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2020/05/31

香港の混乱は不可避、民主派リーダーは闘志を燃やす

 この問題をめぐっては、米中対立や香港でのデモと警察の衝突を軸にマスコミ報道がなされています。米国の制裁処置により、アジアの金融の中心地であった香港の立場の行方など、切り口はいろいろあるのでしょうが、ちょっと違った観点からのお話を。

<要旨>
 2020年の中国全人代のトップニュースは、図らずも香港に対する国家安全法の導入という鬼っ子が出た感じになりました。「そっちかい!?」という展開でしたね。全人代初日5月22日の李克強の政府活動報告の中で、経済成長の数値目標を(初めて)示さなかったことは予想通り、国防予算は前年比6.8%増という軍拡路線の継続にはちょっと驚き、そしてビックリネタが香港への国家安全法導入でした。香港は「一国二制度」を約束されていた筈が、この法律の導入により、事実上の本国同様の反政府行為者への逮捕、訴追、刑罰となります。これにより、香港が謳歌していた中国にあって中国ではない西側先進国並みの自由や民主や人権尊重は終焉を迎える、との評価が大勢を占めています。トランプ米大統領はじめ西欧諸国も中国を糾弾しています。米国は中国への制裁を課し、米中対立はもはや不可避です。
 香港の民主活動家のリーダー達も、状況を懸念して香港の危機と世界からの支援を訴えています。そんな中、リーダーの一人、ジョシュア・ウォン(黄志峰)氏は、コロナ対策を口実に下火となった民主デモは、むしろこの国家安全法への反対運動で再び火がつき、長期戦を辞さない闘志で満々、と怪気炎を上げています。同氏によれば、香港への対応で国家安全法という奥の手を導入せざるを得なくなったということからも、むしろ危機に瀕しているのは中国政府の方だ、との見方を示しています。
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The UK could offer British National (Overseas) passport holders in Hong Kong a path to citizenship if China does not suspend plans for a security law in the territory, Foreign Secretary Dominic Raab says.(BBCNews 2020年5月29日付「UK could offer 'path to citizenship' for Hong Kong's British passport holders」より)
 
<民主活動家の声 その1>
 「学民の女神/民主の女神」と英雄視ないしアイドル視されているアグネス・チョウ(周庭)女史は、5月22日付ツイッターにて次のようなコメントを出している。
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  中国政府による香港の完全破壊が始まった。昨日、中国全人代が香港に直接「国家安全法」を立法することを発表した。これは、香港の立法会で審議せず、中国政府が直接香港の法律を制定するということ。デモ活動や国際社会との交流などがこれから違法となる可能性が高い。一国二制度の完全崩壊です。  周庭
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 また、同女史は、香港では現在インターネット上の規制が緩く、YouTube、Instagram、Google、Twitter、Facebook等のサービスが使えるが、今後は中国本土同様のネット上の官憲の管制下におかれ、民主活動の動向や香港政庁や政府への批判を見張り、投稿者への逮捕などが起きることを懸念。香港の動向について、世界に注目してもらい、世界からの支援を訴えている。

<民主活動家の声 その2>
 民主活動家のリーダーの一人、ジョシュア・ウォン(黄志峰)氏は、まだ若いのに歴戦の闘将のような透徹した使命観を持ち、先を見通した冷徹な自負を述べている。(写真はジョシュア・ウォン氏(黄志峰))
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 同氏によれば、 ・・・一国二制度はもはや崩れ去った。しかし、昨年来の民主デモはコロナ対応があって下火となっていたが、中国政府の国家安全法の香港への導入により、民主デモ運動全体に再び火がついた。民主デモは再び大規模に行われ、中国政府はこれを弾圧する、もはやこの闘争は不可避。この間、何度も逮捕されるであろう。それでも戦う。香港人は長期戦を辞さない闘志で満々である。危機に瀕しているのは、香港というより、むしろ中国政府の方である。中国政府は、コロナ対応で、経済的にも国内外からの批判に対しても追い詰められている。追い詰められているがゆえに、火中の栗を拾ってもいい、国家安全法の香港への導入という奥の手を使わざるを得なったのだ。中国政府と長期戦となることを覚悟している。香港の2000年以降生まれの若い世代の若者達の戦いに負うところ大。香港の若者達よ、香港を離れずに共に戦おう。
(DW 2020年5月28日付「Hong Kong is being 'robbed of its rights」より)

<私見ながら>
 今や、全人代のニュースは香港の国家安全法導入決定の話題、特にトランプ米大統領をはじめ西側諸国の中国への批判、米中の対立の激化、香港での民主デモによる同法導入反対の運動と警察との衝突などで盛りだくさんです。私見ながら、今回のことで、香港はさぞ危機に瀕した状況なのだろうと思っていました。BBC記事によれば、英国は香港市民(英国パスポート保持者)に対して、単なるビザ発給ではなく英国市民権の付与の便宜を図る模様です。こうした救いの手が差し伸べられる状況下、「だったら香港から逃げ出した方が正解かもしれないなぁ」、なんて思っていました。実際、香港は危機に瀕しているのだろうと思いますが、ジョシュア・ウォン氏の見解を知ってビックリ。彼らの勇気に、こちらが励まされたような感覚に陥りました。
 なるほど、危機に瀕しているのは中国政府の方かもしれません。昨年は犯罪者の中国本国への引き渡しが民主デモに阻止されました。民主デモが、海外からの支援を得ていたことも断じて許せないのでしょう。米国や西欧からの善意の市民レベルの支援も当然あったでしょうが、中国政府が看過できないと思っているのは、米欧の国家的な諜報機関等による謀略も当然あるからでしょう。外国勢力からの謀略の温床に見えるわけです。事実、香港を舞台に、米国のCIAや英国のMI6をはじめ、諜報・謀略活動は当然あると思います。中国政府も当然香港の民主活動家を装ったスパイを入れているでしょうし、中国政府も海外で同じことをしています。おっと、脱線しました。すみません。
 中国政府は、海外から批判されることが分かっている今回の措置をなぜとったのか?ジョシュア・ウォン氏が言うように、追い込まれているのかもしれません。なぜなら、もっと穏当な策があったはずだからです。今回、国家安全法の香港導入を全人代で採決しましたが、こんなことしなくても、コロナ対策を口実に香港での集会や運動の禁止を徹底すれば、デモを封じることは可能だったはず。今夏の香港内の選挙で、民主派候補者に様々な妨害工作で落選させ、親中国政府派に議会の過半数を取らせれば、香港議会での合法的な民主派への締め付けはできたはず。にも拘らず、そうせずに即効性のある、その代り海外からは反対され批判を受ける国家安全法導入という手を打ちました。要するに、なりふり構わず、米欧との対立も辞せず、最も即効性のある策を打ったわけです。さもないと、香港の飛び火が中国本土で純中国庶民のモヤモヤした反政府衝動に火をつけるかもしれない。コロナ対応では、中国の庶民の政府不信を買いましたからね。

 いやー、こちらが勇気づけられたような気がします。
 頑張れ!香港!

(了)

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