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2021/12/22

ロシアはウクライナ侵攻を「やる気」と見た:NATOとの交渉座礁

putin images

ロシアの米欧との秘密交渉の座礁
 2021年12月17日(金)、ロシアは、ウクライナ国境付近に軍を集結させてウクライナ侵攻が懸念されている問題について、米国・NATOと交渉中の内容を公表しました。米欧にとっては寝耳に水の外交上の反則行為。なぜなら、2日前の15日(水)にロシア側が米欧に提示したばかりのロシアにとって都合の良い「ロシアからの要求」の公表だったからです。

 その内容とは、米国とその同盟国が、NATOの更なる(東欧への)拡大や東欧での軍事活動の停止などの「安全保障上の保証」をロシアに対して履行する、というものでした。裏を返せば、こうした安全保障上の保証があれば、ロシアはウクライナ侵攻をしないであろう、ということです。

 ロシアのこ外交上の反則に対し、米欧はこのロシア提案を呑む気は全くない模様です。なぜなら、ロシア側は何らの譲歩もなく、米国やNATOの制約のみ課す形のロシアにとって都合のいい提案であり、おまけに外交上の信頼を裏切り行為をシャーシャーとしたからです。

 しかし、それでも米欧は「ロシアがウクライナ侵攻準備が如く国境付近に大動員した部隊を下げて緊張緩和することに同意した場合は交渉を開始してもよい」という交渉の余地を残しました。
(参照: 2021年12月17日付VOA記事「Experts: US,Allies Not Likely to Agree to Russian 'Security Guarantees' 」)

私見ながら、ロシアは「やる気」と推察
 ロシアはなぜ交渉中の内容を公表したのか?そのココロは、私見ながらロシアは侵攻する気マンマンと推察します。ロシアの腹は、意図的に西側が呑めなそうな要求を突きつけて、更に内密なはずの交渉内容を公表することにより西側を交渉決裂に誘致導入している、と見積もられます。「ロシアとしては真剣に緊張緩和のための交渉努力をしたが、西側との交渉は先方から拒否的対応をされたのだ。」という「緊張緩和・危機回避へのロシアの努力」というアリバイを作りたかっただけでしょう。その狙い・目的とするところは、ウクライナ侵攻でウクライナ東部の有力都市・有力地区をロシアに併合し、おまけにウクライナの世情を動揺させて親欧米のゼレンスキー政権を倒し、親ロシア政権を立ててウクライナをロシアの衛星国に復帰させることでしょう。これはロシアというより、プーチンの信念でしょうね。プーチンは「ソ連の崩壊は20世紀最大の悲劇」と心底思っていて、旧ソ連の頃のような世界に影響力のある栄光のロシア、否、ソビエト帝国を復活させたい、復権させたい、という執念を持っています。しかし、時世上、民主国家となったロシアの大統領として、現代世界ではそういうことは無理である、と半分諦めていたプーチンが、旧ソ連の自治国だった現独立国のベラルーシ、グルジアを影響下に置くことができ、2016年には念願のクリミア半島を侵攻してロシアに併合することに成功し、厳しい国際世論や経済制裁はいまだに続くものの、黙殺することで乗り切ってしまいました。プーチンは「しめた!」と思ったに違いありません。建前上の大義名分を錦の御旗に、ロシアの影響下にある隣国への侵攻は、西側も実力行使には及び腰になるので、「乗り切れる」と踏んだのでしょう。今回も、米ロトップ会談までやって観測気球を上げてみたら、バイデンの回答は「経済制裁を前提とした『深刻な結果を招く』」だったのです。「これはいける、乗り切れる」と思っているの違いありません。

バイデン米大統領と第2次世界大戦勃発直前のチェンバレン英首相のアナロジー
 2021年12月21日付産経新聞記事に、米紙ワシントンポストが12月10日付記事にて、バイデン米大統領のウクライナ危機対応について酷評し、「チェンバレン英首相がヒトラーとのミュンヘン会議にて、ナチスドイツに強気に出れずに宥和政策を取ったが故にポーランド侵攻を許した」ことになぞらた話が載っていました。いやぁ、うまい例えです。私の前回のブログでも述べましたが、バイデンは常識的かつ慎重な大統領なので、プーチンに強気には出ず、クリミアの際に強気に出なかったオバマ政権と同様、相手の常識的・良識的判断を願い、ことが穏便に過ぎていくことを願います。トランプだったら、ロシアの侵攻企図を砕くため、「進攻しようものなら米軍が軍事介入するぞ!」とかましたでしょう。常識的なバイデンはそんな野蛮で非常識なことはできないのです。この辺が、第2次世界大戦前夜のチェンバレン英首相とダブります。

ロシアの侵攻企図を砕くには、西側が結束して軍事介入を突きつけるしかない!
 今回、米欧はまだプーチンと交渉することで緊張緩和の可能性を追っている模様です。しかし、経済制裁くらいじゃ効き目がありませんよ。やはり「軍事介入をするぞ!」という、米欧の決然たる姿勢を見せないと、プーチンには響かないでしょう。私はトランプの再登場なんか期待していません。しかし、第2次世界大戦前夜のイギリスのチャーチルのような決然たる意志をもって、西側の団結と方向性を指し示すような傑物が欲しいですね。まぁ、日本の岸田首相ではムリだろうな…。常識的で慎重すぎる。

(了)

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2021/12/14

ロシアのウクライナ侵攻前夜、今必要なこと

Russian troops boarding landing vessels
着上陸演習中のロシア軍(This frame from a video released on April 23, 2021, by the Russian Defense Ministry Press Service shows Russian troops boarding landing vessels after drills in Crimea. Ukrainian and Western officials are worried that a Russian military buildup near Ukraine could signal plans by Moscow to invade its ex-Soviet neighbor.)(2021年12月9日付VOA記事「Biden Seeks to Allay Ukraine’s Concerns of Possible Russian Invasion」より)

ロシアのウクライナ侵攻:年明けにもあり得る
 ロシア軍がウクライナとの国境付近に9万もの部隊を動員し、年明けにもウクライナ侵攻が開始されるのではないかと懸念されています。いくらなんでも現代でそんな時代錯誤な話は起きないだろう、・・・と思うことなかれ。ロシアには前科があります。

 確かに、第一次・第二次両世界大戦後、隣国を侵攻して自国領土を拡大するような帝国主義的な図式は影を潜めました。そんな中、1990年のイラクのクウェート侵攻のような例外がありました。侵攻後、イラクはクウェート侵攻後すぐに国際的な批判に晒され、米国主導の多国籍軍による湾岸戦争によって力づくでクウェートは解放されました。しかし、ほんの数年前、ロシアには前科があります。2014年のロシアのクリミア併合です。その際、勿論ロシアは国際的な批判に晒されましたが、ロシアは「クリミアはロシアの死活的国益である」として一歩も引かず、経済制裁を受けながらも併合された状況が半ば黙認された形となり、現在に至ります。

 そのロシアが、今またウクライナの隣接親ロシア派がほぼ実効支配している地域などと呼応してウクライナ侵攻が行われるのではないか、と懸念される状況になっています。

ロシアのウクライナ侵攻の目的・狙い
 基本的にはクリミア侵攻時と同様に、元々ソビエト連邦時代から権益のあったドンバスなどのウクライナの主要都市などに根差すロシア系住民の「分離独立意思に呼応したもの」及び「ウクライナ政府軍から弾圧を受けるロシア系住民の保護」という大義名分が建前で、本音はソビエト時代からの権益の奪還です。加えてもう一つ重要な目的は、旧ソ連時代のワルシャワ条約機構加盟国であった東欧諸国やソビエト連邦の共和国だった現独立国が次々とEUやNATOという西欧の同盟国にドミノ倒し的に加盟していくことに対する安保上の脅威観から来る防波堤意識です。ワルシャワ条約機構加盟国だったチェコ、ハンガリー、ポーランド、エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア…等々は既に西欧の軍門に下っており、プーチン大統領は気が気じゃない心境。焦眉の急がウクライナです。ウクライナはクリミアを併合され、西欧への同盟思考が強まっており、ウクライナの現ゼレンスキー政権はNATO加盟を標榜しています。プーチンはこれを阻みたい。よって、ウクライナ侵攻危機でゼレンスキー政権を揺さぶっているわけです。揺さぶるどころか、あわよくば、ドンバスはじめロシアとの隣接地域を併合しかねない勢いの国境へのロシア軍の大軍動員が行われています。

ロシアの強気の源泉:中国との協調態勢
 ロシアが、というよりプーチン大統領が国際社会では反則行為である隣国への侵攻まで企てるほどの「強気」の源泉は、中国の習近平主席との協調態勢です。

 この辺の経緯は、2021年12月7日付 現代ビジネス 「ロシア「ウクライナ侵攻計画」プーチンの強気の背景にある中国との“準同盟”関係」に詳述されています。同記事の孫引きですが、中国の王海運少将(中国駐モスクワ駐在武官)の「新世紀の中露関係」(上海大学出版社、2015年)という回顧録にいわく、「プーチン氏が2000年3月27日の大統領選挙で当選した時、当時の江沢民主席が、真っ先にプーチン氏に祝福の電話をかけた。26歳年上の中国国家主席から祝福されたプーチン氏は、こう述べた。『初めて外国の国家元首から祝福をもらい、感激している。今後は『四不政策』(※台湾独立を支持しない、『二つの中国』もしくは『一中一台』を支持しない、台湾の主権国家としての国際組織参加を認めない、台湾に武器を売却しない、という親中政策)を貫く』と。さらに、1991年12月にソ連が崩壊した後、新生ロシアは当初、『欧米的民主国家』を目指したが、(プーチン大統領は)それでは『欧米の下につく二流国家』に過ぎなくなると悟り、中国との関係も重視し始めた。中国とロシアは、1992年に「相互に友好国家とみなす」約束を交わした。1994年に「21世紀に向けた建設的パートナーシップ関係」を結び、1996年に「21世紀に向けた戦略的協力パートナーシップ関係」を結んだ。1999年10月には、初の合同軍事演習を行った。そうした下地の上に、プーチン時代になった2001年7月16日、中露はモスクワで中露善隣友好協力条約を結んだ。同年6月15日には、両国が中心となり、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンを加えて、上海協力機構(SCO)を結成している。つまりは、旧ソ連圏だった中央アジア地域を、『アメリカの触手から守る』ための組織だ。2004年10月、中露は長年の懸案事項だった両国の国境を完全に画定させた。・・・」、という流れだそうです。

 こうした流れのもとで、米国がトランプ政権下が「米中新冷戦」路線を売り出した際、中国はロシアとの協調路線でlこれに対抗を試みました。この頃、トランプ大統領もプーチン大統領に協調態勢をとるアプローチをしていましたが、米国の政治的風土がそれを許さず。一方のプーチン大統領は中国のラブコールに乗るような乗らないような是々非々的態度で、トランプ米大統領を値踏みしていたのではないかと思います。2020年の大統領選挙でトランプ政権が破れ、明けた2021年1月にバイデン大統領の時代となり、対中姿勢を明確にし、ロシアに対しても「専制国家」と敵対視してきたため、この米国の対決姿勢に対するロシアと中国の姿勢も中ロ協調態勢が深まりつつある状態です。この記事は、ロシアと中国は確定した国境を背中合わせにして、東西の敵と相対しています。西はロシアが対西欧・NATOに対して、東は中国が米国・日本・豪州・インドを相手に、「準同盟的関係を築きつつある」(同上記事)状態である、と見ています。

 私見ながら、同上記事はいささか中国の御用学者・御用軍人の考え方に寄り過ぎている、と見ています。プーチンは、習近平におだてられたくらいで親中派になるようなタマじゃありませんよ。世界随一のしたたかさを有する策士です。プーチンにとっては、ロシアの国益に照らして協調路線をとるべきところは協調し、それでいて国益に反するところは中国の意思を意に介さず、是々非々ですよ。この記事の偏った見方はともかくとして、国益の適う正面では中ロ協調態勢であることは間違いありません。

侵攻抑止に動く米国、しかしパンチ力が弱い
 ロシアのウクライナ侵攻の可能性が高まる状況で、国連や米欧の西側諸国はこれを懸念しています。国連やEUやNATOという枠組みでの懸念表明やロシアへの外交交渉は、いつもそうであるようにほぼ無力。結局、実効性の伴わない外交交渉や懸念のPRだけでは、効果が出ない、というか、ロシアに響きません。クリミア併合への抗議を込めた経済制裁も、決然たるプーチンの黙殺にあい、効き目が表れず、結局「無力」としか言いようがありません。頼みの綱は、米国ですが、バイデン米大統領は伝統的な「普通の」米大統領なので、構えがソフトだから、いろいろ緊張緩和努力を講じていますが、今のところ効果が出ませんね。先週7日に、ロシアのプーチン大統領と電話会談をしたようですが、「もしウクライナを侵攻するようなことがあれば深刻な結果を招く」と言明したと報道されていますが、経済制裁の話なので、プーチンに足元を見られたようです。結局米ロ頂上会談は平行線のまま。先週末にウクライナのゼレンスキー大統領ともバイデン大統領は電話会談した模様ですが、ゼレンスキー大統領の「米軍の関与」の懇願をにべもなく拒絶し、あくまで経済制裁の構えのようです。バイデン大統領はまとも過ぎて、この辺が甘い。逆説的に、トランプ大統領だったら、「米軍介入も辞さない」と爆弾発言をしたでしょうから、プーチンもトランプの腹が読み切れず、何をしでかすかわからない怖さがある分、効き目があったはずです。ロシアのクリミア侵攻・併合の当時は、トランプさんの前のオバマさんが政権にいましたが、常識的かつ紳士的な対応で経済制裁でプーチンに向き合ったため、プーチンに押し切られ、クリミアの併合は既成事実化されました。オバマ政権男副大統領だったバイデン大統領もまともな常識人であるがゆえに、危機に際してパンチ力が弱いですね。(参照:2021年12月9日付VOA記事「Biden Seeks to Allay Ukraine’s Concerns of Possible Russian Invasion」ほか)

私見ながら、実効性ある国際的措置(米軍やNATO軍の展開など)で「侵攻は許さない」国際的規範を
 中国の台湾進攻などの懸念も含み置いて、このロシアのウクライナ侵攻前夜のような状況下に必要なのは、実効性ある国際的措置(米軍やNATO軍の展開など)を決然と取ること、だと思います。そうした「侵攻は許さない」国際的規範を作らないと、軍事的な優勢さえあれば隣国への侵攻で国土拡大ができるなどという前時代的な帝国主義思考を助長することになります。ロシアといえども、「米軍主導のNATO軍が軍事介入する!」などと決然たる姿勢を示されたら、さすがに二の足を踏むでしょう。こうした侵攻の危機は、軍事介入を辞さない姿勢で本気で臨まないと実効性を伴いません。その上で、ロシア側の安保上の脅威観をどのように落ち着かせるか、ウクライナに住むロシア系住民の分離独立意思をどのように落ち着かせ、ウクライナの国内問題を安定化していくか、国際的なウォッチや支援を入れて緊張を緩和していくべきでしょう。そうした落ち着いた議論にするために必要なのが、「軍事侵攻による併合なんて国際社会が許さない」という当たり前のルールを決然たる実効性ある手段をもって具現化することです。

 軍事侵攻が起きて併合させてしまってから経済制裁をしたところで、併合されてしまったらもはや既成事実になってしまいます。だから、侵攻が起きる前に、「いいか?侵攻したら米軍主導の有志連合軍で軍事介入するぞ!」と宣言し、米軍主導の有志連合軍で臨戦態勢をとることですよ。力なき正義はただの無力なのです。

(了)

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2021/12/07

ロシアのウクライナ侵攻危機から台湾有事を考える

ロシアのウクライナ侵攻危機から台湾有事を考える
2021年12月2日に米ロ外相会談がストックホルムで行われ、軍事的緊張が高まるロシア・ウクライナ国境をめぐって双方が激しく舌戦を繰り広げた模様。特に、ブリンケン米国務長官がロシアのラブロフ外相に対し、ロシアがウクライナ侵攻を実施するようなことがあれば、米国は必要な処置を取り、深刻な結果を招くことになる、と警告したことが大きなニュースとなっています。(参照:2021年12月2日付VOA記事「Blinken Warns Russia of ‘Serious Consequences’ if Russia Invades Ukraine」、同年同月3日付Bloomberg記事「U.S. Warns of Consequences as Russia Cites Ukraine War Risk 」ほか)
ロシアは在ウクライナのロシア系親ロ武装組織を使ってウクライナからの分離・ロシアへの併合を唱えさせ、それを鎮めるウクライナを牽制して大軍を国境に動員し、まさに侵攻前夜のような政情不安をウクライナ国内に煽っています。
私見ながら、このロシアのウクライナ侵攻危機は、台湾有事がどういった形になるかを考える際の一つの雛型になろうと考えます。すなわち、台湾国内の親中派に台湾の中国への併合を唱えさせ、その求めに応じて対岸に人民解放軍を大動員して台湾国内侵攻前夜のような政情不安を与える。....同様のやり口で台湾危機があり得ます。

ロシアの言い分
ロシアの言い分は、「①ウクライナ国内の親ロシア派グループにウクライナ軍からの攻撃の脅威が高まっており、ロシアに取っても脅威であり、見過ごせない」というものです。また、「②ウクライナ支援を名目としたNATOの更なる東方(ロシアのすぐ西側)への影響力拡大はロシアにとって脅威だ」という観点も付け加えています。

①のロシアの論理を噛み砕いてイメージ化すると、次のようなことです。
今回の軍事的緊張はウクライナに責任がある。ウクライナ国内、特にウクライナ東部にはロシア系住民がいて、ウクライナから分離しロシアへの帰属を希望する親ロシアグループがいる。こうした分離志向を許さないウクライナが軍事力で弾圧・挑発してくるため、親ロシアの分離派グループは抵抗せざるを得ない。親ロシア分離派グループからの切なるSOS発信に対し、ロシアは軍を動員してウクライナ軍の過剰な軍事的弾圧や挑発をさせないよう牽制しているのだ。ロシア軍の動員に対抗してウクライナ軍も大動員し、親ロシア派どころかロシア軍に対しても挑発的な行動を取っている。軍事的緊張を挑発的に高めているのはウクライナの方である。....という感じでしょうか。

台湾有事も同じシナリオがあり得る
ロシアのウクライナ侵攻危機を参考例として、中国の台湾侵攻危機について考察してみます。
前述のロシアのやり口は、ほぼ同様に中国の台湾への軍事的威圧に当てはめることができます。......在台湾の親中派に中国との併合を提唱させ、デモや過激な政府批判行動をさせ、台湾官憲との衝突をさせ、中国へ半ば公然とSOSを発信させ、中国は人道的及び「一つの中国論」からの台湾国内の問題への内政干渉と対岸への大動員で軍事的威圧。これに対して国際社会は厳しい中国批判を展開します。そうした土俵の上で、ロシアと同様の言い分を語るでしょう。「市民に弾圧を加え、中国に軍事的挑発行為をしかけて軍事的緊張を高めているのは台湾だ。この事態の責任は台湾にある。中国の対応は正当かつ適切であり、今後の台湾側の危険な軍事的挑発によっては、やむなく偶発的な軍事衝突もあり得る」と近い将来の自国の軍事行動を正当化するでしょう。

こうした軍事侵攻を許すべからず
ロシアにしても中国にしても、こうした軍事侵攻を国際社会が黙認・容認してはなりません。他に同様の新たな侵攻を引き起こさせないためにも、国連はじめ国際社会として「絶対に許さない」という姿勢を示さなければなりません。事実、わずか数年前にクリミアはそうしてロシアに併合されたのですから。

(了)

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