ガザ紛争: シファ病院に注目集まる中、ガザ北部に概ね包囲環。ハマス等武装勢力は弱体化か
イスラエル軍が迫るシファ病院の混乱と惨状が世界の注目集める
今、メディアの報道の焦点は、ガザ地区最大の病院、アル・シファ病院の状況です。ハマス等武装勢力の掃討作戦を続けるイスラエル軍は、シファ病院の周辺まで進出し、イスラエル当局は、「シファ病院に対する攻撃はしていない、その周辺ではハマス等武装勢力との交戦が起きている」という説明をしています。他方で、医療関係者や患者などに退避を勧告しています。メディアの報道では、次々と運び込まれるガザのパレスチナ住民の傷病者があふれかえる病院の混乱と惨状が映像を通じて世界へ伝えられています。
シファ病院に係る今後の展望として、私見ながら、イスラエル軍は「この病院の地下にハマスの司令部ないし重要拠点がある」との確信を持っており、シファ病院の医療関係者・患者に避難をさせつつ、間もなく病院内部に対する慎重な掃討作戦を開始するでしょう。そして、それはその過程でパレスチナ住民の更なる死傷者を大勢出し、更なる国際的な厳しい非難を浴びるでしょう。しかし、イスラエルは国際的な非難に屈せず、病院の掃討戦を続け、病院の地下に所在するであろうハマスの重要拠点を見つけ、それを報道公開することで、病院に対する掃討作戦の正当性をPRするでしょう。PRしたとしても、犠牲になったパレスチナ住民への何の贖罪にもなりません。しかし、自らの対ハマス等武装勢力掃討の正当性を主張し、その「正義」を国際的非難に対する盾に、引き続きガザ北部の掃討作戦を遂行するでしょう。それがイスラエルという国なのです。
ガザの掃討作戦の状況
前述のアル・シファ病院の状況は、イスラエルのガザ北部掃討作戦の先端の局所に過ぎません。
ガザ北部におけるイスラエルの掃討作戦の状況は、下のポンチ絵をご覧ください。米国の研究機関「戦争研究所(ISW)」の2023年11月10日付(日本時間11日)ISW記事「Iran Update」を参照し、同記事に掲載された状況図に筆者の私見も含めて加筆・描画しました。上の方がガザ北部における掃討作戦の状況、下の方がイスラエル周辺を含めた全般状況です。
ガザ北部の掃討作戦の状況は、下のポンチ絵の上の方にあるように、ガザ地区中央を横断するワジ・ガザ(ガザ渓谷)の線でガザ地区南北を切り、その北部を中心として掃討作戦が実施されています。これは、ガザ地区北部にハマスの拠点が集中していたため、まず北部の掃討作戦をイスラエルが優先したことによります。イスラエル軍の作戦は、下の図の薄い青色と灰色っぽいくすんだ青色の地域が既に掃討した地域です。これを基に、私見ですが、イスラエル軍の掃討作戦の腹を読むと、まずワジ・ガザの線に沿って部隊を投入しガザ南北を分断、北部を分断・孤立化するとともに、北部の北端にも部隊を投入し、北からと南からの挟み撃ち的にガザ北部の中枢たるガザ市街地を挟み、じ後、絵が示すように、海岸沿いに走る海岸道に沿いに、北から及び南から、包囲環を閉じようと企図している模様です。この際、ガザ地区北部中央のガザ市街地(下の図では赤点線)とガザ地区北部の東側の農耕地区(下の図では青点線)を囲むように、西側の海岸道沿いに間もなく包囲環が閉じ/結ばれる状況です。ガザ市街地の包囲環が形成されると、じ後は逐次に包囲の輪を圧縮していき、最終的に完全に掃討した地域にすることになるでしょう。とはいえ、この掃討したはずの地域には、まだ残留住民がいます。その中に紛れてハマスの残党もいます。さらに、ガザ地区に張りめぐらした地下トンネル網を使って、ハマス等武装勢力が神出鬼没的に出て来てはイスラエル軍を攻撃します。イスラエル軍は、一旦地上を掃討したはずの地域でも、後から地下から武装勢力が出てくることがあることを十分に留意して、地下トンネルの出口を捜索し、見つけたらトンネル内を捜索し、残敵がいれば倒し、執拗かつ徹底的にモグラ叩きとモグラの巣と抜け道潰しをしています。この掃討作戦は、一旦包囲環が形成され、その包囲の輪を縮めて、ガザ北部全地域が「掃討されたはずの地域」になったとしても、相当な時間を要してモグラ叩きとモグラの巣と抜け道潰しを続ける必要があります。だから、たまにネタニヤフが「10年かかる」という言い方をするわけです。

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ガザ地区、イスラエル周辺含め全般状況を眺めての趨勢: ハマス等武装勢力は弱体・沈静化か
私見ながら、・・・
ともあれ、開戦以来のガザ地区北部の掃討作戦の進行状況とハマス等武装勢力との交戦状況を眺めていると、逐次にハマス等武装勢力の抵抗の質も量も低下していることが分かります。開戦当初、ガザ地区から数百のロケット攻撃がイスラエル市街地に落ちてきましたが、ここ最近では数えるほどまで減りました。現在ガザ北部で起きている交戦も、モグラ的に出てきたハマス等武装勢力がイスラエル戦車や車両・兵士に対して単発的な攻撃をする程度で、質も量もガックリ減っています。組織的な軍事行動による「軍事衝突」ではなく、単発的なテロ攻撃的な「抵抗」という感じでしょうか。ということは、ガザ北部に所在していたハマス等武装勢力の戦力は相当に弱体化したと言えましょう。
とは言え、ハマス等武装勢力の多くは、住民に紛れてガザ地区南部に逃れたり、更にガザ地区南部からエジプトへ地下トンネルで逃れたり、まだ一定以上の戦力は残存しているはずです。それ以上に、今回のイスラエル・ガザ紛争を鳥瞰すれば、イスラエル周辺国を含めて、イランに支援された反イスラエルの武装勢力はもっと活発化していいはずなのですが、これまた下の方の図の全般状況を見ても分かるように、周辺の状況もさほど活発にはなっていません。
一方で、イランはイスラエルと関係改善しつつあったトルコを、この機会に親パレスチナ・反イスラエルにシフトさせようと、様々な画策をしています。いつものイランなら、もっと好戦的かつ過激なんですが、実はイラン国内で政府の厳しい宗教的規律、特にスカーフをしなかった女子学生が官憲に拘束され死亡した事件に端を発した女性の人権弾圧をめぐる反政府デモが社会問題化し、今回のガザ紛争に関しても、イラン政府の反イスラエル政策に対し、イスラエルとの紛争に巻き込まれるのを懸念する動きが起きています。特に、前大統領ロウハニ氏ら穏健政治指導者が現政権の対イスラエル政策に反旗を翻しています。イランも母屋に火の手が上がるかもしれない状況になっています。
私見ながら、この状況から察するに、イスラエルのガザ地区北部での掃討作戦が順調で、対してガザ地区のハマス等武装勢力が相当弱体化し、「この流れは変わらないな、分が悪いな」と先読みした外郭の武装勢力や周辺国は手をこまねいている状況、と推察します。これが現在の趨勢ではないでしょうか。
今後の展望: 軍事的な紛争拡大ではなく親パレスチナ・反イスラエル・反米の国際世論が焦点に
とすると、今後の展望としては、対イスラエル武装勢力による武装闘争/紛争の拡大、という方向ではないと推察します。
今後の展望として考えられるのは、ハマス等武装勢力や背後にいるイランの思惑として、軍事的な紛争拡大での闘争ではなく、シファ病院のような人道的な危機をマキシマイズして国際的世論を親パレスチナ、反イスラエル・(それを支援する)反米国に導く展開にシフトすると推察します。そう思いませんか?米国は勿論、国内にアラブ人を多く抱える西欧諸国にとって、国内での親パレスチナ・反イスラエル・反米のデモは非常に痛い。これを鎮圧すると政権が悪者になる。軍事的紛争拡大よりもコストがかからず、かつ、効果絶大な方策ですよね。特に、イスラエルにとって最大の支援国米国は、これから大統領選挙という機微なシーズンを迎えます。まさにシファ病院のような人道的危機状態をテコに国際世論を味方に引き付け、世界各国で起こる親パレスチナ・反イスラエル・反米のデモなどと連帯し、物理的打撃以上の大打撃を米国政権に与えます。米国は国際世論(米国世論)に一定の迎合をせざるをえないでしょう。すなわち、イスラエルに対してかなりの強制力を発揮してガザ侵攻に干渉するでしょう。
そういった一連の米国バイデン政権への打撃・政権弱体化こそ、背後にいるイラン、いやいや更に背後にいるロシアの思うつぼです。 ウクライナ侵攻の苦戦で苦境に立つロシアにとって、米国はじめ西側諸国のウクライナ支援をミニマイズすることが最大の得点です。今まさに、その方向性が見えてきてしまいました。
知より情(血): イスラエルの「やむにやまれぬ大和魂」的な心情
いわゆる冷静かつ客観的な合理的思考や判断からすれば、イスラエルは他にやり方があるはずなのに、まさに「かくすればかくなるものと知りながら、やむにやまれぬ大和魂」(吉田松陰)の歌の文句のような心情がイスラエルなのです。(まぁ、これはパレスチナにも言えることですが、)「知」より「情」、いや「知」よりも「血」、なのかもしれません。他にもっと利口なやり方があったとしても、そんなことは代案にもならず、一路奔走するのがイスラエルとパレスチナの戦いなのです。
頼みの綱は国際的調停、PKOによる兵力引き離し・停戦監視・平和維持ではないか
とはいえ、他人事として諦めず、国際社会としては何とか事態を収めなければいけません。ここはPKOでしょうね。国連PKOで多国籍の部隊を配置し、国際的な兵力引き離し・停戦監視下での平和維持を図り、そのもとで西岸地区も含めたパレスチナの正規の国家建設という前向きな方向で復興させることが何よりではないかと存じます。それがイスラエルや米国の賛成を中々得られないことは百も承知ですが、ここまでの世界史を経た人間の知恵というものではないでしょうか。
(了)


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今、メディアの報道の焦点は、ガザ地区最大の病院、アル・シファ病院の状況です。ハマス等武装勢力の掃討作戦を続けるイスラエル軍は、シファ病院の周辺まで進出し、イスラエル当局は、「シファ病院に対する攻撃はしていない、その周辺ではハマス等武装勢力との交戦が起きている」という説明をしています。他方で、医療関係者や患者などに退避を勧告しています。メディアの報道では、次々と運び込まれるガザのパレスチナ住民の傷病者があふれかえる病院の混乱と惨状が映像を通じて世界へ伝えられています。
シファ病院に係る今後の展望として、私見ながら、イスラエル軍は「この病院の地下にハマスの司令部ないし重要拠点がある」との確信を持っており、シファ病院の医療関係者・患者に避難をさせつつ、間もなく病院内部に対する慎重な掃討作戦を開始するでしょう。そして、それはその過程でパレスチナ住民の更なる死傷者を大勢出し、更なる国際的な厳しい非難を浴びるでしょう。しかし、イスラエルは国際的な非難に屈せず、病院の掃討戦を続け、病院の地下に所在するであろうハマスの重要拠点を見つけ、それを報道公開することで、病院に対する掃討作戦の正当性をPRするでしょう。PRしたとしても、犠牲になったパレスチナ住民への何の贖罪にもなりません。しかし、自らの対ハマス等武装勢力掃討の正当性を主張し、その「正義」を国際的非難に対する盾に、引き続きガザ北部の掃討作戦を遂行するでしょう。それがイスラエルという国なのです。
ガザの掃討作戦の状況
前述のアル・シファ病院の状況は、イスラエルのガザ北部掃討作戦の先端の局所に過ぎません。
ガザ北部におけるイスラエルの掃討作戦の状況は、下のポンチ絵をご覧ください。米国の研究機関「戦争研究所(ISW)」の2023年11月10日付(日本時間11日)ISW記事「Iran Update」を参照し、同記事に掲載された状況図に筆者の私見も含めて加筆・描画しました。上の方がガザ北部における掃討作戦の状況、下の方がイスラエル周辺を含めた全般状況です。
ガザ北部の掃討作戦の状況は、下のポンチ絵の上の方にあるように、ガザ地区中央を横断するワジ・ガザ(ガザ渓谷)の線でガザ地区南北を切り、その北部を中心として掃討作戦が実施されています。これは、ガザ地区北部にハマスの拠点が集中していたため、まず北部の掃討作戦をイスラエルが優先したことによります。イスラエル軍の作戦は、下の図の薄い青色と灰色っぽいくすんだ青色の地域が既に掃討した地域です。これを基に、私見ですが、イスラエル軍の掃討作戦の腹を読むと、まずワジ・ガザの線に沿って部隊を投入しガザ南北を分断、北部を分断・孤立化するとともに、北部の北端にも部隊を投入し、北からと南からの挟み撃ち的にガザ北部の中枢たるガザ市街地を挟み、じ後、絵が示すように、海岸沿いに走る海岸道に沿いに、北から及び南から、包囲環を閉じようと企図している模様です。この際、ガザ地区北部中央のガザ市街地(下の図では赤点線)とガザ地区北部の東側の農耕地区(下の図では青点線)を囲むように、西側の海岸道沿いに間もなく包囲環が閉じ/結ばれる状況です。ガザ市街地の包囲環が形成されると、じ後は逐次に包囲の輪を圧縮していき、最終的に完全に掃討した地域にすることになるでしょう。とはいえ、この掃討したはずの地域には、まだ残留住民がいます。その中に紛れてハマスの残党もいます。さらに、ガザ地区に張りめぐらした地下トンネル網を使って、ハマス等武装勢力が神出鬼没的に出て来てはイスラエル軍を攻撃します。イスラエル軍は、一旦地上を掃討したはずの地域でも、後から地下から武装勢力が出てくることがあることを十分に留意して、地下トンネルの出口を捜索し、見つけたらトンネル内を捜索し、残敵がいれば倒し、執拗かつ徹底的にモグラ叩きとモグラの巣と抜け道潰しをしています。この掃討作戦は、一旦包囲環が形成され、その包囲の輪を縮めて、ガザ北部全地域が「掃討されたはずの地域」になったとしても、相当な時間を要してモグラ叩きとモグラの巣と抜け道潰しを続ける必要があります。だから、たまにネタニヤフが「10年かかる」という言い方をするわけです。

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ガザ地区、イスラエル周辺含め全般状況を眺めての趨勢: ハマス等武装勢力は弱体・沈静化か
私見ながら、・・・
ともあれ、開戦以来のガザ地区北部の掃討作戦の進行状況とハマス等武装勢力との交戦状況を眺めていると、逐次にハマス等武装勢力の抵抗の質も量も低下していることが分かります。開戦当初、ガザ地区から数百のロケット攻撃がイスラエル市街地に落ちてきましたが、ここ最近では数えるほどまで減りました。現在ガザ北部で起きている交戦も、モグラ的に出てきたハマス等武装勢力がイスラエル戦車や車両・兵士に対して単発的な攻撃をする程度で、質も量もガックリ減っています。組織的な軍事行動による「軍事衝突」ではなく、単発的なテロ攻撃的な「抵抗」という感じでしょうか。ということは、ガザ北部に所在していたハマス等武装勢力の戦力は相当に弱体化したと言えましょう。
とは言え、ハマス等武装勢力の多くは、住民に紛れてガザ地区南部に逃れたり、更にガザ地区南部からエジプトへ地下トンネルで逃れたり、まだ一定以上の戦力は残存しているはずです。それ以上に、今回のイスラエル・ガザ紛争を鳥瞰すれば、イスラエル周辺国を含めて、イランに支援された反イスラエルの武装勢力はもっと活発化していいはずなのですが、これまた下の方の図の全般状況を見ても分かるように、周辺の状況もさほど活発にはなっていません。
一方で、イランはイスラエルと関係改善しつつあったトルコを、この機会に親パレスチナ・反イスラエルにシフトさせようと、様々な画策をしています。いつものイランなら、もっと好戦的かつ過激なんですが、実はイラン国内で政府の厳しい宗教的規律、特にスカーフをしなかった女子学生が官憲に拘束され死亡した事件に端を発した女性の人権弾圧をめぐる反政府デモが社会問題化し、今回のガザ紛争に関しても、イラン政府の反イスラエル政策に対し、イスラエルとの紛争に巻き込まれるのを懸念する動きが起きています。特に、前大統領ロウハニ氏ら穏健政治指導者が現政権の対イスラエル政策に反旗を翻しています。イランも母屋に火の手が上がるかもしれない状況になっています。
私見ながら、この状況から察するに、イスラエルのガザ地区北部での掃討作戦が順調で、対してガザ地区のハマス等武装勢力が相当弱体化し、「この流れは変わらないな、分が悪いな」と先読みした外郭の武装勢力や周辺国は手をこまねいている状況、と推察します。これが現在の趨勢ではないでしょうか。
今後の展望: 軍事的な紛争拡大ではなく親パレスチナ・反イスラエル・反米の国際世論が焦点に
とすると、今後の展望としては、対イスラエル武装勢力による武装闘争/紛争の拡大、という方向ではないと推察します。
今後の展望として考えられるのは、ハマス等武装勢力や背後にいるイランの思惑として、軍事的な紛争拡大での闘争ではなく、シファ病院のような人道的な危機をマキシマイズして国際的世論を親パレスチナ、反イスラエル・(それを支援する)反米国に導く展開にシフトすると推察します。そう思いませんか?米国は勿論、国内にアラブ人を多く抱える西欧諸国にとって、国内での親パレスチナ・反イスラエル・反米のデモは非常に痛い。これを鎮圧すると政権が悪者になる。軍事的紛争拡大よりもコストがかからず、かつ、効果絶大な方策ですよね。特に、イスラエルにとって最大の支援国米国は、これから大統領選挙という機微なシーズンを迎えます。まさにシファ病院のような人道的危機状態をテコに国際世論を味方に引き付け、世界各国で起こる親パレスチナ・反イスラエル・反米のデモなどと連帯し、物理的打撃以上の大打撃を米国政権に与えます。米国は国際世論(米国世論)に一定の迎合をせざるをえないでしょう。すなわち、イスラエルに対してかなりの強制力を発揮してガザ侵攻に干渉するでしょう。
そういった一連の米国バイデン政権への打撃・政権弱体化こそ、背後にいるイラン、いやいや更に背後にいるロシアの思うつぼです。 ウクライナ侵攻の苦戦で苦境に立つロシアにとって、米国はじめ西側諸国のウクライナ支援をミニマイズすることが最大の得点です。今まさに、その方向性が見えてきてしまいました。
知より情(血): イスラエルの「やむにやまれぬ大和魂」的な心情
いわゆる冷静かつ客観的な合理的思考や判断からすれば、イスラエルは他にやり方があるはずなのに、まさに「かくすればかくなるものと知りながら、やむにやまれぬ大和魂」(吉田松陰)の歌の文句のような心情がイスラエルなのです。(まぁ、これはパレスチナにも言えることですが、)「知」より「情」、いや「知」よりも「血」、なのかもしれません。他にもっと利口なやり方があったとしても、そんなことは代案にもならず、一路奔走するのがイスラエルとパレスチナの戦いなのです。
頼みの綱は国際的調停、PKOによる兵力引き離し・停戦監視・平和維持ではないか
とはいえ、他人事として諦めず、国際社会としては何とか事態を収めなければいけません。ここはPKOでしょうね。国連PKOで多国籍の部隊を配置し、国際的な兵力引き離し・停戦監視下での平和維持を図り、そのもとで西岸地区も含めたパレスチナの正規の国家建設という前向きな方向で復興させることが何よりではないかと存じます。それがイスラエルや米国の賛成を中々得られないことは百も承知ですが、ここまでの世界史を経た人間の知恵というものではないでしょうか。
(了)


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