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2020/03/10

北朝鮮コロナ禍中の再発射、ツンデレの思惑

北朝鮮コロナ禍中の再発射、ツンデレの思惑

3月2日(月)に昨年11月以来3ヶ月ぶりの飛翔体発射実験をし、注目を集めた北朝鮮が、昨日3月9日(月)再び飛翔体を発射。実は、先週からの1週間に相矛盾するメッセージを世界に発信。先週月曜3/2に短距離弾道ミサイル発射、火曜3/3に金正恩の妹の金与正が韓国大統領府の反応を痛烈に批判、木曜3/5には金正恩が文在寅韓国大統領のコロナ対応の労苦を慰労。金曜3/6には英独仏ら欧州各国の国連安保理での北朝鮮ミサイル実験に反対する動きをこれまた金与正が痛烈批判。そして今週月曜3/9に再度のミサイル発射。北朝鮮はツンとデレの矛盾した対応で世界をケムに巻いている。私見ながら、北朝鮮の真意は、世界からコロナ対応支援や経済支援を受けたい反面、国内外に向けて、北朝鮮の国家指導者たるブレない姿勢を見せつつ兄弟国韓国への慈愛という「虚勢」を見せているもの、と理解しています。
(参照: VOA記事2020年3月9日付「Last Monday, North Korea test-fired North Korea Fires 3 Projectiles, in 2nd Launch of 2020」(下の写真も同記事から)、「Some Foreign Diplomats Depart North Korea Amid Virus Scare」 、及び7日付「North Korea Slams European Nations for 'Illogical Thinking' Over Missile Launches」)
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列車にコロナウイルス感染防止措置を実施中の北朝鮮の作業員(This undated picture released from North Korea's official Korean Central News Agency on March 4, 2020 shows workers disinfecting freight trains to prevent the spread of the COVID-19 coronavirus in Sinuiju, North Pyongan Province.)

<状況>
①2020年3月2日(月)、北朝鮮が昨年11月以来となる飛翔体を発射実験。最高高度35km、距離240kmほど飛翔し北朝鮮東方海上に落下。翌日3日(火)に金正恩の妹の金与正が韓国大統領府の反応に対して「馬鹿げている」と痛烈批判。5日(木)には金正恩が文在寅韓国大統領に対し、韓国のコロナ対応の労苦を慰労するとともに文大統領の健康を気遣う親書を送付。そして6日(金)には、英,独,仏,エストニア,ベルギーの各国国連代表が国連安保理にて北朝鮮ミサイル実験に反対する動議を提出して議論したことに対し、北朝鮮スポークスマンは「(安保理でのこうした反応は)全く非論理的」、「あくまで通常の軍事演習の一環であり、いかなる国の脅威にもなっていない。」との金与正の発言と思われる痛烈な反論をした。更に今週月曜9日に再度のミサイル発射。高度50km、飛距離200km程で日本海上に落下した模様。

②北朝鮮は公表上、未だ国内に新型コロナウイルス感染者は皆無であるが国内での感染拡大は深刻な結果を招くため、現在感染症対策に力を注いでいるという。そんな中、先週末から露独仏ら各国大使館が閉館し、各国大使ら80数名が次々と北朝鮮を出国、9日月曜にロシアのウラジオストクに到着。いずれもまだ感染者がいないはずの北朝鮮からの避難。未だ平壌にて大使館を開館している英国大使はツイートで、友人の各国大使が皆去ってしまって淋しい、と胸の内を吐露。垣間見れるのは、北朝鮮でも既にかなりの感染拡大が進んでいるものの、国是として認めていない苦しい状況。

<私見ながら>
◯先週から今週にかけての北朝鮮の動向、特に、ツン(タカ派・強硬)とデレ(ハト派・温厚)の相矛盾した対応は何を意味しているのか、世界の耳目を集めています。
私見ながら、北朝鮮の真意は、世界からコロナ対応支援や経済支援を受けたい反面、国内外に向けて、北朝鮮の国家指導者たるブレない姿勢を見せつつ兄弟国韓国への慈愛という「虚勢」を見せているもの、と理解しています。ブレない強硬路線も虚勢ですし、兄弟国韓国への慈愛を見せる柔軟温厚路線もいずれも虚勢です。
WHOをはじめ関係国からは実は感染拡大は深刻ではないか?経済制裁等により検査や医薬品・医療資材等は不足しているのではないか?感染症に対する情報や専門家が不足していないか?と懸念されています。間も無く国連が人道的支援をします。その際、北朝鮮国民からの政府への不審感や不信感を持たせたくない。北朝鮮はこれまでいつもそうでしたが、実は国家財政が逼迫していても、先軍主義(軍の精強化ファースト)で軍や戦略核開発にない金をつぎこんできました。干ばつで食糧難になった際も、国連や韓国はじめ対外から支援を受ける際には直前に威勢良く軍事演習をしています。国民に虚勢を張って、国家・政府に対する威信や信頼を揺るぎなきものとするための措置だと思います。加えて、対外特に対韓国向けに、絶対に弱みや弱音を見せたくない北朝鮮。「いつでも来いコノヤロウ、俺はお前らには負けないぞ!俺は強いんだぞ!」という姿勢もこれまた国是なのです。結論として、これらの相矛盾する動向は全ては「虚勢」です。

◯本当はそれどころではない、中国との密接な交流からして間違いなく国内には中国由来の新型コロナウイルスは感染拡大しているでしょう。国是として「未だ感染者はいない」と言っているので認めるわけにはいかないのです。本当は感染拡大防止でモロモロが逼迫。助けて!と正直に窮状を訴えて世界からの支援をいただきたいところ、国是として言えないのです。国民も平素から色々我慢させられている上に今回の厄介なコロナウイルス禍に限界ギリギリ。各国大使は職務は果たしたいものの、身に迫るウイルスの脅威に恐怖を感じ、大使館閉館・帰国を選んだわけです。しかし、任地である北朝鮮への配慮から声を大にしては言えません。

◯本来なら、米国との核放棄をめぐる経済制裁緩和や経済支援の外交カードの切り札としてのミサイル発射実験でした。しかし、前述したような内外への虚勢である証拠に、対米交渉は水面上下ともサッパリ無いようです。
ミサイル実験につぎ込む経済的余裕があるのなら、今の時期は感染症対策が何よりの急務なのですがね…。

(了)

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