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2022/06/18

セベロドネツク危うし、されど朗報「仏独伊が支援確約」

French,German,Italy visited Kief
2022年6月17日付ロイター「仏独伊首脳ら「ウクライナは欧州の一員」、キーウで大統領と会談」より

ジリ貧のセベロドネツク
 日々セベロドネツクの激戦の状況、特にジリジリと同市内のウクライナ軍を包囲しつつある状況が報道されています。ロシア軍は、同市内のウクライナ軍の退路を断つため、同市から西に退避する際に通らねばならない橋を全て破壊したため、事実上、ウクライナ軍は徹底抗戦か降伏かしか選択肢がありません。同市はマリウポリ陥落の時のアゾフスタリ製鉄所のように、ウクライナ軍の拠点及び同市市民の避難所となっているアゾト化学工場に追い詰められた形となりました。お約束的ですが、ロシア軍による降伏勧告や人道回廊の設置が報じられては、「ウクライナ軍は降伏に応じないどころか、人道回廊による市民の避難を妨害している」というロシア側の伏線回収のオチが着きます。

独仏伊の首脳の「戦況に関わらずウクライナ支持」確約は超朗報
 2020年6月16日、独・仏・伊・ルーマニアの首脳がキーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領に「戦況に関わらずウクライナを支持する」旨の確約をしたことは、ウクライナ情勢を見守る者にとってビックニュースでした。私見ながら、西側諸国が、これ以上の戦争継続による人道的配慮及び経済庭影響の大きさを踏まえて、調停仲介に本格的に乗り出すキッカケ的な出来事として、東部の要衝セベロドネツクの失陥は十分あり得るだろうなと、と危惧していました。現在の趨勢では、東部の要衝セベロドネツクが第2のマリウポリになりそうな状況です。このタイミングでの西側一部首脳のキーウ訪問なので、ここで調停好きなマクロン仏大統領が「平和的解決」という大義名分に押し出して、ロシアとの調停に動くことはあり得るかもしれない、と危惧していたわけです。だって、ロシアとウクライナの停戦ということは、現在の接触線をもって当面の領土が仮置きされ、じ後、停戦交渉で線引きを議論しますが、東部2州や南部の現在のロシア支配地域は、恐らくそのままロシアの支配地域になるわけで、それをウクライナに「譲歩」させることになるわけです。私見ながら、そこを危惧しているわけです。マクロンという人は自分ならプーチンとサシで腹を割った交渉ができる、と根拠のない自信を持っています。実際、一度試みて失敗してますけどね。そのマクロン仏大統領が独・伊らの首相とともに、ゼレンスキーに「この辺でそろそろ、平和的な解決を我々に託さないか?」と言ったりしそうだなぁ、と危惧していたわけです。だってタイミング的には東部戦線に世界の耳目が集まり、ロシアが一見有利に見える時期ですから・・・。

 それが、あにはからんや、ウクライナ支援を確約してくれましたよ。
 The leaders of Germany, France, Italy, and Romania committed to Ukrainian officials that the West would not demand any concessions from Ukraine to appease Russia and will support Ukraine to the end of the war during a visit to Kyiv on June 16. French President Emmanuel Macron declared that France, Germany, Italy, and Romania are “are doing everything so that Ukraine alone can decide its fate.” (2022年6月16日付ISW Ukraine Conflict Updates) (独、仏、伊、ルーマニアの首脳は、西側がロシアを懐柔するためにウクライナに譲歩を要求するようなことはなく、終戦に至るまでウクライナを支援していくことをウクライナ当局に確約した。 マクロン仏大統領は、「仏独伊ルーマニアの四国はウクライナが自国の運命を自ら決めることができるよう、あらゆる支援をしていく、と宣言した。」
 いやぁー、胸をなでおろしました。これなら当面、ゼレンスキー大統領も安心して西側に長射程砲などの武器供与などおねだりできる基盤ができました。勿論、今回の一行は仏独伊ルーマニアですから、西側の中核である米国と英国がその場にいないので「西側が」という主語ではないかもしれません。しかし、米英がいない場で、米英と一線を画すマクロン仏大統領が出てきたので私は危惧していたわけですよ。もし、マクロンさんが仲介すると言い出したら、今度はプーチンは西側の結束が崩れるがゆえに仲介に前向きなポーズをとるでしょう。プーチンは仲介してもらいたいとは思っていないでしょうが、西側の一枚岩的結束を乱してくれるマクロンさんを大歓迎するでしょう。いやー良かった良かった。

他方、全般状況ではまだまだ一進一退は変わらず
 ここでよくご理解いただきたいのですが、全般状況は引き続き一進一退の膠着状況ですので、メディア報道で一喜一憂されませんようお願いいたします。
 全般状況をザックリまとめると以下の通りです。併せて、ISW Ukraine Conflict Updates(同左2022年6月16日付)の戦況図をご覧ください。

① ロシアの主作戦正面: ドンバス平原の戦いにおいては、東部の要衝セベロドネツク攻防戦でロシアが概ね同市を包囲。リシチャンシクへのウクライナ軍の後方連絡線を断つように攻撃中。他方、ロシア軍の攻撃を観察すると、本来とるべき戦闘のための編成である「大隊戦術群(BTG)」の体をとれていない、無手勝流な態勢での無秩序な攻撃となっている。指揮、統制が取れていない状況、と見積もられる。また、セベロドネツクの北西の正面では、ロシア軍はスラビャンスク攻撃に失敗、一方のウクライナ軍はイジュームの西にて反撃態勢に入った模様。

② ロシアの支作戦正面(北): 北のハルキウ正面では、ウクライナ軍の反撃、ロシア軍の防御の形でハルキウ北部と北東部で交戦が繰り返されたものの、接触線の進展はない模様。

③ ロシアの支作戦正面(南): 南のヘルソン正面でも同様に、ウクライナ軍の反撃、ロシア軍の防御の態勢で戦闘が継続したが、大きな接触線の進展はない模様。

④ ロシアに既に占領・支配された地域では、親ロ派による自治政府がロシア行政の指導でロシア化政策を推進中。他方、同地域に残る親ロ派でないウクライナ人は非協力的で、一部の勢力は「パルチザン」としてゲリラ攻撃活動を各地で実施。その掃討覆滅のため、多くの親ロ派の部隊や一部のロシア軍の勢力が兵力を割かれている。

スライド1
2022年6月16日の全般状況

スライド3
①主作戦正面 ドンバス(セベロドネツク、イジューム等)正面の状況

スライド4
②支作戦正面(北): 北のハルキウ正面の状況

スライド5
➂支作戦正面(南): ヘルソン正面の状況

(了)

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