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2019/08/01

ホルムズ商船護衛の行方は?政府は腹を決めよ!

  8月1日(木)現在の状況: 米国は3回にわたり米国主導の有志連合を各国に提案するも諸国の反応は鈍感。これに対し、韓国はいち早く参加表明の意向。他方、英国は米国の提案とは直接関係しない自国枠組みの自国籍商船の護衛を開始。
  さて日本は? 8月1日現在の状況について整理しました。
  (8/1付NHK newsweb 「ホルムズ海峡「有志連合」 米軍 会合で参加呼びかけ」及びVOA2019年7月31日「Germany Refuses to Join US Naval Mission in Strait of Hormuz」、及び8月1日付「Iran Responds to US Sanctions on Foreign Minister」を参照。)
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日本に参加を呼びかけるポンペイオ米国務長官(テレビ東京 7月26日 より)

<ポイント>
① 2019年7月31日、米国はバハレーンにて第3回目の関係諸国に対する有志連合の説明会を実施。しかし、今の所、米国主導の有志連合に参加を表明しているのは韓国のみの模様。ポンペイオ米国務長官も「有志連合の形成には時間がかかる」旨、保険をかけ始めた様子。

② 韓国以外の各国の対応は、一様に米国主導の有志連合への参加に踏み切れない状況。インドや英国は米国枠組みに入らずに自国籍商船の護衛のため自国海軍艦艇を派遣、仏独も米国枠組みには参加表明せず慎重姿勢を維持し、未だ外交努力の余地ありとの方向性。 (独は米国の直接の参加呼びかけに対し、7月31日にヘイコ・マース独外相が「米国主導の枠組みでの海上作戦にはドイツは参加しない。」と議会にて明確に不参加を表明。)

<私見ながら>
◯ 原油の87%を中東に依存している日本にとって死活的国益ですよ!
  皆さん、ご自覚を。これって危機的状況ですよ。大昔の石油危機の頃に中東からの石油へのエネルギー依存度(一次エネルギー供給)が75%だったことを教訓に、70年代よりは改善し現在では約40%になりました。しかし、東日本大震災前に原子力をベース電源とする体制に慣れたため、福島第一原発の事故で根底から崩れてしまい、今や再び石油の重要度が増しています。今でも87%を中東からの石油に依存しているのです。エネルギー源は多角的に保持しているものの、原子力に依存できなくなった今となっては、結局は石油が主力なのです。石油供給源も多角的に確保してはいますが、結局は長期安定的?な供給源はペルシャ湾でした。石油ショックの教訓から、備蓄も確保しているので今日明日の緊迫感が体感していませんが、危機的状況はもうすぐそこですよ。イランが、米国のホルムズ海峡での軍事行動等に業を煮やして、ある日ホルムズ海峡封鎖を宣言!そうなったら一夜にして第2の石油危機、エネルギー危機になります。勿論米国は軍事作戦を開始、戦争になるかもしれません。米国主導の怖さの一端でもあります。

◯ 米国主導の有志連合は各国同様避けるべし
  各国が米国枠組みに参加することを避けているのは、間違いなく有力な産油国であり、かつ、有力な原油輸入元ペルシャ湾のチョークポイントを握るイランとの関係維持を慮っているのです。しかも今回の危機は、そもそも米国が作り出した危機だということは周知の事実。さすがに米国が「この指とまれ!」と天高らかに指を差し出しても、どの国も止まれませんよ。おっと、韓国が参加するって話でしたね。
  まぁ、韓国は北朝鮮問題や日本との経済摩擦を米国に何とかとりなしてもらいたいので、米国に尻尾を振りたいのでしょうから、それはご自由に。

◯ 英国は自国の商船護衛を開始!日本も後に続け!
  なぜかあまり日本のマスコミは報道しませんが、インドも英国も自国の商船護衛を始めていますよ。米国は「ペルシャ湾の商船護衛って誰が守るんだ?」と問いかけてきます。=「おい、何でペルシャ湾にエネルギー依存していない米国が孤軍奮闘してるんだ?お前ら参加しろよ!参加しねえなら資金援助しろよ!」です。いい加減ほっかむり出来ません。だからといって米国枠組みに参加するのはイランを慮って無理。いい加減、黙ってないで、英国のように国家として毅然たる態度で自国の死活的国益を守りましょう。法的整理は当然必要です。政治家と官僚は脳漿を絞って枠組みを作り、可及的速やかに対応すべきです。海賊対処の時を思い出していただきたい。何の根拠もないところから、当初は海上警備行動、じ後新法を作ってシームレスに対応して、自国籍商船を守ったじゃありませんか?
  日本が取るべき方策は、英国提唱の欧州海軍部隊による商船護衛作戦への参加です。当面は、各国独自の枠組みで自国商船を護衛し、英国提唱の欧州海軍部隊が機能し始めたら、英国版のcoalitionで商船航行全体を護衛する。イランは手を出さない。米国は、米国提唱の有志連合に日本含め同盟国が参加しないことには不満でしょうね。しかし、懸案となっている「ホルムズ海峡周辺海域の商戦の航行の安全確保」という同じ目的は達成できます。この作戦には米国の協力も必要なので、米国の作戦と協調関係を持ち、警戒監視情報の情報共有を図ることは可能なはずです。
  イランは、米軍枠組みであろうが欧州海軍であろうが、イランの鼻先のホルムズ海峡に他国海軍が作戦展開すること自体「認めない」と言っています。しかし、余程の理屈が立たない限り拿捕はできないでしょう。先日のイラン革命防衛隊による英国タンカーの拿捕は、ジブラルタル海峡でイランタンカーが英国に拿捕された報復ですからね。それに加えて、米国枠組みと英国提唱の欧州海軍では立て付けが違います。イランにとって、米国は仇敵。過去の経緯もありますが、それはさて置いても、イランなりに遵守してきた核合意から米国は一方的に離脱。今回の緊迫の火種を作りました。他方、英独仏は核合意の枠組みを何とか維持・復帰させようと、これまでも米国離脱及び経済制裁のイランへの影響を抑えようと努力してきたし、イランもそれに頼り、甘えてきました。イランも核合意の核濃縮の上限越えをするような、悔し紛れの火遊び的な瀬戸際政策を取ったりしますが、英独仏のこれまでの努力は分かっています。英国提唱の欧州海軍による護衛には、イランは手を出さないと思います。
  英国に続きましょう。英国は日本と同様に米国とは特別な関係にありますが、今回は米国に「右に倣え」していません。イランに対しても、「核合意に戻れ」と言うべきことを言っています。ジブラルタルでのイラン国籍タンカーの拿捕も、それが密輸だからです。そして、自国籍商船は断固として自ら守る姿勢を見せました。米国枠組みによらない欧州海軍案を提唱しています。大したもんじゃないですか。日本が英国に同調すれば、英国も百万力。欧州海軍構想も独仏の参加を含めガゼン現実味を帯びるでしょう。

(了)


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