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2020/04/19

コロナ報道:アジアの報道管制と戦うメディア

 非常事態宣言は、ついに日本中を対象とする段階に入りました。感染者も遂に1万のオーダーを越えました。医療関係者の方々はまさに戦場、コロナ対応の分、通常の医療の方が崩壊しつつあります。
 そのような中、日本のマスコミ報道は政府や都道府県の対策の揚げ足取りばかり。日本に所在するメディアはほぼ自由に取材ができ、自由に報道しています。これが当たり前なのですが、目をご近所のアジア諸国に転じると、マスコミの取材や報道に国家からの厳しい報道管制があって、国内外のマスコミは苦戦しながら報道しているようです。日本にいると、これが当たり前で正しいと思っていますが、それぞれの国にそれぞれの事情があって(もちろん間違った事情もあるでしょうけど)、こういう状況になっていますよ、というお話です。以下、VOA 2020年4月17日付記事「Asian Media Battles Officials to Report on Coronavirus」 (下の写真も同記事より)の内容です。米国のメディア・VOAから見るとアジアはこう見えるんですね。つくづく日本人でよかったと思います。
ap_china_journ.jpg
(武漢から撤収する応援医療従事者の送別イベントにて、警察が報道関係者を排除。 A policeman moves journalists back from an event held for the last group of medical workers who came from outside Wuhan to help the city during the coronavirus outbreak, in Wuhan, China, April 15, 2020.)

<状況>
○ 概況
  アジア諸国で内外のメディアがコロナウイルスの状況を報道しているが、その報道の内容を紙上やネット上で政府当局がチェックし検閲される脅威にさらされ、状況を報道する際にいかに当局の目をかいくぐるか、苦しい対応を迫られている。
  アジア諸国は、概して健康管理や医療のシステムが十分整備されておらず、また、政府の情報の開示が制約され透明性を欠く。こうした状況下で、報道の役割を果たすのはなかなか難しい。例えば、ロックダウンによる経済へのダメージを緩和する政策を報道するにせよ、景気刺激や休業補償などの複雑な政策を正確かつ分かり易く説明する上で、政府からの通知文書のみしか情報はなく、そこからメディア側がいろいろ考察を加えなければ報道にならない。せいぜい頼りになるのは、当局から発表される感染者や死者の数字だが、これすら政府当局の発表の信頼性は確かなものとは言い難い。
  また、ネット上に玉石混交の様々な情報やコメントが出されるが、メディアが政府のコロナ対応や政策に批判的な報道をすることもあるが、政府当局にとって「不適切」な内容の報道をすると「フェイクニュースを流した」として摘発されるし、そのメディアの報道に対し親政府系のネットユーザー(政府がバックにいることも)からアンチのコメントが殺到することも。

○ 中国
  中国では特に顕著。ロックダウン下では、取材を熱心に実施していた記者数名が失踪している。(恐らくは官憲に拘束されているものと思われる。)記者やニュース解説者や評論家の行動は官憲に追跡され、出し抜いても後で逮捕されることもあり、ネット上でも言動をチェックされ、絶えず当局の監視下に置かれている。
  下の写真(VOA同記事から)は、中国政府のコロナ関連記者会見後に政府の発表内容文書に群がって情報ソースとしている状況。細部の説明や深堀り取材ができないので、こうした政府の文書から報道がスタートすることになる。一部の市民ジャーナリストは、危険を冒して自らの取材と考察で政府発表に挑んでいるが、既に3名が失踪している。結局、こうした状況の中で、中国国内のほとんどのメディアは、政府のコロナ対策や景気回復政策を称賛する記事ばかりになっている。
AP_china_journos.jpg

○ フィリピン
  フィリピンでは、ドゥテルテ大統領がコロナ以前からもかなりユニークな思い切った政策をとってきたが、コロナ禍の中で更に思い切ったメディア政策を実施している。ネットその他のメディアで、コロナ関連の不適切な情報を発信・拡散したものに対して、「反フェイクニュース法」なる法律にて犯罪として処罰する挙に出ている。当然判断は当局なので、国内の反発もあるが、ドゥテルテ大統領は相変わらず猪突猛進で我が道を行く。

○ インド
  インドでは、政府の医療向けのマスク、手袋、防護衣等の保護具の備蓄について、メディアが政府批判の報道をしたところ、政府当局から「フェイクニュースを発信・拡散している」との指摘を受け、ネット上で袋叩きの状態となっている。

○ 日本
  日本では、日本流の「非常事態宣言」の発令後も、ほとんど強制力のない、比較的緩い「自粛」の態勢下にあって、他のアジア諸国とガラッと変わって、メディアほ自由に活動しており、安倍首相に対するメディアの批判は日常茶飯事。政府が決めた布製マスクの家庭への配布政策や安倍首相の自宅でくつろぐ映像の発信に対する批判が自由に行われている。世論の安倍政権への支持は3月下旬の時点で約5%下がり40.4%。日本に在住する米国の大学教授は「日本は他国と比してむしろ肯定的な数字や状況の中、安倍首相は石橋を叩いて渡るような慎重な政策を取っている、と言うべきであろう。」とコメントしている。

<私見ながら>
 中国の報道管制は案の定、厳しいですね。インドやフィリピンでは、ある程度の報道や言論の自由を認めているものの、比較的厳しい報道管制をしている模様です。ただ、中国のように徹底的な国家の統制ではなく、フィリピンやインドの場合、公共の秩序や公衆衛生の維持を目的として、デマ的な誤った情報を発信する輩に対して国内の混乱を避けるため統制をしているつもりなのだと思います。結果的に国家が報道管制していますけどね。
 日本の場合、その辺は自由ですね。一部に「非常事態宣言は横暴である。個人の自由を束縛する権利があるのか?コロナ禍自体が陰謀である。コロナは本当に怖いのか?怖がらずに外出しよう。」等々、ネット上で言いたい放題言っている方々の発言を見ると、無秩序?とも見えます。ロックダウンでない非常事態宣言下の「自粛」というゆるーい統制や、こうした報道や言論の自由は、水や空気と同様、今当たり前に享受できること自体が幸せだと思います。
 願わくば、あと数週間で逐次に数字が好転(感染者は減少し回復者が増加し、全体的な感染拡大が抑制された、コントロールできる状態に)し、逐次に平素の社会生活・経済に戻れますことを、心より祈ります。
 それまでの間は、一人一人が自分のできることで、コロナ禍と戦いましょう。

(了)

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