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2019/09/10

マチス元米国防長官「米国は香港の側に立て」

マチス元米国防長官「米国は香港の側に立て」

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Former U.S. Secretary of Defense General Jim Mattis speaks at a Reuters Newsmaker event in New York, September 9, 2019.  (2019年9月9日付VOA記事「Former Pentagon Chief Mattis: US Should Side With Hong Kong Protesters」より)

  久々に衆目の前に立ったマチス元米国防長官が、「香港問題は内政問題にあらず。米国は、中国政府に人権の尊重を求める香港の人々の側に立つべし。」と発言したニュースが話題になっています。
(2019年9月9日付VOA記事「Former Pentagon Chief Mattis: US Should Side With Hong Kong Protesters」より)

<状況>
① マチス元米国防長官は、9月9日(月)のロイター社のイベントにて、香港の反政府デモを念頭に「人権のために立ち上がった人々に対し、米国はそばに寄り添って立つべきであり、少なくともモラル上の支持を与えるべきだ。」と述べた。

② 中国は、香港問題に対してデモ側の暴動行為を糾弾し、米英がデモを扇動していると訴えている。同氏が「これは(香港問題)は国内問題ではない。」と述べたことは、中国政府を刺激することになりそうだ。

③ マチス氏は、中国政府が進めようとしている逃亡犯条例改正案は、香港が中国に返還された際の「一国二制度」という原則に違反している、と非難している。

④ トランプ大統領は、デモ参加者を「暴徒」と表現したことがある一方、中国政府に人道にもとる対応を慎むよう求め、もし徹底弾圧のようなことがあれば米中相互にダメージのある貿易問題を沈静化する努力は非常に困難になる、と釘を刺している。

⑤ 逃亡犯条例改正案は、数ヶ月に渡る反対運動による社会不安の末に、先週取り下げとなった。にも関わらず、香港中の道路や公共場所での大勢の反対デモは勢い衰えず。むしろ、中国政府への反感を示すより広い民主化運動に成長してきた。先週末のアメリカ領事館を囲んだデモでは、反対デモ参加者は米国に香港を平定・解放してくれとまで促す有り様。

⑥ マチス氏は次のように踏み込んだ発言をした。「米国は慎重に対応しなければならない。香港に米国陸軍第82空挺師団を降着させたいとは思わない。しかし、道徳的観点からはどうだろう?我々米国は香港の側に立つべきだと私は思う。」

<私見ながら>
◯ 今や公的立場を離れているので、今更マチス氏がいかなる発言をしようが、大きな外交上のインパクトはないでしょう。しかし、控えめながらも言うべきことは言うマチス氏らしい発言で、お変わりなくて嬉しい限りです。

◯ マチス氏の発言は、マチス氏が人権、人道主義、民主主義の信奉者という訳ではありません。彼は生粋の軍人で、米国に対する熱い愛国心と冷徹な現実主義に基づく分析から、「対中国」の戦い方として香港問題への米国の取るべき態度は「人権や民主化を標榜して中国政府に対抗しようとしている香港の人々の側に寄り添って立つべし」と主張しているのです。人権や民主化ひいては自由と独立という米国の建国の精神と同じなので、マチス氏は中国への強力な外交上のカードとしても、これは香港の反政府運動を支援するべきだ、と発言しているのです。その意味において、中国政府が香港問題は米英による陰謀のように非難しているのは、あながち的外れではないかもしれません。

◯ マチス氏はトランプ大統領の常識破りのキテレツな外交・安保政策に対し、持論を主張し軌道修正してもらい、時に妥協してきました。最後には、アフガン、イラク、シリア等からの撤収時期を巡ってトランプ大統領と対立し、事実上の更迭となりました。しかし、辞職後もトランプ政権の批判をしたり、内情をリークしたり暴露本を出したりせず、ただ黙ったまま静かに表舞台から去りました。Old soldiers never die, just fade away.(老兵は死なず、ただ消え去るのみ。) この辺が軍人ですね。私見ながら、今回の発言もトランプ政権への批判ではなく「エール」と理解しています。つくづく、惜しい人を米国政府は失ったものだと、虎を野に逸した思いがいたします。
(了)


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