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2020/05/01

金正恩安否不明続く: 情報の錯綜と米中韓の思惑

金正恩安否不明続く: 情報の錯綜と米中韓の思惑

※<5月2日(土)1000現在の補足事項>
・ 5月2日朝0700のNHKニュースによれば、北朝鮮中央通信(ラジオ)が2日に報じたところでは、5月1日に金正恩委員長が平安南道の農業肥料工場の竣工式に参加し、群衆に手を振って応えた、とのこと。4月11日に政治局の会議に参加したとの映像が報道されて以降、3週間ぶりの金委員長の動静の報道ということになりますが、そもそも11日の映像すら、自衛隊OBの西村金一さんの分析(JBプレス 4月29日付「「金正恩重篤説」で得する国はどこか?」より)では過去の映像ではないかと疑問符をつけられており、遡ると2月末の党中央委員会政治局拡大会議への出席以降2ケ月あまり動静が不明ということになります。今回のラジオ報道も真偽のほどは怪しいものです。重体説への否定情報のPRとしてのカウンター情報としか思えません。ちなみに、本件に関しトランプ大統領は「今は何も言えない。」とコメントしているとのこと。ほら、やっぱり『意味深長』でしょ。

※<5月2日(土)1500現在の補足事項>
・ ネットで確認したところ、北朝鮮は金委員長が出席した式典の写真も出していますね。数枚の写真のうち、背景に2020年5月1日とハングルで書いてあり、写真からすると本人ぽいのでこの写真が真実であれば金氏は顔色もよく元気なようで、横には金与正女氏もおり、本物っぽい写真です。しかし、金氏には影武者もおり、また以前の映像の画像の修正でそれっぽく見せた可能性もあり、まだ真偽のほどはわかりませんね。前述のように、本件に関する5月1日(米国時間)のトランプ大統領のコメントを見ても、本当に本人が写真の通り元気であって、情報筋のウラが取れていたら「今は何も言えない。」とは言わないはずです。まだ確たる情報ではないことの証左ですね。

※<5月2日1900現在の補足事項>
・ なんと、ボーっとしてたら本日午後3時頃に、北朝鮮は動画を出してきましたね。写真画像とは違って、動画で見ると、いかにも本物っぽいですね。野外で眩しいからか、心なしか目の感じが細いようにも見えますが、確かに本人ぽく見えることは否定できませんね。仮に、本人であったとして、動画で見る限り足も引きづっておらず元気そのもの。とても大病のあと、特に大手術の後のようには見えません。しかし、もしそうであるなら、祖父であり建国の英雄である金日生を讃える太陽節という国家の最重要行事に金委員長が欠席するというのは解せません。本来なら金委員長は万難を排して必ず出席したでしょうから、欠席したということは余程の抜き差しならない事情があったはずです。この辺がスッキリしないので、「まだ確たることは分からない」としか言えない段階ですね。 

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<状況>
  4月21日に米国のCNNが北朝鮮の金正恩氏の重体説を報じて以降、10日ほど経過していますが、同氏の健康状態をめぐる情報は、既に死亡、大手術後に重体続く、いや回復して静養中、いやいやコロナ感染を回避しているだけ、更に、プライベートビーチを散策している、というものまでピンからキリまで錯綜中で、いずれも信憑性も具体性もないものばかりです。
  当の北朝鮮は黙して語らず、韓国は重体説を否定して北朝鮮の「正常」をPR、中国は金正恩氏の健康状態に関連して医師団を派遣?との報道があり、そのような中、米国のトランプ大統領は4月28日に金氏の健康状態について、次のような思わせぶりな発言をし、一段と情報の錯綜に拍車をかけました。

   Asked about Kim's status on Monday, Trump said, "I can't tell you, exactly -- yes, I do have a very good idea, but I can't talk about it now. I just wish him well." But later in the same press conference the President told reporters, "He didn't say anything last Saturday. Nobody knows where he is so he obviously couldn't have said it. This is breaking news that Kim Jong Un made a statement on Saturday. I don't think so."
   (金正恩氏の健康状態について記者に問われたトランプ大統領は、「正確にはお話しできない。今は申し上げられないが状況は承知している。彼が健康であることを願う。」と述べ、その後、同じ記者会見の場で、「(北朝鮮内での報道にて、4月18日土曜に金氏が労働者にメッセージを送ったとされたことについて)金氏は先週土曜に何も発言していない。誰も金氏の所在を知らないし、そんな発言があったのなら臨時ニュースものだが、明らかに発言は不可能であった、と私は考えている。」と述べた。)
(CNN 4月28日付「Trump adds to confusion over Kim Jong Un's health status」より。下の写真も同記事より。) 
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<私見ながら>
○ 私見ながら、そんな各国のリーダーの思惑を四字熟語で表現すると次のようなものではないかと思います。
  北朝鮮は「隠忍自重」: 今はじっと堪えて金正恩委員長の回復?を待つ我慢の時。
  韓国は「愛執染着」: 同胞北朝鮮を愛するが故に情念主導でかばっている文政権。
  中国は「虎視眈々」: 医師団を派遣する等、この機会に北朝鮮の覇権を握ろうと狙う。
  米国は「意味深長」: 奥深い複雑な意味を持つコメントで煙に巻くトランプ大統領。

○ 北朝鮮は「隠忍自重」: 今はじっと堪えて金正恩委員長の回復?を待つ我慢の時
   北朝鮮政府が、最高指導者金氏の重体説を報じられながら一切黙して語らないというのはこれまでにないことです。これまでは、最高指導者に対する侮辱を許さず、この手の報道にはすぐさま口汚い言葉で反論がありました。これが全くないというのは何とも不可解。先代・先々代の金日成や金正日の死去の際の沈黙を彷彿とさせます。少なくとも、金正恩委員長の身に何かが起きていることの証左であると考えています。

○ 韓国は「愛執染着」: 同胞北朝鮮を愛するが故に情念主導でかばっている文政権
   韓国政府は重体説を全面否定していますが、確たる否定情報もないのに政府は一致団結して否定しています。文在寅大統領以下の政府を挙げたこの全否定ぶりからすると、情報筋の客観的情報に基づくものではなく、ただただ北朝鮮をかばいたい思いが先行しているものと思われます。対コロナ政策が国民に評価され、気を大きくした現政権が、政権の基本政策である南北統一を推進したい思いからすると、今金正恩委員長に倒れられては困る。そんな噂を否定したい。その思いが先行しているものと思います。ちなみに、現政権は北朝鮮側からは思いの外信用されておらず、また情報ソースも以前ほどなく、あまり正確な情報は掌握していない、と米国情報筋から見下されています。

○ 中国は「虎視眈々」: 医師団を派遣する等、この機会に北朝鮮の覇権を握ろうと狙う
   中国の医師団派遣情報は、わざと情報だけ流しているのか本当に派遣しているのか不明ながら、中国の北朝鮮へのねじ込みが始まっていることを痛感します。「医師団派遣」はもしかしたら中国側が政府筋でないところから意図的に流したブラフかもしれない、との見方があります。日本のマスコミが中国の医師団からの情報として流している話も、米国情報では眉唾ものとのこと。しかし、本当に派遣しているかもしれません。以前は北朝鮮は金正恩氏の心臓系統の診療はフランスから医師団を招いていましたが、コロナ関連でフランスは無理だったのでしょう。そこで中国が派遣というのは、中国政府の思惑とも一致しそうです。金正恩委員長が重体だったとして、中国が医師団を派遣したとしたら、まさに生殺与奪の権を中国が握ったも同然です。なので、真偽のほどはともかく、中国の北朝鮮に対するねじ込みは始まっている、と見て間違いないでしょう。

○ 米国は「意味深長」: 奥深い複雑な意味を持つコメントで煙に巻くトランプ大統領
   米国トランプ大統領の思わせぶりな発言は重体説の肯定のようにも見えるものの、そうでない時の言い訳もできる逃げ道を作っています。発言自体をそのまま理解すれば、やはり重体説を知っているかのようにもとれますが、回復を待っているようにも取れ、なおかつ、そもそも全く元気であったとしても、いずれともとれる意味深長な言葉ですよね。大統領にとって、今国家が直面しているのはコロナウイルスの蔓延をどう克服するか、そして低迷する瀬戸際の経済をどう回復させるか、今は北朝鮮の指導者の容体どころの話ではありません。実際のところ、トランプ大統領にとっては金委員長の容体なんて、どうでもいいんですよ。国際情勢としては重要ですが、「世界の平和と秩序と自由を守る米国」なんて信条はトランプの頭にはありません。頭のほとんどを占めているのは経済であり、選挙戦での再選ですよね。しかし、選挙を控えているので、米国の大統領として「知らない、分からない」とは言えません。CIAはじめ、米国の情報筋はそれぞれ死亡から重体から元気まで、いろいろな情報に接し、その分析結果として大統領に報告しているでしょう。しかし、それが正しいのか、真偽の程は分かりません。大統領としても公算大なることを話したいでしょうが、違った場合にボロカスに大統領選挙戦で攻められるネタになります。そこで、この意味深作戦を取ったのだと思います。「知っているよ。言わないけどね。」としたり顔で話せば、真偽はどうあれ、後で攻められることはありません。

 ※ 隠忍自重: 今はじっと我慢して、軽々しい言動を慎むさま
   愛執染着: 愛するが故の煩悩に捕らわれているさま
   虎視眈々: 己の野望を遂げるため機会を狙っているさま
   意味深長: 奥深い複雑な意味を持ち、裏に別の意味が隠されていること

(了)

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