fc2ブログ
2023/10/28

ガザ地上侵攻は始まっている模様

地上侵攻開始では?
10月27日夜のガザ地区攻撃についてコメントするイスラエル軍報道官(2023年10月28日付BBC記事より)

ガザ地上侵攻は始まっている模様
 日本時間2023年10月28日(現地時間-6時間)現在、地上侵攻部隊はガザ地区内に数日前から侵入しており、戦車・装甲車の直接照準射撃で攻撃を実施しています。侵攻部隊の規模がまだ大きくないことから、「地上侵攻開始」とは西側報道でも言っていませんでした。しかし、BBCのライブ報道を見るに、昨27日夜のガザ北部に対する集中的な空爆と地上侵攻の拡大の状況がかなり烈度がケタ違いに強まった状況であり、これは宣言なき「地上侵攻開始」ではないかと推察します。
(参照: 2023年10月28日付BBC「LIVE: Israel says ground operations expanding as it intensifies Gaza bombing」、ほか)

現在のガザ地区の状況
 日本時間28日9時の段階のBBCのライブ報道によれば、ガザ地区は次のような状況です。
・ イスラエル軍は、ガザ地区に侵攻した地上部隊によりハマス掃討作戦を拡大している模様
・ イスラエル軍は、27日夜ガザ地区北部で集中的な空爆を実施した
・ 死傷者はハマス側の発表で、イスラエルの報復攻撃開始以来7000名に及ぶ
・ ハマス側は、ガザ地区北部で侵入したイスラエル軍地上部隊と衝突中と発表
・ イスラエル軍報道官は、ガザ地区の住民に対し、身の安全のため南部に避難を勧告した
・ 27日夜の段階でガザ地区の通信網がダウンし、ガザ地区の住民は電話連絡が取れない状況
・ 国連総会はヨルダンが提出した即時の人道的停戦靴議案に120カ国が賛成

国際的な四面楚歌
 イスラエルにしてみればいつものことですが、現在イスラエルは四面楚歌的な国際世論に晒されています。
 国連における「停戦」の勧告をめぐる親パレスチナ派と親イスラエル派に分かれた喧々諤々の協議、世界各国のイスラエルのガザ攻撃に対する抗議デモの高まり、等々、国際世論の潮流としては、キッカケのハマスのイスラエル攻撃は確かにハマスが指弾されましたが、以降のイスラエルの苛烈かつ圧倒的な空爆を主体としたガザ地区に対する空爆やインフラの遮断など、ガザのパレスチナ市民の置かれた惨状をメディアを通じて見聞し、イスラエルの強行かつ一方的な軍事行動に対して批判が集中しています。盟友米国政府でさえ、米国内でのイスラエルのガザ攻撃に対する抗議の声の高まりや与党民主党内でも政府に対する異論が出てきており、さすがにイスラエルをかばいつつもイスラエルに自制を促している状況です。

我が道を行くイスラエル
 そんな中での、イスラエルのガザ地上侵攻のエスカレーションですが、・・・
 イスラエルという国の特殊性ですが、四面楚歌なにするものぞと一切耳を貸さずに我が道を行きます。イスラエルのネタニヤフ首相の腹は、今回のハマスのイスラエルに対する攻撃を受け、「ハマスの根絶」を決心していますから、国際世論の四面楚歌なんぞ眼中になく、盟友米国からの自制促しすら無視し、時間稼ぎされないうちにハマスの徹底的な弱体化をするつもり、と推察します。
 イスラエルにとって最大の課題は「人質」問題です。ハマスは200名を超える多国籍の人質をガザ地区内に拘束しています。勿論、イスラエルはガザ地区にスパイも入っているはずですし、人質救出作戦ないし地上侵攻のエスカレーションや空爆の苛烈化の際も、人質に被害が及ばないように攻撃目標の精選をしているはずです。
 しかし、不可避的に巻き添えで死傷していることでしょう。例えば、まさに本日28日朝付のイスラエル側の発表で、ガザ地区内のシス?という大病院にハマスが多数入り込んでいるのを確認するや、空爆しています。当然、病院に所在した民間人の被害も出るわけですが、イスラエルには民間人の死傷者は「仕方のない2次的被害」として考慮しません。人質がそこにいても全くおかしくはないわけです。


不条理、人道配慮の軽視、民間人の死傷、
ハマスもイスラエルも両方ともどうかしていますが、・・・
これが国際情勢、国際紛争の悲しい現実です。

(了)

にほんブログ村 政治ブログ 国際政治・外交へ
にほんブログ村

国際政治・外交ランキング

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント