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2020/07/11

イージスアショア配備撤回は間違っている

 数週間古い話ですみません。
 友人からイージスアショア撤回問題について見解を求められたので、ブログにて回答させていただきます。
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米国のロッキード・マーティンの施設にあるイージス・アショアの上部構造(wikiより)

イージスアショアの配備撤回
 6月15日夕、河野防衛大臣は弾道ミサイル防衛の縦深性が期待された迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止を、突如表明。
 理由は、配備を検討していた秋田県と山口県に対し、ブースターの一部の落下は演習場内に収まるよう改修するから大丈夫、と説明してきたが、改修コストが予想をはるかに超えるため、断念せざるを得ない、ということ。
 このニュースを受け、勉強不足なマスコミ各社は、イージスのそもそも迎撃ミサイルとしてのウェポンシステムそのものにも言及して、はじめから使い物にならないかのようなクソミソな批判を喧伝。

ちょっと待て、本質は何だ?
 ちょっと待って、論点がおかしい。「ブースターの落下が演習場内に収まるように改修する」という杜撰な防衛省の地元への説明は確かに非がある。しかし、本質を見誤っている。日本に核ミサイル攻撃を甘受するのか否かの問題のはず。日本を守るためのイージスアショアによる迎撃ミサイル発射の際に、ミサイルをロケット噴射で上空に推進する役目のブースターは、役目を終えると重力で外れて落下していく。これが洋上だったら人が住んでいないので問題にならないが、陸上配備のイージスの場合は、確率論の話ながら、落下する場所が演習場内に収まるとは言い切れない。ここをどう捉えるかが問題の本質のはずだ。本質的な議論のために少し乱暴な表現をすれば、ブースターが演習場外の住宅地に落下して生じる物理的被害と、日本の首都東京や主要都市に弾道ミサイルによる核攻撃を受けて生じる物理的被害・政治経済的影響の比較分析の問題ではないだろうか。後者を何としてでも避けるための努力がイージスアショアの導入であって、その際の問題点がブースターの演習場外落下の可能性である。

 地元は可能性の絶無を求めるでしょうよ。しかし、いつどの方向に攻撃されるかわからない弾道ミサイル攻撃に対応するイージスアショアの防空ミサイルに、「ブースターの落下を演習場内に収めるように改修せよ」というのが無理な相談。弾道ミサイルの迎撃ミサイルなんだから、弾道ミサイルに命中する迎撃ミサイルの精度が何よりの本質。ブースターの落下のコントロール?なんて枝葉も枝葉の問題である。では、「ご安心ください、ブースターは100%演習場内に落下するように回収できました。但し申し訳ないことに、迎撃ミサイルの命中精度が落ちました、すみません。」なら配備できてめでたしめでたし?なのか。

 要するに、沖縄の在日米軍基地問題と本質は同じ。我が国防衛のために、在日米軍を沖縄という戦略的重要性のある場所に置かせていただく。地元にはご苦労をかける。だから様々な補償や沖縄振興の措置をとる。これと同様、我が国防衛のために、イージスアショアを秋田県と山口県に置かせていただく。ブースター落下の可能性の問題への補償と地域振興の措置を篤くとらせていただく。・・・こう言う話じゃないの?

「飽和攻撃されて金のムダ」は間違っている
 蛇足ながら、更に2点ほど。「イージスアショアなんて高い装備を米国に買わされるのはバカバカしい。北朝鮮が何発も何発も飽和攻撃をしてきたら、初めの数発を迎撃できても、どっちみち何発か当たるんだから。やるだけ金の無駄だ。」という件と、「イージスアショアが配備撤回なら、これを機会に『敵基地攻撃能力』を持つべきだ。」という件、という議論について私見ながらコメントさせていただく。

 まず「北朝鮮の飽和攻撃には敵わないのだから、お金のムダなのだ論」だが、勉強不足も甚だしい。現行のイージス艦は、各艦のイージスシステムが200個以上の目標を捕捉し、同時に10個目標を迎撃できる。これを海上自衛隊は8隻保有している。ここ数年の最新SM-3の迎撃(実射)実績では外していない。90%を超えて100%に近似するところまで来ている。100%とは言わないまでも、理論的には飽和攻撃に手も足も出ない状態ではない。しかしながら、艦艇搭載である以上、船は補給も必要だし定期的なメンテも乗組員の休養も必要なので、実は1/3しか実戦配備できない。しかも、海上自衛隊のイージス艦の任務は弾道ミサイル防衛の専任ではない。多様な任務をこなす各種海自艦艇の一翼として多様な任務につく。これを強力にバックアップするのが陸上イージスだったはずなのだ。よって、陸上イージスは金のムダではない。確かに金はかかるが、陸上イージスは非常に重要な弾道ミサイル防衛の要だったのだ。

「これを機に敵基地攻撃能力を論」なんて有り得ない
 次に「これを機に敵基地攻撃能力を持とう論」だが、理論としてはあり得るが、現在の日本の認識ではその論法が成り立つ可能性はない。そんな議論がまともにできる日本なら、そもそも陸上イージスのブースター落下可能性で配備の撤回には至らないでしょ。ムリなんですよ。今の日本人の常識では。まぁ、議論はいいけどね。実現可能性なんてout of眼中な話だ。

河野大臣、アンタが国民を啓蒙しなきゃダメでしょ!
 そもそも、イージスアショア導入の本質は、北朝鮮や中国の弾道ミサイル防衛の強化だったはず。度重なる北朝鮮の弾道ミサイル開発及び多目標に指向される核弾頭の開発により、北朝鮮の弾道ミサイルによる核攻撃が日本国民の生命・財産の「今そこにある危機」と認識したのではなかったか?イージスアショアは、日本全体を24時間365日警戒できる弾道ミサイル防衛の強力な縦深性をもたらすものだったはずだ。イージスアショアは、元々はイージス艦に搭載された防空ミサイルの陸上設置型を言う。日本の弾道ミサイル防衛の要であるイージス艦のSM-3を、地上配備でオーバーラップして文字どうり「魔を払う盾=イージス」を提供するものだったはず。エセのニワカ軍事アナリスト?や勉強不足の記者達が、この陸上イージスをあたかも欠陥品のようにボロカス言うが、勉強不足も甚だしい。イージス艦の防空能力は、弾道ミサイルの迎撃の90%以上まで能力が向上している。これを陸上からのイージスによるオーバーラップで100%に近づけようという取り組みだった。

 こんな正論は普通の常識的な政治家では国民に説明できない。できる可能性があるのは宇宙人=河野大臣のみ。そういう意味でアンタに期待していたのに。宇宙人っぷりが違う方に働いて、早々にイージスアショアを切りやがった。違うぞ河野!アンタ本質を理解しているはずだ。宇宙人のアンタなら、他の常識的政治家が真っ青になる「国民に正論をかまして啓蒙する」なんて所業が出来るはず。制服自衛官も期待していたはず。もう制服脱いだから俺が言ってやる!河野!見損なったぞ!逃げるな!

(了)

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