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2021/07/25

中国ワクチン接種国で感染者増加: しかし一定の役割を果たしたと評価

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タイ、バンコクにて中国のSINOVACワクチンを準備中の医療従事者 (FILE - A medical worker prepares a syringe with a dose of China's Sinovac coronavirus vaccine at the Central Vaccination Center, inside the Bang Sue Grand Station, in Bangkok, Thailand, May 24, 2021.) (2021年7月21日付VOA記事「China Considering Foreign Booster Shot to Improve Efficacy of Its Vaccines」より)

 2020年初頭から世界を駆け巡った新型コロナウイルスCOVID19。これに人類が対抗する決め手として、各国各製薬会社がワクチンの研究開発にしのぎを削りました。その中で、中国とロシアのワクチンが、比較的早期に鳴り物入りで自国及び友好国などに有償又は無償で供給し、ワクチン外交を始めました。その中国自慢のCINOVACやCINOPHARMのワクチン、その開発の速さ、データの非公開などから、西側から信頼性や危険性が懸念されていましたが、・・・やはり、有効性で差が出てきました。

各国のデータから言えること
 2021年7月21日付VOA記事「China Considering Foreign Booster Shot to Improve Efficacy of Its Vaccines」(前掲)及び同年6月21日付Fobes Japan記事「中国シノバック製コロナワクチン、有効性への懸念さらに高まる」によれば、
 ・ 接種率が高い世界6ヶ国のうち、中国ワクチンを接種した5ヶ国にて感染者が増加
 ・ タイは、感染者や死亡者数が増加し、政府の感染症対策及び中国ワクチンへの依存への反発と欧米のワクチンの輸入を要求して反政府デモに拡大(7月18日)。
 ・ インドネシアは1億2,500万回分という中国ワクチンの世界最大の輸入国だったが、中国ワクチン接種済みの医療従事者350名以上が感染したことが判明(6月17日)。デルタ株が疑われる。
 ・ 1回以上の接種率が米国53%に対して61.4%と世界有数の高さを誇るウルグアイ(中国ワクチンを接種)が公開した実データでは、中国ワクチンの有効性は死亡を含む重篤化の防止効果は90%以上ある一方、発症の予防は61%と低い。そのウルグアイの人口10万人当たりの死者数は世界トップクラス。
 ・ これまで中国ワクチンを接種してきたフィリピンやチリ等の国々で、「ブースターショット」と言われる追加接種の必要性が検討され、もう中国ワクチンではなく欧米ワクチンに転換される模様。
   そして、この追加接種の検討をしている国に、当の中国も入るのです。前掲のVOA記事によれば、この追加接種には純正中国ワクチンを使用せず、上海の中国製薬会社とドイツの製薬企業の共同開発という形で欧米ワクチンを導入する模様です。

私見ながら、中国ワクチンの有効性は限定的だが一定の役割を果たしたと評価します
 上記のようなニュースから言えることとして、中国ワクチンの有効性はやはり限定的だったようです。
 しかし、だからと言って、こき下ろすつもりはありません。かく言う私も、以前のブログで中国ワクチンの有効性についてこき下ろしたことがあります。しかし、今回、前掲のVOA記事などをよく読んで、考え直しました。例えば、前述のウルグアイの実データの話、「中国ワクチンの有効性は死亡を含む重篤化の防止効果は90%以上ある一方、発症の予防は61%と低い。」をどう見るか、です。発症の予防が60%そこそこっていうことは確かに低いですが、それでも重篤化を90%も防いでくれたんでしょ。大したもんです。イスラエルの実データでは、ファイザーが97%、モデルナで94%だそうですから、発症予防という意味では確かに低い。しかし、今懸念されているインド型のデルタ株に対しては、ファイザーであっても64%に低下したそうです(イスラエルのデータ:前掲VOA記事参照)。勿論、中国ワクチンだと、対デルタ株への有効性は更に低く、50%以下どころか40%も切るかも、と懸念されています。
 しかし、それでも私が「評価できる」と言っているのは、「持たざる国」へのワクチンの提供、という意味で「一定の役割を果たした」と言えると思うのです。考えてみてください、ファイザー、モデルナなどの欧米ワクチンは、非常に有効性も高いようですが、金持ち国から導入していきましたよね。日本もそうですよね。「持たざる国」は順番が来るまで死体の山を築いて待つのでしょうか?そういう意味では、中国は、2020年後半~21年と中国ワクチンをアジア、中南米、アフリカの比較的お金のない国々に有償・無償で大盤振る舞いしてきたことは、本当に一定の評価ができると思います。有効性が限定的であろうが、あれで当初のCOVID19の世界的パンデミックの第1波、2波、3波を治める役割の大きな一翼を担ったと言えるのではないでしょうか。

 勿論、中国には言いたいことはありますよ。「新型コロナ中国起源説(武漢の研究所が元凶だった説)」を何とか収めるための政治的PRにワクチン外交を展開したことや、自国や世界の公衆衛生よりも自国の政治的意図を重視してワクチン外交の道具に使っていたことなど、鼻につく点は否めません。このワクチンだって、欧米ならもっともっと臨床テストを繰り返し、データも公開して、人体への影響について十分な安全性が保障されるまで、一般大衆に摂取しないでしょう、普通な国なら。中国だからこそ、たいして十分にデータが取れていないうちにGoをかけて接種し始めてしまったんですよ。
 しかし、そこを十分に割り引いても、アジア、中南米、アフリカの国々で、死体の山が築かれましたけど、この中国ワクチンの流布のお陰で、死体の山の苛烈さは幾分緩和したのではないかと思います。そういう意味で、中国ワクチンは一定の役割を果たしたと評価すべきだと思います。

 中国は、今のところ中国ワクチンの有効性が限定的であるなどとは国家として認めていませんが、中国の医療従事者たちが自覚しているようです。そのうち、特に中国での冬季オリンピックを念頭に、中国の追加接種が本格化する頃、純正中国ワクチンでなく、欧米ワクチンの力を借りた追加接種になることを中国政府がどのように表現するか、その辺が見ものですね。素直になればいいのに。

(了)

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