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2020/02/21

トランプ: 中国メディアを宣伝機関扱いに


トランプ政権は、中国政営メディアを報道機関の位置付けから「中国政府の強い統制を受けるプロパガンダ機関に過ぎない」として在米の外国大使館・領事館と同等の扱いに変更。これにより中国国営メディアは全職員の名簿提出や米国での保有資産状況の報告などが義務付けられる。中国がこれに反発することは必至であり、今後在中国の米国メディアが報復措置で強い統制を受けることを懸念する声も。
(VOA記事2020年2月18日(火)付「US Imposes New Rules on State-Owned Chinese Media Over Propaganda Concerns」参照。下の写真も同記事から)
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英字紙チャイナ・デイリーを読む人民解放軍将校

<状況>
① 2月18日(火)、トランプ政権は中国国営メディア5社(the Xinhua News Agency新華社通信、China Global Television Network中国国際テレビ、China Radio International中国国際放送、China Daily Distribution Corp.英字紙チャイナ・デイリー、Hai Tian Development USA, Inc.米国海天発展)を大使館や領事館と同等のランクに位置付ける措置を発表。これにより、これらのメディアは全職員の名簿(雇用も解雇も)を提出し、米国での保有資産(賃貸も保有も)を米国務省に提出することが義務付けられる。

② 今回の措置の理由は、これらの中国国営メディアが、中国政府の強い統制を受け中国共産党のプロパガンダ機関となっており、もはや報道機関ではない、との米国政府の判断。ある高官によれば、これは習近平主席がその地位についてから一層統制が強まっているとのこと。

③ VOA記事では中国政府の反発について具体的言及はないが、この記事の翌日2月19日の中国外務省の記者会見にて、すぐさま激しく反論。しかし、いかなる報復を考えているかとの質問には、報復する権利があると言うにとどめた。

<私見ながら>
○ しかしトランプって人は・・・
  無茶苦茶な大統領ですよね。普通の米国大統領なら、ここまであからさまに好ましく思っていない国に対してあの手この手で攻撃しません。ファーウェイへの狙い撃ち攻撃もそうですが、今度はメディアが攻撃目標になりましたね。今回の中国のメディアの格下げ的扱い、冷戦華やかなりし頃のソ連の国営メディアもプロパガンダでしたが、今回のような扱いはしていませんでした。確かに中国国営メディアの偏向報道や政治宣伝は凄いけれども、今に始まったことではなく、およそ共産国や独裁国家というものは、大方偏向報道だし政治宣伝ばかりでしょう。加えて、確かに習近平が権力中枢に上ってから、強力にメディアを統制しているかもしれませんが、トランプの米メディアへのケチの付け方も悪名高いですよね。CNNの名物記者を「フェイクニュース!」と言って罵倒したのも記憶に新しいところです。その反面、自分を支持するFOXニュースをべた褒めしたりヒイキするんだから、それも一種のメディア統制だし、偏向報道だし、プロパガンダですよ。

しかし、実は「トランプもたまにはいいことやるじゃないか・・」と、心の中で今回の中国メディアへの措置に拍手している自分もいます。・・・おっと、こういうのがトランプを大統領にした米国民の支持層の思いなんでしょうね。米国社会は、第2次世界大戦後の世界を牽引し、優等生であろうとし、オピニオンリーダーたろうとしてきました。歴代大統領は自由や民主主義のリーダーであろうとしてきたし、言動は表面上高邁な言葉を説いてきました。グローバリズムを提唱し、各国のそれぞれのナショナリズムを局限し、保護主義や移民排斥主義を最小化しようと、米国自らが率先垂範しようとしてきました。そんな米国社会に、黙っているけどモヤモヤしたサイレントマジョリティー達がいたわけです。実は腹の中で何となく思っていても表立って言えないモヤモヤした愛国心や保護主義や移民排斥の気持ちを隠していました。米国社会が世界をグローバリズムでリードしてきた利益も大きかったと思いますが、同時にそれによって深刻な副作用もあったわけです。労働者は雇用を失い、多くの移民や難民は受入れて、米国社会のモヤモヤ感がもはや表面に出る出口を探した頃、トランプが登場。庶民の言うに言えないタブー的なモヤモヤの思いをあけすけに物を言い放つ男、トランプ。そう、そうなんだよ!いいこというじゃないか!庶民は拍手喝采を浴びせて大統領にしてしまいました。まさに、仇花ですよ。

○ 中国は報復措置を取るか?
  私は中国は報復措置まではとらないと思います。勿論、今回の措置が不当であることを主張し、米国を強烈に批判するでしょう。しかし、在中国の米国メディアに意地悪したところで、結果は返って米国内で中国政府の米国メディアの受けている不当な扱いを報じられ、米国内の世論を反中国にしてしまうだけで、報復しているようで自分の首を絞めることになります。VOA記事の最終段落辺りに面白い話が載っていました。
"These guys operate in a far more liberal environment here in the United States than any foreign press enjoy in the People's Republic of China," the official said.
今回の米国政府の措置で不利益を受けることになる中国メディアと、いま中国にいる外国メディアはどっちが統制を受けて報道の自由を束縛されているか?当然後者。在中国のメディアは日々、中国政府からの干渉や制約の中で報道の自由が脅かされています。他方、在米国の中国メディアは、今回の措置で名簿提出や保有資産の申告など、確かに不利益を被るかもしれませんが、中国よりはずっと米国内でリベラルな環境の中、報道の自由に関して米国政府は一切の制約を与えていません。

(了)

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