韓国海軍レーダー照射事案の見方 (軍律低下の可能性)
韓国海軍レーダー照射事案の見方 (軍律低下の可能性)
s.jpg)
海自の哨戒機 P-1
巷を騒がす標記の事案について、知り合いからコメントを求められましたので、
私見ながらゴーマンかましてよかですか、とばかり思うところを書かせていただきます。
文字ばかりで読みづらいと存じますが、お付き合い願います。
1 前言: 結論から言うと、
① 韓国海軍の現場のモラルハザードによる反日感情の勇み足
② 韓国政府の意図的な対日挑発
③ 南北瀬どりを秘匿するための緊急避難
の3つが考えられ、①の公算が一番高いのでは?と見ています。
まず、事実関係から整理してみましょう。
2 事実関係の整理
- 12月20日(木)午後3時頃、能登半島沖において、韓国海軍「クァンゲト・デワン(広開土大王)」級駆逐艦から、哨戒中の海上自衛隊のP-1(厚木)が、火器管制レーダーを照射された。防衛省は21日に公表し抗議。
- 韓国側は、当初、「遭難した北鮮漁船の捜索活動中に装備する全てのレーダーを使用、その覆域にP-1が入ったので意図的に非ず、偶然の出来事。」と説明。じ後、「火器管制レーダーは照射していない。」と訂正。
- 場所: P-1は能登半島沖の公海上、日本の排他的経済水域(EEZ)内
クァンゲト・デワンは(韓国が言うには)日韓中間水域韓国側
(海自の主張では)日本のEEZ内
3 日本側(防衛省)の見解・主張
21日に岩屋防衛大臣が公表した後、22日に以下の見解を公表。
「『韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について』
12月20日(木)午後3時頃、能登半島沖において、韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦から、海上自衛隊第4航空群所属P-1(厚木)が、火器管制レーダーを照射された旨、21日(金)、防衛省から公表を実施しました。
本件について、種々の報道がなされていますが、防衛省としては、20日(木)のレーダー照射事案の発生後、海自哨戒機の機材が収集したデータについて、慎重かつ詳細な分析を行い、当該照射が火器管制レーダーによるものと判断しています。その上で、火器管制レーダーは、攻撃実施前に攻撃目標の精密な方位・距離を測定するために使用するものであり、広範囲の捜索に適するものではなく、遭難船舶を捜索するためには、水上捜索レーダーを使用することが適当です。
加えて、火器管制レーダーの照射は、不測の事態を招きかねない危険な行為であり、仮に遭難船舶を捜索するためであっても、周囲に位置する船舶や航空機との関係において、非常に危険な行為です。なお、韓国も採択しているCUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)において、火器管制レーダーの照射は、船舶又は航空機に遭遇した場合には控えるべき動作として挙げられています。
以上の理由から、今回このような事案が発生したことは極めて遺憾であり、韓国側に再発防止を強く求めてまいります。」
いやー、防衛省の発表は非の打ちどころのない大人の対応ですね。言うべきことは明確に言い、特に韓国側の弁明に対して根拠を示して「違いますよ」と念押しし、その一方、威圧的なことは一切言わず、内外に公明正大に日本の主張をしました。こりゃ「一本!勝負あった」というところですね。
他方、韓国側の弁明のポイントは以下の通りです。
4 韓国側の弁明
- あくまで遭難した北鮮の漁船の人命救助のための捜索活動中であり、捜索目的でレーダーを使用した際、その覆域にP-1が入ったもの。
- 意図的にP-1を追尾したり照準したりしていない。そもそも火器管制レーダー照射などしていない。(他のレーダー波を海自側が火器管制レーダーだと誤解している、又は海自が意図的にそう主張している、との認識か)
- むしろ、捜索活動中にP-1が低空でクァンゲト・デワンの上空を飛行し威圧された。それを光学カメラを向けて撮影。
なぜ、当初は火器管制レーダーも使用したことを認め、「それが偶然当たっちゃったんでしょ」という苦しい弁明ながら一部正直に白状した状況だったのを、わざわざ「そもそも火器管制レーダーは使用していない」とまで前言を修正したのでしょうか?海自側は間違いなく火器管制レーダーを照射されたエビデンスを持ってますから、これは後で恥をかくだけなのに・・・。利害得失を検討した上で、韓国国防省発表として言い切りましたからね。正気の沙汰ではないです。

韓国海軍 クァンゲト・デワン
5 考えられる背景の分析
照射があったかなかったか、というのはもはや問題ではないとしか思えません。前述のとおり、海自P-1は確実に火器管制レーダーの照射を感知し、機内に警報が鳴って、回避行動をとったに間違いありません。必ずデータというエビデンス(火器管制レーダーの周波数は他のレーダーとは違うので明確)がありますから、根拠を持って証明できます。しかし、敢えて大人げなくそれを振りかざさず、冷静かつ慎重に、韓国に対して遺憾の意を示したうえで、再発防止を訴えているのですから、全くもって「大人の対応」をしています。もし、このエビデンスを示さざるを得ないところまでこじれたら公表すると思います。しかし、そこまで追い込まないのが日本の粋なところです。もしかしたら、政治的配慮でアンダーでは示しても内外への公表はしないかもしれませんが。
よって、何で火器管制レーダーを照射なんかしちゃったのか?という原因とその背景について分析したいと思います。
考えられる原因は次の3点です。
① 韓国海軍の現場のモラルハザードによる反日感情の勇み足
文政権下で軍の規律が緩み、反日感情の発露として、あくまで現場の勝手な判断で勇み足が起きたのではないか、という案です。
② 韓国政府の意図的な対日挑発
時あたかも徴用工の日本企業に対する賠償命令判決で緊張する日韓。更に地味ながら、日韓の漁業交渉も進捗せず。対日対決姿勢を政権安定施策としているため、少し危険ながら上の指示で火器管制レーダー照射が起きたのではないか、という案です。
③ 南北の瀬どりを秘匿するための緊急避難
米国と北朝鮮の交渉が行き詰まる中、実は南北が協調しており、北朝鮮には輸出できない禁制品目を南北がこの海域で漁業を装って「瀬どり」(洋上で密輸)しており、そこを哨戒するP-1に対し「瀬どり」を秘匿するため、緊急避難的に強制排除のために火器管制レーダーを使ったのではないか、という案です。
一番公算が高いと思うのは、①です。多くの方が「それはないでしょ」と思うかもしれませんが。背景として文在寅大統領がこれまで政府や軍を支えてきた親米・反北朝鮮・中国牽制路線を覆し、親北朝鮮・親中国路線への転換をしたことで、これまでの政府や軍のエリートがやる気のなくなる態勢があります。彼らはエリートから外され、使ってもらえず、果てはパージされたり逮捕されたりという状況。政府を支えてきた官僚や軍の将官が、左遷されたり辞任したり。軍の中にもモラルハザードが起きている、という話を耳にしました。軍は本来、規律厳正、上意下達(上の意志を下に達する)、直線直角の白黒ハッキリした軍律というものが精強さのバロメータです。やはり強い軍隊は規律正しい。そして、規律が緩んでいる部隊は弱い。有名な話ですが、日清戦争の頃、清国海軍のモラルが低く、英国から買った最新鋭の定遠という世界最高峰の戦艦を持っていながら、艦内では水兵が博打をしたり、洗濯物を干していたり、勝手に飯を食っていたり、果てはアヘンを吸っていたり。日清戦争の結果は欧米の下馬評を覆して日本が完勝しました。韓国は元々、旧帝国陸軍士官学校出身の中堅将校が朝鮮戦争の救国の英雄となり、韓国軍を再建したので、実は帝国陸軍仕込みの鉄の軍律を培っていました。まぁ、時代とともに現代韓国風になりました。そこまではまだ軍律が硬かった。しかし、現在の文在寅政権になってからモラルが落ちてきたようです。韓国軍人といえども韓国人としての反日感情がありますから、海自のP-1が哨戒しているのをうっとおしく思い、「この野郎、狙っちゃうぞ」と勇み足したのではないでしょうか。本来なら、火器管制レーダも上司の命令・承認がないと勝手に照射しませんから、絶対あり得ない話ですが、上司も含め勇み足したのかもしれません。本来の軍律があればあり得ない話です。しかし、そこまでのモラルハザード状態なのかもしれません。

大和堆 (12月16日の産経のツイート https://twitter.com/Sankei_news/status/1074243219821518848 より)
さらに言えば、反日感情をそそらせる背景として、「場所」があります。今回の現場は、「能登半島沖」とか日本のEEZ内とか言われていますが、実は「大和堆(ヤマトタイ)」と呼ばれる天然の漁場です。ここで日韓北鮮ともに漁をしたがります。しかし、日本のEEZなので、日本の漁船や海上保安庁が警告を発します。今回の事案の数日前にも密漁して逃げて遭難した韓国船を日本漁船が救助しています。最近は、韓国船は韓国海軍の艦船を近傍に伴ってこの漁場に来ることが続いています。北朝鮮の漁船の遭難もあったのかもしれませんが、まさに日韓の漁の戦場なので、愛国心から反日感情の発露が出る背景がここにはあると言えましょう。韓国国防省や政府は事態の原因を知り、現場を叱責しつつも、韓国側に大きな過失はなかったかのように説明し、事態の沈静化を祈っている・・・、というところではないでしょうか。
②はどうでしょうか。この案は、火器管制レーダを照射するには、上司の命令なくばあり得ず、そうならば海軍どころか政府のお墨付きなくば起きないだろう、という考えから出てくる案です。というのも、火器管制レーダとはFire Control Raderですが、「火器管制」とは陸自では「射撃統制」と呼ばれ、今回の韓国海軍クァンゲト・デワンの例で言えば対空ミサイル・シースパローの射撃をレーダー誘導で命中させるための、目標をロックオンして射撃統制・制御するためのレーダーです。どっかに遭難船があるかな?というあちこちを探す標定用レーダーではなく、目標にミサイルを当てるための指向性のある狙撃用のレーダーです。レーダーを照射するということは「狙う」という意識を持って照射する、ということです。ことの重要性は、これが係争地のウクライナ・ロシアの間で起きれば間違いなく照射された時点で攻撃されてもおかしくない話。さすがにことの重要性を深く理解していないとしか考えられません。よって、可能性はあると思いますが、韓国の政府・国家がそれを命じた、とはさすがに思えません。それくらい政権がバカだという可能性もありますが、・・・。
③はどうでしょう。金に目がくらんだ一部企業が北朝鮮に、洋上で抜け荷=「瀬どり」をするのはたまにありうると思いますが、韓国の政府・国家が、やりますかね?であったとすれば、わざわざ日本が哨戒するかもしれない大和堆でやりますか?もっと南北朝鮮の近海でやればいい話ですよね。よってこれもわざわざリスキーなこの海域でやるというのが、③の可能性を下げていると思われます。
(了)


にほんブログ村

国際政治・外交ランキング
s.jpg)
海自の哨戒機 P-1
巷を騒がす標記の事案について、知り合いからコメントを求められましたので、
私見ながらゴーマンかましてよかですか、とばかり思うところを書かせていただきます。
文字ばかりで読みづらいと存じますが、お付き合い願います。
1 前言: 結論から言うと、
① 韓国海軍の現場のモラルハザードによる反日感情の勇み足
② 韓国政府の意図的な対日挑発
③ 南北瀬どりを秘匿するための緊急避難
の3つが考えられ、①の公算が一番高いのでは?と見ています。
まず、事実関係から整理してみましょう。
2 事実関係の整理
- 12月20日(木)午後3時頃、能登半島沖において、韓国海軍「クァンゲト・デワン(広開土大王)」級駆逐艦から、哨戒中の海上自衛隊のP-1(厚木)が、火器管制レーダーを照射された。防衛省は21日に公表し抗議。
- 韓国側は、当初、「遭難した北鮮漁船の捜索活動中に装備する全てのレーダーを使用、その覆域にP-1が入ったので意図的に非ず、偶然の出来事。」と説明。じ後、「火器管制レーダーは照射していない。」と訂正。
- 場所: P-1は能登半島沖の公海上、日本の排他的経済水域(EEZ)内
クァンゲト・デワンは(韓国が言うには)日韓中間水域韓国側
(海自の主張では)日本のEEZ内
3 日本側(防衛省)の見解・主張
21日に岩屋防衛大臣が公表した後、22日に以下の見解を公表。
「『韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について』
12月20日(木)午後3時頃、能登半島沖において、韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦から、海上自衛隊第4航空群所属P-1(厚木)が、火器管制レーダーを照射された旨、21日(金)、防衛省から公表を実施しました。
本件について、種々の報道がなされていますが、防衛省としては、20日(木)のレーダー照射事案の発生後、海自哨戒機の機材が収集したデータについて、慎重かつ詳細な分析を行い、当該照射が火器管制レーダーによるものと判断しています。その上で、火器管制レーダーは、攻撃実施前に攻撃目標の精密な方位・距離を測定するために使用するものであり、広範囲の捜索に適するものではなく、遭難船舶を捜索するためには、水上捜索レーダーを使用することが適当です。
加えて、火器管制レーダーの照射は、不測の事態を招きかねない危険な行為であり、仮に遭難船舶を捜索するためであっても、周囲に位置する船舶や航空機との関係において、非常に危険な行為です。なお、韓国も採択しているCUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)において、火器管制レーダーの照射は、船舶又は航空機に遭遇した場合には控えるべき動作として挙げられています。
以上の理由から、今回このような事案が発生したことは極めて遺憾であり、韓国側に再発防止を強く求めてまいります。」
いやー、防衛省の発表は非の打ちどころのない大人の対応ですね。言うべきことは明確に言い、特に韓国側の弁明に対して根拠を示して「違いますよ」と念押しし、その一方、威圧的なことは一切言わず、内外に公明正大に日本の主張をしました。こりゃ「一本!勝負あった」というところですね。
他方、韓国側の弁明のポイントは以下の通りです。
4 韓国側の弁明
- あくまで遭難した北鮮の漁船の人命救助のための捜索活動中であり、捜索目的でレーダーを使用した際、その覆域にP-1が入ったもの。
- 意図的にP-1を追尾したり照準したりしていない。そもそも火器管制レーダー照射などしていない。(他のレーダー波を海自側が火器管制レーダーだと誤解している、又は海自が意図的にそう主張している、との認識か)
- むしろ、捜索活動中にP-1が低空でクァンゲト・デワンの上空を飛行し威圧された。それを光学カメラを向けて撮影。
なぜ、当初は火器管制レーダーも使用したことを認め、「それが偶然当たっちゃったんでしょ」という苦しい弁明ながら一部正直に白状した状況だったのを、わざわざ「そもそも火器管制レーダーは使用していない」とまで前言を修正したのでしょうか?海自側は間違いなく火器管制レーダーを照射されたエビデンスを持ってますから、これは後で恥をかくだけなのに・・・。利害得失を検討した上で、韓国国防省発表として言い切りましたからね。正気の沙汰ではないです。

韓国海軍 クァンゲト・デワン
5 考えられる背景の分析
照射があったかなかったか、というのはもはや問題ではないとしか思えません。前述のとおり、海自P-1は確実に火器管制レーダーの照射を感知し、機内に警報が鳴って、回避行動をとったに間違いありません。必ずデータというエビデンス(火器管制レーダーの周波数は他のレーダーとは違うので明確)がありますから、根拠を持って証明できます。しかし、敢えて大人げなくそれを振りかざさず、冷静かつ慎重に、韓国に対して遺憾の意を示したうえで、再発防止を訴えているのですから、全くもって「大人の対応」をしています。もし、このエビデンスを示さざるを得ないところまでこじれたら公表すると思います。しかし、そこまで追い込まないのが日本の粋なところです。もしかしたら、政治的配慮でアンダーでは示しても内外への公表はしないかもしれませんが。
よって、何で火器管制レーダーを照射なんかしちゃったのか?という原因とその背景について分析したいと思います。
考えられる原因は次の3点です。
① 韓国海軍の現場のモラルハザードによる反日感情の勇み足
文政権下で軍の規律が緩み、反日感情の発露として、あくまで現場の勝手な判断で勇み足が起きたのではないか、という案です。
② 韓国政府の意図的な対日挑発
時あたかも徴用工の日本企業に対する賠償命令判決で緊張する日韓。更に地味ながら、日韓の漁業交渉も進捗せず。対日対決姿勢を政権安定施策としているため、少し危険ながら上の指示で火器管制レーダー照射が起きたのではないか、という案です。
③ 南北の瀬どりを秘匿するための緊急避難
米国と北朝鮮の交渉が行き詰まる中、実は南北が協調しており、北朝鮮には輸出できない禁制品目を南北がこの海域で漁業を装って「瀬どり」(洋上で密輸)しており、そこを哨戒するP-1に対し「瀬どり」を秘匿するため、緊急避難的に強制排除のために火器管制レーダーを使ったのではないか、という案です。
一番公算が高いと思うのは、①です。多くの方が「それはないでしょ」と思うかもしれませんが。背景として文在寅大統領がこれまで政府や軍を支えてきた親米・反北朝鮮・中国牽制路線を覆し、親北朝鮮・親中国路線への転換をしたことで、これまでの政府や軍のエリートがやる気のなくなる態勢があります。彼らはエリートから外され、使ってもらえず、果てはパージされたり逮捕されたりという状況。政府を支えてきた官僚や軍の将官が、左遷されたり辞任したり。軍の中にもモラルハザードが起きている、という話を耳にしました。軍は本来、規律厳正、上意下達(上の意志を下に達する)、直線直角の白黒ハッキリした軍律というものが精強さのバロメータです。やはり強い軍隊は規律正しい。そして、規律が緩んでいる部隊は弱い。有名な話ですが、日清戦争の頃、清国海軍のモラルが低く、英国から買った最新鋭の定遠という世界最高峰の戦艦を持っていながら、艦内では水兵が博打をしたり、洗濯物を干していたり、勝手に飯を食っていたり、果てはアヘンを吸っていたり。日清戦争の結果は欧米の下馬評を覆して日本が完勝しました。韓国は元々、旧帝国陸軍士官学校出身の中堅将校が朝鮮戦争の救国の英雄となり、韓国軍を再建したので、実は帝国陸軍仕込みの鉄の軍律を培っていました。まぁ、時代とともに現代韓国風になりました。そこまではまだ軍律が硬かった。しかし、現在の文在寅政権になってからモラルが落ちてきたようです。韓国軍人といえども韓国人としての反日感情がありますから、海自のP-1が哨戒しているのをうっとおしく思い、「この野郎、狙っちゃうぞ」と勇み足したのではないでしょうか。本来なら、火器管制レーダも上司の命令・承認がないと勝手に照射しませんから、絶対あり得ない話ですが、上司も含め勇み足したのかもしれません。本来の軍律があればあり得ない話です。しかし、そこまでのモラルハザード状態なのかもしれません。

大和堆 (12月16日の産経のツイート https://twitter.com/Sankei_news/status/1074243219821518848 より)
さらに言えば、反日感情をそそらせる背景として、「場所」があります。今回の現場は、「能登半島沖」とか日本のEEZ内とか言われていますが、実は「大和堆(ヤマトタイ)」と呼ばれる天然の漁場です。ここで日韓北鮮ともに漁をしたがります。しかし、日本のEEZなので、日本の漁船や海上保安庁が警告を発します。今回の事案の数日前にも密漁して逃げて遭難した韓国船を日本漁船が救助しています。最近は、韓国船は韓国海軍の艦船を近傍に伴ってこの漁場に来ることが続いています。北朝鮮の漁船の遭難もあったのかもしれませんが、まさに日韓の漁の戦場なので、愛国心から反日感情の発露が出る背景がここにはあると言えましょう。韓国国防省や政府は事態の原因を知り、現場を叱責しつつも、韓国側に大きな過失はなかったかのように説明し、事態の沈静化を祈っている・・・、というところではないでしょうか。
②はどうでしょうか。この案は、火器管制レーダを照射するには、上司の命令なくばあり得ず、そうならば海軍どころか政府のお墨付きなくば起きないだろう、という考えから出てくる案です。というのも、火器管制レーダとはFire Control Raderですが、「火器管制」とは陸自では「射撃統制」と呼ばれ、今回の韓国海軍クァンゲト・デワンの例で言えば対空ミサイル・シースパローの射撃をレーダー誘導で命中させるための、目標をロックオンして射撃統制・制御するためのレーダーです。どっかに遭難船があるかな?というあちこちを探す標定用レーダーではなく、目標にミサイルを当てるための指向性のある狙撃用のレーダーです。レーダーを照射するということは「狙う」という意識を持って照射する、ということです。ことの重要性は、これが係争地のウクライナ・ロシアの間で起きれば間違いなく照射された時点で攻撃されてもおかしくない話。さすがにことの重要性を深く理解していないとしか考えられません。よって、可能性はあると思いますが、韓国の政府・国家がそれを命じた、とはさすがに思えません。それくらい政権がバカだという可能性もありますが、・・・。
③はどうでしょう。金に目がくらんだ一部企業が北朝鮮に、洋上で抜け荷=「瀬どり」をするのはたまにありうると思いますが、韓国の政府・国家が、やりますかね?であったとすれば、わざわざ日本が哨戒するかもしれない大和堆でやりますか?もっと南北朝鮮の近海でやればいい話ですよね。よってこれもわざわざリスキーなこの海域でやるというのが、③の可能性を下げていると思われます。
(了)


にほんブログ村

国際政治・外交ランキング
スポンサーサイト
コメント
No title
答えが①だとすると何とも幼稚な軍隊ですね。武器を持たせて国防など任せられない。
慰安婦、徴用工、自衛艦の旭日旗問題に加えてレーダー照射とは、呆れますね。
日米側に止まる気があるのか、中国圏入りを現実として受け入れようとしているのか、もしくは現実を直視したくないのか、不可解な国、国民性を感じます。
2018-12-25 18:50 Orange Line Courthouse URL 編集
コメントありがとうございます
防衛省のコメントのように、再発防止の処置だけはしっかり取ってもらえば、もうこの辺でいいんじゃないですかね。隣国ですから、あまりメンツに拘らず水に流して、未来思考で建設的、生産的に行きたいですね。私も大人になったでしょ?
2018-12-25 19:01 fogofwar URL 編集
No title
佐藤正久外務副大臣は謝罪を求めているようですが、子供に何を言ってものレベルだとすると隣国ゆえに情けない。
私も大人になっているつもりなんですが・・・。笑
2018-12-25 19:44 Orange Line Courthouse URL 編集