ついに侵攻開始: プーチンの侵攻企図と新冷戦の始まり

2022年2月25日NHK記事「【随時更新】ロシア軍がウクライナに軍事侵攻」より
だからプーチンは「侵攻」と腹を決めているって言ったでしょ!
ホラ見たことか。ロシアがウクライナを侵攻しました。
「侵攻はない」と語っていた学者さんやロシア通?の専門家さんたちの慌てぶり、「プーチンが何を考えているのか分らない」とおっしゃる。国際紛争、特に軍事については文民の学者先生には分かりませんよ。元自の将官もピンキリですが、非常に見識の高い方が大勢いらっしゃるので、コメントを求めていたらもう少しまともな報道になったことでしょう。
どのマスコミも、今起きている断片的な航空攻撃(ウクライナ各地への航空基地、レーダーサイトや防空ミサイル等の基地、主要な部隊司令部、兵站基地等)や地上侵攻(双方が何人殺害したなど)を報じて、そこから「プーチンは今後どうするつもりか?」というトンチンカンな質問をニュースキャスターが専門家さんに尋ね、専門家さん達も思い思いの話をしています。ある専門家の方が、侵攻開始後の西側の出方を見てプーチンは振り上げた拳をどこで収めるか考えている、という発言にビックリ。そこに真理はありません。プーチンが思い付きで侵攻を開始して、西側や国連などの出方を見て、その都度考えを変えると思いますか?ロシア軍が「取りあえず侵攻しろ、細部は後で指示する。」なんて命令をもらって侵攻開始したとでも思っているのでしょうか?
プーチンは米欧の顔色なんて見ておらず、侵攻は戦略目標を達成するまでやりますよ
およそ軍事作戦というものは、当初から綿密な全般作戦計画というものがあって、明確な戦略目的のもとでそれを達成するための軍事目的が定められいます。その軍事目的を達成するために周到綿密な作戦が立てられ、その目的を達成するため、作戦正面を地域で分けたり、作戦分野で分けたり、数個の作戦部隊を編成して、その各部隊にはそれぞれ明確な達成すべき「目標」が示され、それらの部分部分の目標達成の総合で全体の軍事目的が達成されます。それを作戦準備から作戦初期、中期、後期と各段階区分をして綿密周到な計画が立てられているはずです。つまり、今ニュースで皆さんが見ている「侵攻」は、侵攻作戦のごくごく一場面に過ぎないのです。侵攻開始以前から仕込みがあって、「侵攻開始」という目に見える物理的な軍事作戦の前から、工作員の浸透やサイバー・電磁分野での作戦準備は着々と進められていたのです。今後も、ロシア軍は当初の計画通りに作戦を続け、与えられた目標を達成するでしょう。・・・だから、今マスコミを通じて見ている断片的な映像から「侵攻」の絵姿を推しはかろうとしても当てになりません。
読むべきは、プーチンの企図=腹です。
西側から厳しい経済制裁を受けることは承知の上での侵攻です。ウクライナ侵攻を決行することで失うものより、侵攻により得られる国益が大きいからGoをかけたに違いありません。以前から、私のブログで申しましたように、ロシアのウクライナ侵攻の戦略目的は、侵攻によってウクライナをロシアの領土として獲得することではありません。ジョージアやベラルシのように、以前のソ連の頃の忠実な大ロシアの一共和国、親ロシアの友好国に戻すことです。具体的には「ロシアから離れ、米欧寄りの政策を採り、NATO加盟を標榜する現ゼレンスキー政権を倒し、親ロシア(傀儡)政権を立てること」、それともう一つ「現政権を支持する米欧寄りの国民の考え方にショック療法で考え方を諦めさせ、ロシアが言うことを聞けというんだから仕方がない、と諦めさせること」です。当初はこの戦略目標を東部親ロ派実効支配地域問題で国内政治を揺さぶって達成しようと画策したものの、結局2014年から8年かかって何も進展しなかったので、手っ取り早く軍事作戦によって電撃侵攻で現政権と国民の意識を瓦解させたわけです。
プーチンは、当初から純物理的な陸上部隊の地上侵攻で東部2州を完全占領とか、ドニエプル川の線まで侵攻して東西を分断するとか、ウクライナ全土を占領するとか、そんなことは考えていません。それじゃ大義名分が嘘になる。上記の戦略目標を達成するには、まず政治中枢やウクライナ軍の脳や目や耳や防空槍先をボコボコニして当面前後不覚状態にマヒさせ(今その状態)、主要都市を無血入城(努めて少ない軍事衝突で)により制圧、この間に現政権を引きづり落とし(暗殺テロや身柄の拘束など実力行使も含む)親ロシア派の救国臨時政権を打ち立て、彼らに「我こそが真のウクライナ政権」と正当性を主張させ、ロシア政府がすぐさま承認し、その傀儡政権の要請を受けて、一部の安定化作戦のための憲兵的な治安部隊を残してロシア軍は大義名分を果たして平和維持作戦終了により撤退。これを今後1週間くらいで軍事作戦を終了させるでしょう。(元々の私の読みではもっと電撃的に1日~数日でやる、と思っていましたが。)侵攻状態を長引かせずに、さっと引き、流血の軍事衝突を最小限にし、大義名分「ジェノサイドを受けていた東部のロシア系住民の保護のための緊急避難的な平和維持作戦なのだ」を繰り返し主張して一歩も譲らないでしょう。この侵攻状態を長引かせないことが事態の沈静化のためには必須です。
ロシアの侵攻作戦を西側は傍観しかできないが、戦後の新冷戦で一致団結すべし!
恐らく、ここまでは直接軍事介入できない米欧NATOとしては甘んじて見ているしかすべがないのです。手は出せないのですから。この後が肝心です。ロシアは、撤退後にロシアの傀儡政権の正統性を主張し、この政権の政策として東部親ロシア地区でジェノサイドをした下手人(どうせ濡れ衣ですけどね)を摘発します。この際にロシアのウクライナに残留した治安部隊が陰に日向に力を発揮し、反ロシア派狩りが始まります。この際に旧ゼレンスキー政権に協力していた親米欧派は弾圧され、ある者は逮捕・裁判・処刑・投獄、その他大勢の声なき大衆はビビりまくって親ロ派に転向せざるを得なくなるわけです。要するに、旧ソビエト社会主義連邦時代のウクライナ共和国の頃の監視社会に戻る感じです(それは行き過ぎなんですが、イメージとして)。この傀儡政権の親ロ政策を駐留ロシア治安部隊がバックアップして、親ロシアの国=新生ウクライナにする、それがプーチンの描いた未来予想図です。
恐らく新冷戦状態の始まりでしょう。ロシアは中国と組んで、我が道を行く枢軸組になり、対する西側はこれに徹底して政治と軍事で対抗するしかありませんね。だから、我々西側としては、まず戦後のウクライナをプーチンの未来予想図のようにさせないように一致団結して、ロシアに対抗するべきです。この新冷戦初戦でガツンとかましてやらねばなりません。国際社会をなめんなよ!と。どうせバイデンは軍事手段はとりませんから、経済制裁と、新冷戦における西側の政治経済的一致団結において、日本も徹底的に貢献すべきです。また冷戦、ロシアがその覚悟なら仕方がありませんね。長い長い戦いの始まり、歴史は繰り返しますね。
(了)


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