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2022/09/14

プーチンがハルキウ敗北を認める!とは言え、まだまだ長期戦は続く。アホなイケイケ報道に注意

プーチンがついにハルキウ敗北を認める!
 状況が急に動き出しました。
 2022年9月13日、ロシアの大統領府クレムリンが初めてハルキウ州でのロシア軍の敗北、撤退を認めました。
 いやー、プーチンが「敗北・撤退」を認めたのは、プーチンが大統領就任以来初めてのことです。ロシア大統領府にしてみれば、上を下への大騒ぎの異状事態です。プーチンは、現在の戦況を国民に知らしめ、ハルキウでの敗北の原因は軍指導部の作戦指導と大統領府への補佐に問題があったことに責任をすり替えている模様です。(参照:2022年9月14日付ISW記事「Ukraine Conflict Updates: RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, SEPTEMBER 13」)

とは言え、まだ長期戦は続きますよ、ご留意を!
 アホなマスコミは、もはやウクライナの勝利が確定しているかのような報道ぶりですが、賢明な日本国民の皆様は、マスコミのアホな報道にミスリードされませんように。
9月13日と5月23日の戦況比較
今回の反撃攻勢(9月13日)の戦況図とセベロドネツク攻防戦の頃(5月23日)の戦況図の比較: 実はそれほど大差はない(2022年9月13日付及び5月23日付IISW記事「Ukraine Conflict Updates: RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT」を基にブログ主が加工)

 プーチン大統領という男を、いや、ロシアという国の底力を見くびり・見誤ってはいけません。全般戦況図を見てください。確かに北部ハルキウ正面でウクライナの失地回復が進みました。素晴らしいことです。しかし、東部ドンバス平原では、ハルキウ正面の南=ドンバス平原の北に当たる要衝イジュームを獲った、とは言え、両軍の多くの兵士の血を吸ったドンバスの要衝セベロドネツクはまだロシアの支配地域ですし、全般的にはまだまだそれほど数週間前と戦況図そのものは変わりがありませんよ。ロシアの陣地強度が薄かったハルキウ正面で戦況が進んだだけで、今後の東部ドンバス平原正面の戦いは、今回の戦争前から親ロシアが支配していた地域を核心に、非常に固い防御陣地線になります。イケイケドンドン的に攻撃前進できるものではありません。南部に目を転じれば、ほとんど接触戦は変わっていないのです。もちろん、南部へルソン正面でウクライナ軍は攻勢をかけていますよ。しかし、ロシアの陣地防御が頑強で、なかなか進んでいないのです。今後、ロシア軍は部隊や陣地線を再編成して、いよいよもって頑強な抵抗を示すものと推察します。もちろん、全般状況はウクライナが逐次に押していくものと思いますが、スケジュール感的には今年の冬まで、長―い持久戦闘を持ちこたえるでしょう。ナポレオンの攻撃に耐え、ナチスドイツの猛攻に耐え、冬将軍を味方にして持久戦を戦ったロシア軍の底力を想起しなければいけません。・・・これが現実、これが歴史であって、決してもはやウクライナの勝ちが見えてきたわけではありませんので、ご留意を。

 他方、今回の「ハルキウ正面におけるロシア軍の敗退」という現実に直面して、プーチンも腹をくくったことでしょう。今後は、一部のロシア下院議員が先行して伏線を張っているように、こうなったら国難に対処するため、無関心な国民に「国難」を認識させ奮い立たせる施策を打って、ついに伝家の宝刀「徴兵・動員」に踏み切るのではないか、と推察します。記述が前後しますが、ロシアの下院議員3名がロシア議会の中での発言として、今回のハルキウ敗北に言及し、今後は戦況を国民に正確に伝え、マスコミは無関心な国民を啓蒙し奮い立たせ、徴兵・動員を簡略手続きでできるように、等の要求をしています。(参照:前掲ISW記事「Ukraine Conflict Updates: RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, SEPTEMBER 13」) これまで国民の大動員という伝家の宝刀を使うことを手控えてきたプーチン大統領でしたが、いよいよ腹をくくった、と推察します。

「南部攻勢はブラフで北部攻勢で奇襲に成功」というのは事実に反する
 ただ、少し気になるのは、ウクライナの反撃でハルキウ正面でにわかに戦況が著しく進みましたが、アホなマスコミや軍事を知らない学者さんやコメンテーターが、もはやウクライナの勝ちが決まったかのようなコメントがなされています。それ、間違っています。特に、ある報道で、今回のハルキウ正面の勝利は「奇襲」と表現し、「そもそも南部での反撃と見せかけてロシア軍の主力を南部にくぎ付けにし、実は北部ハルキウ正面にウクライナ軍主力を結集させていて攻勢をかけた、それがマンマとうまくいった」かのようなことをシャーシャーと言っていますが、それは事実に反しています。奇襲ではありません。ロシアは確かに、東部ドンバス平原正面でセベロドネツク攻防戦に勝利した虎の子精強部隊を南部へルソン正面に転用するなど、南部の備えを強化していました。しかし、ロシア軍は北部や東部をおろそかにしたわけでも、東部や北部から攻撃されるなんて思ってもみなかったわけでもありません。また、ウクライナ軍も南部攻勢をかけるフリをして実は北部に全力を振り向けた訳でもありません。それが証拠に、8月から9月初旬のいずれの時期でも、北部ハルキウ正面~東部ドンバス平原正面~南部へルソン正面まで、全正面でロシア軍とウクライナ軍は接触戦を維持していて、かつ、全正面で双方が地上攻撃を繰り返してはお互いに撃退していて膠着戦を続けていたのです。 事実、攻勢開始後に、ウクライナ軍は南部を主作戦正面(主攻撃)とし、ヘルソン市奪取を名指して3軸で攻勢をかけて激戦、南部正面のロシア軍が頑強に陣地防御で抵抗し、ガップリ四つ相撲の最中です。ウクライナ軍は、支作戦正面(助攻撃)として北部正面にアゾフ連隊の生き残りのようなイケイケ部隊を当てて、ロシア軍の比較的防御強度の薄い正面にスクリュードライバーのようなネジネジぶりで強行突破し、この正面のロシア軍を敗走させました。これは助攻撃ならではの成果です。助攻撃は助攻撃正面に敵をキリキリ舞いさせることで、主攻撃正面への戦力配分を減じることで役割を果たし、主攻撃に寄与しているのです。今の北部〜東部正面のウクライナ-ロシア両軍の接触線は、元々親ロシア勢力が支配していた線にほど近い一枚前の線です。ここを突破できたとしても、元々親ロシア勢力が支配していた陣地線で止まるでしょう。他方、南部正面はヘルソン市という要衝の攻防戦は相当の血を吸う激戦となりますが、へルソン市を陥落させれば東部まで数線の陣地でロシア軍の抵抗を受けますが、比較的ガンガンいけます。そしてこっちからの方向の攻勢も、結局もともと東部で親ロシア派勢力が支配していた線で膠着戦となるでしょう。

 ロシア軍を侮ってはいけません。繰り返しのようで恐縮ですが、アホなマスコミの報道に惑わされませんように。ロシアやロシア軍にはツッコミどころは沢山あり、ロシア軍が実は弱くて脆いかのように報道されがちですが、アホなマスコミの言説の尻馬に乗って、明日にもウクライナ戦争がウクライナの完全勝利で終わるとか、プーチン政権が崩壊するとか・・・、現実はそう簡単ではありません。ご留意を。

 それでも頑張れ!ウクライナ!

(了)

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