回の措置の理由は、これらの中国国営メディアが、中国政府の強い統制を受け中国共産党のプロパガンダ機関となっており、もはや報道機関ではない、との米国政府の判断。ある高官によれば、これは習近平主席がその地位についてから一層統制が強まっているとのこと。

③ VOA記事では中国政府の反発について具体的言及はないが、この記事の翌日2月19日の中国外務省の記者会見にて、すぐさま激しく反論。しかし、いかなる報復を考えているかとの質問には、報復する権利があると言うにとどめた。

<私見ながら>
○ しかしトランプって人は・・・
  無茶苦茶な大統領ですよね。普通の米国大統領なら、ここまであからさまに好ましく思っていない国に対してあの手この手で攻撃しません。ファーウェイへの狙い撃ち攻撃もそうですが、今度はメディアが攻撃目標になりましたね。今回の中国のメディアの格下げ的扱い、冷戦華やかなりし頃のソ連の国営メディアもプロパガンダでしたが、今回のような扱いはしていませんでした。確かに中国国営メディアの偏向報道や政治宣伝は凄いけれども、今に始まったことではなく、およそ共産国や独裁国家というものは、大方偏向報道だし政治宣伝ばかりでしょう。加えて、確かに習近平が権力中枢に上ってから、強力にメディアを統制しているかもしれませんが、トランプの米メディアへのケチの付け方も悪名高いですよね。CNNの名物記者を「フェイクニュース!」と言って罵倒したのも記憶に新しいところです。その反面、自分を支持するFOXニュースをべた褒めしたりヒイキするんだから、それも一種のメディア統制だし、偏向報道だし、プロパガンダですよ。

しかし、実は「トランプもたまにはいいことやるじゃないか・・」と、心の中で今回の中国メディアへの措置に拍手している自分もいます。・・・おっと、こういうのがトランプを大統領にした米国民の支持層の思いなんでしょうね。米国社会は、第2次世界大戦後の世界を牽引し、優等生であろうとし、オピニオンリーダーたろうとしてきました。歴代大統領は自由や民主主義のリーダーであろうとしてきたし、言動は表面上高邁な言葉を説いてきました。グローバリズムを提唱し、各国のそれぞれのナショナリズムを局限し、保護主義や移民排斥主義を最小化しようと、米国自らが率先垂範しようとしてきました。そんな米国社会に、黙っているけどモヤモヤしたサイレントマジョリティー達がいたわけです。実は腹の中で何となく思っていても表立って言えないモヤモヤした愛国心や保護主義や移民排斥の気持ちを隠していました。米国社会が世界をグローバリズムでリードしてきた利益も大きかったと思いますが、同時にそれによって深刻な副作用もあったわけです。労働者は雇用を失い、多くの移民や難民は受入れて、米国社会のモヤモヤ感がもはや表面に出る出口を探した頃、トランプが登場。庶民の言うに言えないタブー的なモヤモヤの思いをあけすけに物を言い放つ男、トランプ。そう、そうなんだよ!いいこというじゃないか!庶民は拍手喝采を浴びせて大統領にしてしまいました。まさに、仇花ですよ。

○ 中国は報復措置を取るか?
  私は中国は報復措置まではとらないと思います。勿論、今回の措置が不当であることを主張し、米国を強烈に批判するでしょう。しかし、在中国の米国メディアに意地悪したところで、結果は返って米国内で中国政府の米国メディアの受けている不当な扱いを報じられ、米国内の世論を反中国にしてしまうだけで、報復しているようで自分の首を絞めることになります。VOA記事の最終段落辺りに面白い話が載っていました。
"These guys operate in a far more liberal environment here in the United States than any foreign press enjoy in the People's Republic of China," the official said.
今回の米国政府の措置で不利益を受けることになる中国メディアと、いま中国にいる外国メディアはどっちが統制を受けて報道の自由を束縛されているか?当然後者。在中国のメディアは日々、中国政府からの干渉や制約の中で報道の自由が脅かされています。他方、在米国の中国メディアは、今回の措置で名簿提出や保有資産の申告など、確かに不利益を被るかもしれませんが、中国よりはずっと米国内でリベラルな環境の中、報道の自由に関して米国政府は一切の制約を与えていません。

(了)

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2020/02/15

北朝鮮:新型コロナ拡大の危険性

<北朝鮮は新型コロナを水際阻止に自信?>
猛威を振るう新型コロナに対し、目下鎖国中の北朝鮮は、自信を持ってシャットアウトしていると豪語しています。発症例はゼロであり、空路も陸路も国外からの旅客を拒否し、既に北朝鮮に入国した人員に対しても30日間の缶詰め期間を実施。確かに、表面上水際で阻止しているように見えます。

<既に感染拡大かも>
しかし、韓国メディアは、北朝鮮では実際には新型コロナウイルスの感染例が出ていると報じています。医療技術レベルや感染症対策が不十分であるにも関わらず、「自己完結で防護できる」として外部の援助を拒否する北朝鮮。実際に既に新型コロナの感染患者が出ているとすれば、満足な医療は平壌のみ、感染の検査キットもないため、感染の拡大が懸念されています。
WHOや米国も、北朝鮮でのパンデミックの危険性を懸念して、感染症対策の技術的援助の受け入れを呼びかけています。(VOA2020年2月14日付記事「US ‘Deeply Concerned’ North Koreans Vulnerable to Coronavirus」及び「WHO: North Korea Able to Test for Coronavirus, But No Cases Reported」参照。下の写真も同記事より。)
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労働に勤しむ北朝鮮労働者はマスク生産中
FILE - Workers produce masks for protection against the new coronavirus, at the Songyo Knitwear Factory in Pyongyang, Feb. 6, 2020.

<私見ながら>
◯ 私見ながら、北朝鮮は感染症対策の技術援助は受け入れないでしょう。自国の表面上の自己完結性を誇示し、余計なことはするなと拒否するでしょう。特に、米国からの支援では尚更拒否(非核化をめぐる米朝交渉の行き詰まりから)するでしょう。もし、実は感染患者が既にいたとしても、感染検査ができないので、怪しき者は秘密裡に隔離し、死亡例があっても闇に葬り、公表はしないでしょう。1918年1月頃の平昌五輪の際の新型インフルエンザの流行の際も、北朝鮮の医療体制の未整備、ワクチンや医薬品・器材の貧弱さから何十万名もの罹患者を出しながらも公表はしていない実例があります。

◯ パンデミックが起きると、ウイルスは生き延びるために進化し、更に感染力を増し感染源を多様化したり、薬やワクチンへの耐性を上げたり、更に手強い未知の新型ウイルス化するので、早期に抑え込んで撲滅するに越したことはありません。抑え込んでおいてそのウイルスを調査研究して「予防ができ治せる既知のウイルス」にしていくことが何より。北朝鮮が温床にならないように、少なくともWHOとの連携・協力は進めてもらいたいですね。

(了)

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2020/02/13

フィリピンが米軍駐留拒否を発表

フィリピンが米軍駐留拒否を発表

フィリピンのドゥテルテ大統領が、2月10日(月)に在比米軍基地協定の撤回を公式に発表、米国にも伝達しました。同大統領が政権についてから何回もこうした動きはあったため、またかよという感はありますが今回は「公式」であり「米国より中国やロシアとの連携を望む」と同大統領の発言があり、エスパー米国防長官が批判的なコメントをするなど内外に波紋を呼んでいます。よく指摘されることですが、フィリピンという太平洋及び南シナ海上の戦略的重要性のある位置に在比米軍が撤退すると、必ずや中国の進出が不可避になります。ドゥテルテ大統領ことですから、カマをかけているのかも知れませんが、アジア太平洋地域の戦略環境が変わってしまうかもしれない大問題です。
(VOA2020年2月11日付記事「Philippines Breaks Major Security Agreement with US」及び「US Defense Secretary: Dissolving Philippines Military Pact a Move in 'Wrong Direction'」参照。下の写真も同記事から)
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Philippine President Rodrigo Duterte delivers a speech during the 11th Biennial National Convention and 22nd founding anniversary of the Chinese Filipino Business Club, Inc. in Manila, Philippines, Feb. 10, 2020.


<状況>
①2020年2月10日(月)、ドゥテルテ比大統領は在比華僑ビジネスクラブでのスピーチにて、在比米軍の地位協定である在比米軍駐留協定を撤回すると発言。これを裏付けるようにフィリピンの外相がツイッターにて正式に在比米国大使館に同趣旨の書簡を送付したことを明らかにした。

②同日、ブリュッセルにてNATOの会議にだ参加中のエスパー米国防長官は、「書簡が来たばかりなのでよく消化しないといけない。」と前置きしつつ、「間違った方向へ進んでいる」と不満を明らかにした。

<私見ながら>
◯ ドゥテルテとトランプは似ている
思うに、この二人は思考・行動パターンが似ていると思います。自国ファーストの考え方、過去の外交実績や経緯や外交習慣には捉われない非常識にも見える外交姿勢、時にブラフを使って大風呂敷を広げ高くふっかけ、時に相手国をボロカスに酷評し、舌の根も乾かないうちに賞賛したり、…。
今回の協定撤回も、国際情勢・戦略論的にはあり得ない非常識な話です。まだ発効中の協定を破棄するわけですから。またブラフか?とも思いますが、腹が読めないですね。

◯ 他方、今回の協定撤回発言の前に、トランプ米大統領と本件について内々で交渉が持たれたものの、結局折り合いつかず。ドゥテルテ大統領はそれについてトランプは信用ならないという発言をしています。しかし、米朝交渉よりは複雑ではないので、フィリピンを失うことの意義をトランプ大統領が理解していれば、交渉再開〜一転継続へ、ということも考えられます。

◯米軍がフィリピンから撤退すると中国を利するだけ
ドゥテルテ大統領の先のスピーチが為された場所が在比華僑の経済界の集いです。ドゥテルテ大統領は華僑を通じて中国に色目を使い、中国からも利を得ようという深謀遠慮でしょうね。しかし、それは危険。中国はウェルカムでしょうけど、米軍に代わって中国が南シナ海を挟んでフィリピンに軍港を貸与されたりしたら、戦略地図がガラッと変わります。南シナ海は中国の内海になってしまい、東沙・西沙・南沙各諸島は中国の事実上の軍事基地に変わっていくでしょう。フィリピンは短期的に中国から色々と支援を得れるでしょうが、中長期的には必ず後悔することになります。日本にとっても、多くのエネルギー含む戦略的重要性を持つ物資の海上輸送は中国に握られることを意味します。
何とか避けたいものです。
(了)


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2020/02/09

シリアとトルコが全面戦争一歩手前

  日本のマスコミはコロナウイルスのニュースばかり喧伝していますが、中東に新たな火種が灯っています。内戦下のシリアに駐留するトルコが、ズルズルと泥沼に足を取られ、シリアとトルコの両政府軍間の正面衝突に瀕しています。
(VOA記事2020年2月7日付「Syrian Forces Advance on Rebels Despite Warnings from Turkey」(下の写真も同記事から)及び同2月6日付「Turkey Expects Russia to Immediately Stop Syrian Regime Attacks in Idlib」参照)
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In this photo released by the Syrian official news agency SANA, shows government forces entering the village of Tel-Toukan, in Idlib province, northwest Syria, Feb. 5, 2020.

◯ 状況
① 中東にアラブの春(春どころか春の嵐でしたが)が訪れた後、アサド政権下で独裁ながら平穏だった国内はISの嵐吹き荒れ、シリアは内戦状態になった。内戦はIS等の掃討が焦点となり、ロシア軍の支援を受けたアサド政権軍、米軍の支援を受けたクルド人武装組織、イランの支援を受けたシーア派武装組織が入り乱れ、共通の敵はIS等ながら相互に協力をせずにIS等はほぼ弱体化。IS等複数の反体制派武装組織は今やイドリブ県に追いやられた状態。そのイドリブ掃討が問題の焦点になっている。

② シリアにおける対IS戦で大活躍したクルド人武装勢力は、大きな犠牲が報われない結果となった。トランプ米大統領は大統領選(1916年の方)の公約通り、盟友だったクルド人武装勢力を見捨て、シリアからはほぼ撤退。クルド人武装勢力は後ろ盾をなくし今やクルド建国は諦めて流浪の民状態。イランが支援するシーア派勢力はイラクほどメジャーな存在ではなく、今やロシアの支援を受けたアサド政権の政府軍が主要な勢力。ここに立ちはだかったのがトルコ。トルコがシリア駐留を続けているのは、シリアへの領土的野望という侵略的意図ではない。トルコにとっての脅威は、アサド政府軍に追いやられる反アサド勢力や流浪の民と化したクルド人やシリア人の難民がトルコに流入してくること。既にシリアからトルコに360万人もの難民が流入し、トルコ国内で大きな社会問題となっている。その意図は防衛的であるが、やっていることは結構エグい。トルコはイドリブに逃げ込んだ反政府勢力の一部を支援してアサド政府軍と戦わせている。加えて、イドリブ県内にも停戦監視という大義名分の下で十数箇所に駐留し、陰に日向にその反政府勢力を支援し、半ば公然と援軍として戦っている。

③ かくして、トルコ軍とアサド政府軍は一触即発状態。既に1月下旬から2月初旬に小衝突は度々起きており、両軍は報復の繰り返しを双方辞めず一歩も引かない構え。トルコのエルドアン大統領は、「シリア政府軍に対し今月末までにトルコが停戦監視中のイドリブ攻撃を止めて撤退せよ!」とシリアに対して最後通告の構え。元々、エルドアン大統領はシリアにアサド大統領の打倒を標榜しているため、シリアのアサド大統領にとってトルコのエルドアンは不倶戴天の敵、2月中の撤退などあり得ず、一歩も引かない構え。
  トルコとシリアの軍事衝突はもはや避けられないかもしれない。

<私見ながら>
◯ トルコは戦争回避のため努力中
  トルコはその一方で、今年1月中に高官をロシアに派遣してトルコの高官と停戦を模索しています。また、シリアへの影響力の大きいロシアに直訴。トルコが支援する反政府武装組織の武装解除等を条件にロシアのシリア支援を辞めさせる合意を得たらしいです。ロシアにとっても、トルコとシリアの直接の本格戦争や決裂を望まない、ということのようです。しかし、現実には、ロシアは相変わらずシリアをバックアップし、シリア政府軍は優秀なロシア装備と潤沢な後方支援を得てパワーアップして攻撃をやめていません。

◯ またも曲者プーチンの深謀遠慮か
  合意したにも拘らず、ロシアはカエルの面に小便のこの態度。この辺がロシアのプーチン大統領の煮ても焼いても食えないところですね。恐らくはトルコを適度に弱らせ、御しやすいようにコントロールしているつもりではないか、と推察します。ある程度の軍事衝突をさせておいて、そこで「まぁまぁ」と間に割って入ってピースメーカーを演じ、トルコもシリアもロシアの影響力下に置きたい、という深謀遠慮ではないか、と読んでいますが、いかがでしょうか。

◯ 米国トランプとロシアのプーチンが線引きしたのかも
  深謀遠慮はいいけど、中東の戦略的な絵柄が益々複雑化しつつあり、新たな不安定要因として気が抜けませんね。イランの北や西の陸正面の中東はロシアが益々影響力を強めています。一方、米国トランプはこの地域からは明らかに手を引き始めています。他方、ペルシャ湾・ホルムズ海峡正面には死活的国益ありと見てイランへの締め付けを強めています。ロシアも米国も共通の敵はイランとして陸と海で自己の影響地域を分けているのかも。そんな邪推?を禁じ得ません。
(了)


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2020/02/04

イランはウクライナ機撃墜の真相を黙殺

日本ではコロナウイルスが報道を席巻し、イランのウクライナ機撃墜の件は後追いの報道がありませんが、大変なことになっています。(2020年2月3日VOA記事「Iran to Stop Coordinating With Ukraine After Air Traffic Recordings Leaked」参照。下の写真も同記事より。)
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最近リークされた録音テープがあり、そこには生々しいやり取りが収録されていた模様。このテープはウクライナのテレビ局が入手して放送され、ウクライナでは大反響となっています。
そのテープには、ウクライナ機にミサイルらしき閃光が直撃・炎上し墜落する状況を、近傍を飛んでいた他の航空機のパイロットが目撃し、イランの管制塔に報告する、そのやり取りが録音されていたのです。
ということは、実は、イラン軍発射のミサイルによる撃墜であったことについて、イラン当局は報告を受けていたはずと推察されます。イラン政府は事件当初に「不幸な航空機事故だった」と説明し、その後、西側からの「イラン軍ミサイルによる撃墜の可能性大」との報道に対して全面的に否定。しかし、その後次々と状況証拠を突きつける西側報道には応えず、「イラン独自に確認したところ、、後になって判明した」として、ミサイルにて撃墜したことを認め謝罪した、という経緯がありました。

今回の録音テープのリークにより、ウクライナ国民や政府は当然激怒。反響は撃墜された航空機に自国民が搭乗していた関係国は勿論のこと、イラン国内でも反響を呼んでいます。

これに対し、イラン政府はこうしたリークがウクライナとの真相解明のための情報共有・協力を困難にする、との理由によりウクライナとの捜査協力を停止した模様です。

私見ながら、これがイランのいけないところ。イランは中東にあってアラブとは一線を画し、米国や西側に一歩も退かない「ぶれない独自路線」をとる誇り高い国である、と私は敬意を持っています。しかし、「ぶれない独自路線」が時として、とんでもなく独善的にして陰謀に満ちた「闇の側面」を見せます。今回の件もそれに当たります。国家としての大失態を隠蔽しようとし、関係国に対して信じられない独善的な態度をとる。そして、為政者であるイスラム法学者ハメネイ師は神の名において自国の正義を語る。これはいけません。正義を語るなら、真実に対して誠実に対応しなければ偽善になります。(※これは核開発でも同じことが言えます。明らかに平和利用の原子力発電としてではなく、核兵器開発をしているから西側にそこを咎められる訳です。)
少なくともウクライナや自国民が犠牲者となった関係国に対しては、イランは真摯に誠実に対応すべきです。

(了)

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