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2019/07/15

米国の有志国連合案の反響は?

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  緊迫するホルムズ海峡の続報として、米国の提唱する多国籍海軍部隊による海域の安全確保策について、VOA記事2019年7月12日付「US Builds Global Coalition to Protect Gulf Shipping」が報じていますので、ポイントをご紹介します。

<ポイント>
① 米国政府は、多国籍軍の連合作戦により、イラン-イエメンの周辺海域のペルシャ湾を出入する商船航路を安全確保する計画を発表した。この海域では先月(2019年6月)にタンカーが攻撃を受け、米軍の無人機が撃墜され、最近では英国籍タンカーがイラン革命防衛隊から進路を妨害される等の事案が続いている。この状況が続くと、原油その他の貿易、ひいては世界の経済への影響が懸念されるため、貿易関係者や専門家らはこの米国の提案を歓迎している。

② 世界最大の海運組織であるBIMCO(バルチック国際海運協議会)の警備担当者ヤコブ・ラーセン氏は、世界の貿易関係者がこの海域の情勢に多大な関心を持って注視していると述べ、期待感を隠さない。同氏によれば、ホルムズ海峡はペルシャ湾のチョークポイントであり、ここでの商船航行の深刻な脅威は、船主達は商船航行を控え、原油価格を上げ、世界全体の貿易も低調になり世界経済全体に悪影響を及ぼすと懸念する。「この状況を何ら有効な対応をせずに座視していては、必ずや商船攻撃事案がまた再発し、同じことの繰り返しとなろう。積極的な海域の安全確保対策が必要である。」と主張。

③ ロンドンに拠点のあるリスクマネジメントコンサル会社ラッセルグループのスキ・バシ氏も米国の提案を歓迎。同氏によれば、「ホルムズ海峡を通過する貿易は、原油やガスなどを主に年間5240億ドルもの規模であり、サウジに至っては日額で35億ドルもの損益を被り、アジア諸国にも悪影響を及ぼしている。ホルムズ海峡は非常に狭隘で二航路しか取れないほど。商船は、イランの海岸線のすぐそばを横っ腹を見せながら通過しなければならない緊張にさらされている。」とのこと。

④ 更にバシ氏はこの海域への海軍部隊派遣に次のような期待を語る。「多国籍軍部隊がこの海域を警戒監視することにより、海域の全般状況を常時把握でき、もし不審な行動があれば現場に急行する等の対応も担保でき、また、不審な行動を追跡調査・確認記録もできることから、攻撃事案を阻止し更に未然に抑止できるであろう。」

<私見ながら>
◯ 米国の「ホルムズ海峡有志連合案」に、海運関係者や貿易や経済の専門家が期待感をもって熱視線を送るのは十分理解できる話ですね。そりゃあ、海運関係者は何でもいいから商船の安全航行を担保してもらえるのだったら歓迎するでしょう。しかし、提案された各国の反応は聞こえて来ませんね。

◯ 米国から有志国連合の提案を受けた各国にとっては、「米国主導」であることがネックでしょうね。米国主導であることで対イラン色が付いてますから、イランから見れば対イラン海軍同盟軍ですよ。海域の警戒監視のはずが、気がついたら米国の対イラン戦争に巻き込まれる?どころか戦争に参戦している形になりますから。
  各国からすれば、ホルムズ海峡航行の安全確保には協力したいけれど、米国主導じゃあ・・・、という懸念で二の足を踏んでいると思います。

◯ ゆえに、米国抜きの海賊対処方式が得策なのだと私は思うのです。我田引水ですみませんが。ソマリア沖アデン湾の海賊対処は各国ごとの枠組みで情報共有によって密接に協力する形の多国籍軍だって、皆さん知ってます?日本やEU海軍部隊らと協議して設定した枠組みなんですよ。日本の法的制約から、初動は「海上警備行動」の枠組みで日本関係商船のみを直接護衛する形で始めました。じ後、海賊対処法を成立させて満を持して 米軍やEU海軍部隊と手を携えて海域を守った実績があるのです。ちなみに後から中国海軍も海賊対処に加わりましたし、その後日本も米軍のCTF151という海賊対処の枠組みに参加しました。自国独自のやり方でもOKで、相互に情報を共有して協力した実績があります。
  「米抜き」を日本が提唱することで、トランプの逆鱗に触れることを懸念する向きがあろうと思います。既にあの海域で米軍は米軍の作戦を展開しているのだから(あまり詳述できませんがCTF150代の各種作戦を現に遂行中)、むしろ米軍抜きでないと中立が保てません。イランの無用の警戒を煽ることなく、むしろ一定の信用を得て海域の緊張を下げるには米軍抜きの有志連合しかない、これは道理論です。

  安倍さんには、是非トランプとハメネイ師と別々に話してもらい、まず海域の商船の安全確保を担保する枠組みを取り持ってもらいたいものです。是非、市ケ谷の官僚・制服組諸兄の奮闘を期待いたします。
(了)


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