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2019/11/11

香港デモは犠牲者出すも進化中。しかし中国軍の介入を懸念。 

  香港のデモは収まる気配なく、先週2019年11月5日(火)には警察との衝突の中、デモ参加の学生が死亡、一部の過激な市民が中国政府容認派議員に対する傷害事件も。警察側の過剰な対応への批判が強まる中、香港情勢は益々混迷が深まる模様。しかし、2014年の雨傘革命の失敗を教訓に、デモ戦術は進化。中国政府や香港政庁の各種締め付けを掻い潜り、あの手この手で捕まらずに強靭に対抗中。しかし、私見ながら、中国政府はいつまでも黙って待ってはいない、と人民解放軍による介入を懸念しています。
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June 9 demonstration, at Arsenal Street, capturing Hennessy Road, Admiralty. 
(ウィキペディア「2019年香港民主化デモ」より)

<状況> まずは状況から。
(2019年11月9日付VOA記事「Protests Expected at Hong Kong Shopping Malls One Week After Violent Clash」参照)
① 香港の反政府デモは収まる気配なく、先週も市内の各所でデモがあったが、一部の過激な市民が中国政府容認派議員に対してナイフで切りつけ、議員の耳を噛みちぎるなど事件も起き、デモと警察と衝突が各所で生起。そんな中、デモ参加者と見られる学生が重体で見つかり、病院で死亡、6月以来の反政府運動で初の犠牲者が出た。

② 11月9日(土)に香港政庁の直近にあるタマラ公園にて、犠牲者となった学生の死去を悼む夕べが営まれ、何千もの多くの市民が参列し、静かに追悼の誠を捧げた。

③ 香港警察は、会見にて学生の死亡への関与を全面否定。学生は建物から誤って落下したものと見られ、そこに警察は立ち入っていなかった旨声明。しかし、市民の反発や疑念は根強く、追悼の夕べをよそに「報復」を言明する者、月曜からのストを呼びかける者、各所でデモやバリケードを築く者をはじめ、早くも警察との衝突なども散見された。
  (※11月11日現在、VOA記事にはないが、今朝ほど警官が学生に発砲して重体、という事件が発生。状況は急変するかも…)

<私見ながら>
◯ 進化によって生き延びる香港デモ
  香港の反政府デモは、初の犠牲者を出してしまったことで益々混迷しそうです。実は、私はつい最近まで香港デモは早晩収まるだろうと、タカをくくっていました。2014年の雨傘デモの際の収まり方と同様、デモの過激化と長期化で市民の心が逐次デモから離反し、デモ長期化で香港のそもそもの経済活動が停滞し、中心人物達も中国政府と香港政庁にうまく押さえ込まれて終息していくのだろう、と思っていたのです。
  ところが、香港のデモは2014年の雨傘革命の教訓に学び、良い意味で「モグラ叩き」のように神出鬼没のデモ戦術に進化を遂げています。優秀な香港警察の一枚も二枚も上手をいき、官憲に捕まらず、AIの顔認証カメラにも認識されず、各種システムやデジタル的な痕跡からの追跡をも免がれ、今のところ香港警察を翻弄して反政府デモをPRした上で逃げ切るしたたかさを誇っています。

  では、何を学んで如何に進化したか?2014年の雨傘革命の際、香港の中心部にバリケードを築き長期間占拠したこと、デモは公然たる中心人物の指示で動いていたこと、デモ参加者は中国政府による各種システムや電子情報的な追跡で個人が特定されたこと、の3点で綻びを生じました。  
  香港経済中枢の長期にわたる占拠は市民の離反を生み、デモの首謀者が公然とアジったりしたことでデモの中心人物が逮捕されてデモの支柱が欠け、更にデモ参加を中国政府に特定された市民は様々な個人特定の報復・妨害に会いました。
  これら3点に学んで、まず、特定地の長期占拠を辞め、香港の英雄ブルース・リーの「水のように変幻自在にあれ」という名言を肝に銘じ、デモの仕方も定型なく神出鬼没かつ変幻自在に変えました。
  次いで、デモには特定の中心人物はなく、指揮命令系統なし。割と穏健派も参加できるデモもあれば、勇武派と言われる一部過激な攻撃・襲撃をする一派まで、参加形態もいろいろ。雨傘革命の当時の中心人物も姿を現わしますが、彼らは指導者ではない。あれ?これって「踊る大捜査戦:レインボーブリッジを封鎖せよ!」で見ませんでした?テロ的な犯罪があちこちで起きる一連の事件、この犯人たちには指揮命令系統のピラミッドなんかない、水平的な組織、いやそもそも組織がないのかも。そんな、誰にも命令されず、ただ自分の考えで神出鬼没、変幻自在な事件が起きるという話でした。もはやプロファイリングや捜査による犯行組織の次の行動の読みや犯人像の絞り込みなどができない世界。あれを思い出しましたよ。
  そして第3に、中国政府顔負けの国家主導ハッカーばりの電脳化を遂げ、中国政府にトレースされないよう情報伝達を工夫。警察の行動の情報共有やいつどこで如何なるデモ戦術をするか、参加者間で意見交換するなど、あの手この手を駆使。世界に冠たるサイバー攻撃能力を有する中国政府をもってしても手を焼くネットワークを構築しています。更に現場では、手信号で前進、攻撃、退避、催涙弾処理などを伝達したり現場に必要な物資の調達・配給をしたり。
  香港デモは、このように強靭にしてしなやかなデモ戦術に進化し、市民に離反されず一蓮托生となった息の長い戦いを継続しています。全く、素晴らしい進化を遂げ、勇敢に戦う香港市民。心から応援したいと思います。

◯ 香港デモの展望: 私見ながら中国政府の軍による介入を懸念!
  進化しつつある香港デモに、今後如何なる展望が考えられるでしょうか。

  望ましくは、この香港市民の勇戦敢闘を国際社会がバックアップし、中国政府の弾圧・鎮圧を思い留まらせ、民主化要求を中国政府に飲ませること。
  しかし、このブログを書いている11月11日現在で、デモと警察の衝突で警官が取り押さえようとした学生に発砲し学生は重体、という事件が起きました。

  私見ながら、最大の懸念は「もはや香港警察では抑えられない」と中国政府が香港警察を見切り、人民解放軍の奇襲的・圧倒的な介入によって香港を戒厳令下に置くことです。勿論、国際社会から非難されるでしょうが、それを中国政府が恐れるか?「否」という話だと思います。中国政府にとって、香港問題は中国の内政問題、死活的国益です。国際的非難を恐れて、香港の市民に民主化の譲歩するか?ここで譲歩したら、台湾問題は勿論のこと、中国のあちこちで市民の反抗が始まるかもしれない。中国政府=中国共産党一党支配の国是として、あり得ない。残酷なようですが、現実的にそれが中国の本質です。

  従って、香港市民の皆さんには、デモは過激にならず穏健に細々と息長く、国際社会へのPRを重視して、慎重に頑張ってもらいたいと思います。中国政府をなめても信用してもいかん。まだ香港政庁を相手にしている方がなんぼも「まし」ですから。
  本当に、気をつけてね・・・・。

(了)

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