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2023/01/24

ウクライナ侵攻の余波で韓国の防衛産業が東欧で急成長:日本は甘受せざるを得ないが…

Korean weapons sales
ポーランドが大量に導入を決めた韓国製K239「チャンムー」ロケット砲システム(Korean K239 Chunmoo rocket artillery system):射程239km=80マイル、バンカーバスター榴弾とクラスター弾を弾頭として搭載するMLRS。ザックリ言うと安めのHIMARS。(2023年1月18日付Eurasia Daily Monitor記事「South Korea Grounds Its Position in the Central and East European Defense Market」より)

ウクライナ侵攻の余波で韓国の防衛産業が東欧で急成長:日本は甘受せざるを得ないが…
 まだまだ激戦しつつも戦線の膠着が続いているウクライナ戦争。今回は自衛隊OBの私には珍しい防衛産業のネタです。
 ロシアとの地理的近さから緊張感の高い東欧諸国(いわゆる中欧を含むロシア以西/ドイツ以東のヨーロッパ諸国)は、ウクライナに対する支援をする傍ら、自国の防衛力の整備に余念がありません。そんな中、韓国の防衛産業が史上空前の売れっぷりを示し、はや世界№.8 に上ってきました。2012年~2016年の期間では韓国の武器輸出先の4分の1がヨーロッパであり、そのうちの半分以上が英国でした。それが2022年までの間でポーランドはじめ東欧を開拓し、輸出額は2012年〜2016年当時と比し177%にも成長しています。
 第2次大戦の敗戦を経験した日本としては、日本の防衛産業を「ウクライナ侵攻の機に乗じて成長させよう」という訳にはいかず、商機ですが甘んじてこの状況を受け止めるしかないですね。しかし、日本の活躍できる分野をテコにいろいろ付け入る余地はあると思うんですけどね…。
 今回は自衛隊OBのくせにビジネスに口出すなと怒られそうですが、そういうお話です。
 
ウクライナ侵攻の余波で韓国の防衛産業が東欧で急成長
 ロシアのウクライナ侵攻がロシアと地理的に近い東欧に与えたインパクトは、非常に大きいと言えましょう。冷戦期の東西の軍事的緊張以来の、東欧から地続きの隣近所で起きている軍事侵攻という現実に直面しているワケですから、自国の防衛力整備を強化するのは当然の反応です。
 その急先鋒がポーランドで、そのポーランドが武器輸入先に選んだのが韓国でした。ポーランドは2022年6月、韓国から1,000台のK2主力戦車、672台のK9自走榴弾砲、48機のFA-50軽戦闘機の導入で87億7000万ドルの契約をし、更に同年10月には35億5000万ドル相当の兵站パッケージと弾薬供給を備えた218基のK239 ロケット砲システムも導入する契約を結んでいます。これは韓国防衛産業にとって過去最大規模のセールスであり、またポーランドはこれら一連の防衛力整備により、非核保有国として軍事大国の仲間入りであり、東欧の砦になりつつあります。
 ポーランドの事情として特筆すべき点が二つあります。まず、冷戦期にソ連の強い影響下にて、ウクライナ侵攻は明日は我が身の緊迫感を持っていること。そしてもう一つ、冷戦後に西欧に経済的にも安全保障でも接近して、今やEUにも NATOにも加盟しているものの、西欧諸国から距離を置かれていることに不信感を持ち、西欧諸国からは武器輸入しない政策を取っていることです。
 韓国は、このポーランドへのアプローチとして、武器輸出のみならずその生産とメンテナンスでアフターケアでき、かつ近隣諸国にも武器輸出したものの生産とアフターケアを提供できる生産ハブ兼兵站施設を建設し、地元も潤うように複合的なパッケージを提供しています。更に、原子力発電所の建設、半導体や水素産業などのポーランドとの提携も進めています。
(参照:2023年1月18日付Eurasia Daily Monitor記事「South Korea Grounds Its Position in the Central and East European Defense Market」)

 日本は甘受せざるを得ないが…
 悔しいですが、第2次大戦の敗戦を経験した日本としては、日本の防衛産業を「ウクライナ侵攻の機に乗じて成長させよう」という訳にはいかず、商機ですが甘んじてこの状況を受け止めるしかないですね。日本の防衛産業は、日本のお家芸の産学連携のような研究開発にも武器輸出にも重い制約が課され、かつ各企業も防衛産業をあまりPR できない「日蔭産業」の状況です。
 武器輸出は難しくとも日本もちょっとは頭の使いどころがあるだろうと思うのは、韓国は前述の防衛産業(武器輸出)の急成長について、実は原子力発電ほかの分野のセールスとのタイアップないしパッケージで成長させていることです。こういうのは往時の日本のお家芸だったのでは?経済・通商の専門ではない、ただの自衛隊OBのたわごと過ぎませんが、武器輸出は難しくとも、いろいろ付け入る余地があるのに…と。例えばウクライナへの重要インフラ攻撃で応急復旧や対策が喫緊の課題となっている電力復旧・電源確保の分野でウクライナで効果的な支援を提供し、と同時に同様の心配を抱える東欧諸国にこうした分野のビジネスにつなげるなど、日本の活躍できる分野をテコにいろいろ付け入る余地はあると思うんですけどね。


 今回はいつもと全く違う分野の話を取り上げてみました。
 ちなみに、前回のブログのネタにて、ロシア国防省/軍首脳部とワグネル部隊/国内タカ派の対立にプーチン大統領が後者を支持し軍の再建に舵を切った話をしましたが、2023年1月22日付ISWのupdateではそのネタが整理され捕足されていました。私の読みとほぼ同じでしたよ。まぁまぁ当たってるでしょ。関心のある方はISW記事をご覧ください。

頑張れ、ウクライナ!

(了)

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