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2019/12/07

イラン経済断末魔。遂に軟化か?

イラン経済断末魔。遂に軟化か?

イランでは、ガソリン値上げに伴って各地で過激な反政府デモが起き、政府は抑え込みに大わらわ。透けて見えるのは、トランプ米大統領が始めた対イラン経済制裁によって、イラン経済はもうかなり逼迫した状況になってきていることです。そんな中、12月3日、ロウハニ大統領の訪日打診があった模様。これまで強気一辺倒だったイラン政府の中で、日本に制裁解除の仲介を求めてきている模様。変化の兆しが見えてきました。
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In this photo released by the official website of the Office of the Iranian Presidency, President Hassan Rouhani speaks in a meeting in Tehran, Iran, Dec. 4, 2019.

<状況>
①イラン政府のガソリン3倍値上げ決定に反発し、イランでは極めて稀な反政府デモが2019年11月15日頃からイラン各地で始まった。これに対する警察や革命防衛隊による実弾射撃を含む暴力的かつ苛烈な鎮圧ぶりがネットで伝わり、反政府デモは更に各地に飛び火。イラン政府はネットを8日間遮断する措置を取り、更に鎮圧作戦を強化し、鎮火に大わらわ状態。

②国際人権団体アムネスティー・インターナショナルや外国メディアがイラン政府のデモ鎮圧の残虐さを報じる中、イラン政府はそれら報道を否定し「外国勢力にそそのかされた反政府分子の仕業」と説明し、政府の暴徒鎮圧対応を正当化。

③ しかし、そんなイランにも変化の兆しが見え始めた。政府は死者が出ていることを認めるとともに、ロウハニ大統領は12月4日のテレビ演説の中で、米国が制裁を解くなら米国との交渉を始める可能性を示唆する旨の発言をした。また、同じ4日の日本のマスコミ各社が報道したところでは、ロウハニ大統領は12月中旬に訪日を熱望している模様。トランプ大統領との仲介を安倍首相に依頼する可能性も。

④そんな折も折、一部報道では、トランプ米大統領は侵略的な行動を示す兆候があるイランの脅威に対抗するため、中東に1万4千もの兵力と艦艇等の増派を検討している模様。

<私見ながら>
◯ よもや、こんな状況になっていようとは、思いもよりませんでした。
イラン革命以来、やらせ的な反米デモは有っても反政府デモ自体が滅多にないイランにおいてこうなったということは、市民の生活はいよいよギリギリの状態だということを示す証左ですね。経済逼迫の原因は、明らかに米国の対イラン経済制裁の影響です。米国は、イランが核合意の傘に隠れて核開発を進めていると見ており、核合意から離脱し、イランに対する徹底的な経済制裁を課しています。イランの稼ぎ頭の原油輸出をターゲットに、相手国に対して米国は制裁を課す(その国は米国との貿易ができなくなる)ので、イランの原油は輸出先を失っています。その他の貿易も米国の制裁が怖くて相手がいない状態。経済的な鎖国を強いている状態です。国家財政の主力財源を失って、イラン経済は自転車操業。もはや市民生活がギリギリのところに来ている由縁です。
◯ 今回の反政府デモは、元々は突然のガソリン値上げに対する反発でした。しかし、政府の鎮圧の仕方が実弾射撃を含むあまりの残虐さだったため、これをネットで見た各地の市民に飛び火。鎮圧側の警察や革命防衛隊の暴力への反発からデモ側も過激化し、鎮圧側は輪をかけて暴力的に鎮圧する。‥‥この繰り返しで、かつてないほどの国家的騒擾状態になっています。
これまでイランは、宗教的国家元首とも言えるハメネイ師は神聖不可侵の存在の筈でしたが、今回のデモではロウハニ首相のみならずハメネイ師まで糾弾の対象になっていることにはビックリ。遂に、市民の声なき声が噴出した状態、といったところでしょうか。

◯ これまでイラン政府は、米国とはいかなる交渉もするつもりはないという強硬姿勢でした。核合意への復帰を求めて、フランスをはじめ核合意締結国がイランに外交アプローチをしましたが、イランの姿勢は強硬一辺倒でした。
そんなイランに変化の兆しが見られ、頑な姿勢から柔軟な姿勢に切り替えたかも知れないのは吉報ですね。しかも、安倍さんにトランプとの仲介を求めているかも知れない。‥‥いい展開ですね。今や、世界広しとはいえトランプとサシで親しく懇談できる首脳は安倍さんしかいません。イランも四面楚歌の中、日本だけは古くからの友人として良好な関係があります。これまた世界広しとは言えハメネイ師と会談したのは安倍さんだけです。安倍さんのお父さんが外相の頃、ハメネイ師は会っていることもあり、一定の信頼を得ています。

◯ 日本としては、丁度ペルシャ湾・ホルムズ海峡の海路の安全航行のための海自艦艇中東派遣を控え、脅威の素であるイランと信頼関係を確保することは必要条件です。ロウハニ・安倍会談を、是非とも成功裡に進めてもらいたいですね。目標は、イランにも一定の譲歩を約束させ、核開発をしない前提で核合意へ復帰させる。他方、安倍さんはトランプに米国の対イラン経済制裁を解くことを約束させねばならないでしょう。大体揉めるのは、どっちが先か問題なんですよね。世界のリーダー達ともあろう者が子供の喧嘩状態ですよ。だったら、「いっせーのせ」というのはどうでしょう。期日を決めてお互いに経済制裁解除、核合意復帰。これができたら、トランプも危機を回避した外交指導力を大統領選挙でピーアールできるのに。‥‥まぁ、現実はそう上手くいかないでしょうけどね。

(了)

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