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2018/09/14

マクナマラの教訓 ⑫補足その1: マクナマラ氏自身の編集による10訓

<映画「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」に学ぶ ⑫補足その1: マクナマラ氏自身の編集による10訓>

 これまで同映画に編集された11項目の教訓を反芻して参りましたが、実は、この映画のDVDには特典映像としてマクナマラ氏自身の編集による10項目に及ぶ教訓がスライドでついていました。マクナマラ氏は、この映画で「マクナマラの11項目の教訓」という形で「教訓」とされたのが、実は気に入らなかったようです。映画はエロール・モリス監督が自らインタビューした内容を編集しながら、「教訓」という形でエピソードを11カットに切って文字通り「編集」したわけですが、マクナマラ氏から見れば、確かにインタビューの中で自身が話した言葉かもしれないが、それはあくまで監督の映画編集における「教訓」であって、自分が編集したものではない、という趣旨のようです。
 私見ながら、結論から言うと、マクナマラ氏編の教訓はやや難解で一文が長く、「テロリスト」など映画中のインタビューにない同氏の考えなども入っており、はっきり言って蛇足だったかな、マクナマラ氏ともあろうものが大人げないな、と思います。「蛇足」とは少し言いすぎの感もありますが、同氏編と監督編とで内容的な相違は多少あるものの、要点となる部分は映画の監督編教訓でほとんどカバーしており、その辺が「蛇足」と表現した所以です。映画の監督編の教訓の方が、簡潔明瞭で分かり易く、この映画はこの映画として、監督編の11項目の教訓で十分「マクナマラの教訓」として成り立つと思います。

 それはさておき、以下、本人の編んだ10項目の「教訓」を列挙します。
映画「フォッグ・オブ・ウォー」より「マクナマラの10教訓」
 (出典: 映画「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元国防長官の告白」特典映像 より)

教訓1: The human race will not eliminate war in this century, but we can reduce the brutality of war – the level of killing – by adhering to the principles of a “Just War,” in particular to the principles of “proportionality.”
 「今世紀において、人類は戦争を止めることはないだろう。しかし“正しい戦争”という概念、特に“釣り合い”という理念に基づけば、戦争中のただ人を殺すだけという残虐行為は減らすことができる。」

教訓2: The indefinite combination of human fallibility and nuclear weapons will lead to the destruction of nations.
 「人間の弱さと核兵器の存在は世界を破滅させかねない。」

教訓3: We are the most powerful nation in the world – economically, politically, and militarily – and we are likely to remain so for decades ahead. But we are not omniscient.
If we cannot persuade other nations with similar interests and similar values of the merits of our proposed use of that power, we should not proceed unilaterally except in the unlikely requirement to defend directly the continental U.S., Alaska and Hawaii.
 「米国は経済的、政治的、軍事的に世界で最も強力な国である。数十年先までこの地位は変わらないだろう。しかし全能なる国ではない。もし米国と共通の目的を達成するため、そして権力行使のために同じ行動を約束する他国を説得できなければ、我々の力を一方的に押し付けるべきではない。ただし、米国本土及びアラスカとハワイを防衛する必要がある場合は別である。」

教訓4: Moral principles are often ambiguous guides to foreign policy and defense policy, but surely we can agree that we should establish as a major goal of U.S. foreign policy and, indeed, of foreign policies across the globe: the avoidance in this century of the carnage – 160 million dead – caused by conflict in the 20th century.
 「道徳の理念は外交政策や防衛政策からすると、その基準は曖昧になりがちだ。しかし、米国外交政策の最大の目的、つまり全世界に関わる外交政策の目標として確立しなければならない。20世紀の戦死者が1億6000万人であったことを思えば、今世紀が殺戮の世紀とならないためにも必要なのだ。」

教訓5: We, the richest nation in the world, have failed in our responsibility to our own poor and to the disadvantaged across the world to help them advance their welfare in the most fundamental terms of nutrition, literacy, health and employment.
 「米国は世界で最も豊かな国である。しかし、自国の貧困政策には失敗してきた。また世界中の恵まれない人々への福祉、つまり雇用や健康対策、教養や食料などの支援も成功していない。」

教訓6: Corporate executives must recognize there is no contradiction between a soft heart and a hard head. Of course, they have responsibilities to stockholders, but they have responsibilities to their employees, their customers and to society as a whole.
 「会社の幹部は優しい心と固い頭は相反することはないと認識しなければならない。当然、彼らは株主はもとより労働者や顧客など社会全体に対しても責任がある。」

教訓7: President Kennedy believed a primary responsibility of a president – indeed “the” primary responsibility of a president – is to keep the nation out of war, if at all possible.  
 「ケネディ大統領は、大統領としての責任を重んじていた。この『大統領としての主要責任』とは、可能な限り国を戦争から回避させることである。」

教訓8: War is a blunt instrument by which to settle disputes between or within nations, and economic sanctions are rarely effective. Therefore, we should build a system of jurisprudence based on the International Court – that the responsible for crimes against humanity.
 「戦争は国家間もしくは国内の紛争を治めるための単なる鈍器であり、経済的制裁の意味はほとんどない。それゆえに人間性に反する犯罪に対して、たとえ米国が支援を拒否してきたとしても、個々の責任を追及する国際裁判所に基づいた法学体系を築くべきだ。」

教訓9: If we are to deal with terrorists across the globe, we must develop a sense of empathy – I don’t mean “sympathy,” but rather “understanding” – to counter their attacks on us and the Western World.
 「西洋社会や米国に対する世界中のテロリスト対策を効果的にするには“共感”という感覚を養わなければならない。共感は“同情”ではなく“理解”を意味している。」

教訓10: One of the greatest dangers we face today is the risk that terrorists will obtain access to weapons of mass destruction as a result of the breakdown of the Non-Proliferation Regime. We in the U.S. are contributing to that breakdown.
 「今日、我々が直面している最大の危機の一つは、大量破壊兵器の拡散防止体制の崩壊により、テロリストがそれらの兵器を入手する可能性が出てきたことである。米国の国民は、その体制の崩壊に加担している。」
 (了)


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