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2019/05/29

トランプ国賓訪日で対中牽制

トランプ国賓訪日で対中牽制

 トランプ訪日の記事は日本の各社とも詳細に報道がありました。ほぼ同様な内容ながら、VOAの記事から米国側の見方をご紹介します。
 VOA5月28日付記事「US, Japan Leaders Emphasize Enhanced Military Cooperation」の概要は以下の通りです。
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U.S. President Donald Trump, with Japan's Prime Minister Shinzo Abe, is seen as he leaves the Japanese destroyer JS Kaga, after a tour in Yokosuka, south of Tokyo, Japan, May 28, 2019.
 

<ポイント>
① トランプ米大統領の国賓としての4日間の訪日のクライマックスとして、安倍首相は、米国から導入するF-35を搭載予定で事実上の空母となる護衛艦かがの艦上でトランプ大統領を迎えた。そこでトランプ大統領は、中国の台頭に直面する中での日米間の軍事協力強化を強調した。日米両首脳とも、「中国」と言明していないが中国を念頭に置いているのは明白。

② 日本は、戦後米国に安全保障を依存してきており、元来対日強硬派と見られていたトランプ大統領の対日政策の硬化を懸念していた。しかし、着任以来、トランプ大統領の対日強硬路線は鳴りを潜めており、当面の懸案である日米間の貿易をめぐる交渉も、日本の今夏の選挙戦の後に先延ばしを示唆し、安倍首相への気遣いを見せた。在日米軍の駐留経費問題についても今や理解を示し、艦上スピーチの中で日本のホストネーションサポートに満足の意を示した。

③ 本訪日では、北朝鮮やイランなどの問題も両首脳間で意見交換がなされたものの、具体的な施策の合意等の外交的成果はなく、日米間の貿易をめぐる交渉の進展もなし。

<寸評>
◯ 今回のトランプさんの訪日は、トランプさんにとって数少ない気心の知れた海外のカウンターパート安倍さんに、国賓としてホストしてもらい、タフでヤボな外交交渉なしに、居心地よく過ごした外遊だったのでしょう。唯一の実質的意義は、中国に日米の一心同体ぶりを見せつけ、「東シナ海や南シナ海における中国の覇権に対抗し、日米は一体となって航行の自由を確保するつもりだぞ」、と意思表示したことでしょうか。令和天皇の祝賀を中心とした日程の中で、唯一世界の耳目を引いたのは、海自護衛艦「かが」艦上での日米海軍将兵への両首脳共同のスピーチです。これを見た中国や北朝鮮の首脳陣は、あきれながらも、日米同盟の強い絆、特に米最新鋭戦闘機を搭載する空母を持つことになる日米海(空)軍のinter-operability (相互運用性)の本格度にビビったのではないでしょうか。

◯ と言うのも、日本国内であまり報道されず注目も集めなかった話ですが、今年の5月に実施した南シナ海での多国籍演習に日米仏豪比などの海軍が参加し、中国メディアをはじめ南シナ海周辺各国の関心を大いに集めたようです。(ちなみに、海自は「インド太平洋方面派遣訓練」という人畜無害なネーミングでごまかしましたが、米海軍はExercise Freedom of Navigation とストレートに表現していました。) 中国のメディアながら自主性を保つ香港の英字新聞South China Morning Postの5月15日付記事「US naval chief says 'freedom of navigation' exercises in South China Sea get more attention than they deserve」に割と中立的な、中国政府から見れば「非国民」な報道がなされています。要するに演習が予期せぬ関心を寄せられている、といった内容です。興味のある方は是非ご覧ください。ビデオクリップが非常に分かり易く、南シナ海問題を説明しています。(https://www.scmp.com/news/china/diplomacy/article/3010316/us-naval-chief-says-freedom-navigation-exercises-south-china)

  また、VOAの5月22日付記事「US aside, China fears mostly Japan’s influence in disputed sea」にも米国の視点で書かれています。曰く、南シナ海でのこの「航行の自由」演習で日米が密接にタイアップしている姿、日本が南シナ海周辺国に支援を供し、南シナ海に対中的な影響力を持ちつつあることに対し、中国が恐怖感を抱きつつある、とのこと。

  中国では米国との関税をめぐる戦いの最中ですから、中国にとっては我が庭先と思っている南シナ海でこの地に領地のないはずの日米豪仏などが「航行の自由」演習と称して我が物顔で砲艦外交をし、いたずらに緊張を高めていると映った模様です。そんなくらいですから、今回のトランプ大統領の訪日、特に「かが」艦上での日米共同スピーチは脅威に映ったことでしょうね。そして、中国同様にこのシーンを脅威感を持ってみたのはロシア。「あー、やっぱり安倍はトランプとべったりじゃないか」というプーチンのため息が聞こえてきそうですね。また、韓国の文大統領も恨めしそうこのシーンを見ていたでしょうね。
  いやー、たまにはいいじゃないですか。いつも日本はやられっぱなしですから、たまにはこういうのも痛快ですね。日本としてもトランプさんをうまく使わせてもらいましょうや。

(了)


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