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2020/01/08

イラン司令官殺害 トランプの言い分

イラン司令官殺害 トランプの言い分
 
<要旨>
米国・イラン情勢は2020年年頭のトランプ米大統領の命令によるイラン司令官殺害事案で一挙に緊迫しています。ほとんどの報道が、今回のイラン司令官殺害事案をトランプ米大統領の「暴挙」と捉えており、これが情勢緊迫を引き起こしている、と指摘。確かに半分当たっており、情勢緊迫は事実。しかしながら、イランがシーア派過激派組織を使ってイラクやシリア等で暗躍し、市民の弾圧や米軍や米国人へのテロ行為をしていることも事実。「トランプ大統領にもそれなりの言い分があっての殺害であったのだ」という見方をご紹介します。(決してトランプを支持していませんし、むしろアンチですが、ことイランに関してはイランにも大いに非がある、という話です。)
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Iranian mourners gather during the final stage of funeral processions for slain top general Qassem Soleimani, in his hometown Kerman, Jan. 7, 2020. (2020年1月7日付VOA記事「Some Iranians Under Pressure for Diverging from Tehran's Messaging on Soleimani」より)

<イラン及びスレイマニ司令官がイラクやシリアでしていたこと>
イラク戦争後のサダム・フセインなきイラク政府は、半ば米国(米軍)の半占領下でアメリカ型民主主義を与えられた。イラクには元々シーア派が60~65%、スンニー派が30~35%、ほかキリスト教諸派1%以下。イランは国策としてイラクのシーア派をバックアップし、民主選挙によるシーア派勢力を広げることでイランへの影響力を強めた。いろいろ経緯はあったが、今や事実上シーア派政権であり、イランの影響力の色濃いイラク政府になっている。米国に様々な下支えをしてもらいながらも、国民意識は基本的に親イラン・反米。トランプが「早くイラク撤退をしたい」というと米国民に一定の支持がある所以である。
今回殺害されたスレイマニ司令官とは、イラン革命防衛隊の特殊工作部隊=コッズ部隊の司令官であり、その主たる任務はイラク国内でのシーア派を動員した反米デモ、米軍や米国人を狙ったテロ行為、更に反イラン・反シーア派に対する民兵を使った弾圧、等であった。昨年末(2019年12月27日)にも米軍施設への攻撃により米軍人と米国人数名が死亡した事案も同司令官の命令によるもの。これが今回トランプ米大統領に作戦へのgoをかけさせた直接要因となった。
イラクでは、イランの傀儡政権化した政府に対する一般国民の反感も強く、2019年10月の首都バグダッドでの反政府デモは、ほぼ反イランデモの様相であった。この際、スレイマニ司令官の指示の下、本来はシーア派の民兵であったPMF(人民動引隊)なる部隊は正規の治安部隊としてデモに対して実弾を浴びせて弾圧している。イラク国内で反シーア・反イランの流れが起きると、イランとしてはたまらない。スレイマニ司令官の指示で、この国民のやり場のない義憤を「反米」に向ける策をとる。その一環が昨年末の米軍基地への攻撃であった。ちなみに、スレイマニ司令官殺害の後のイラク国内での反米デモは、ほとんどがイランのコッズ部隊が工作し、手先となっているPMFなどのシーア派民兵がシーア派を動員して行なっている。日本でニュース画像も出た駐イラク米国大使館への反米デモも彼らが画策した。
このように、日本のマスコミが報じていない裏事情がイラク内にあり、米国民が標的され犠牲となった事案があり、今後も狙われる情報を得ている米軍が、それを画策し命令を出している張本人を標的にしたのが今回の司令官殺害である。
こうしたことはISやアルカイダとの戦いでも、米国はこれまでもずっとやってきた。日本人からすれば、極めて子供じみた話に見えるが、「やられたらやり返す」という話。
いつもと違う要因は、相手がイランであること。世界の石油の大動脈であるホルムズ海峡を握っている国イラン、国際的な枠組みを逸脱してでも核兵器の開発を続ける国イラン、中東各地のシーア派民兵を使ってアラブ各国やイスラエルにテロ工作を続ける国イラン。普通は国際情勢へのインパクトを考えて、今回のようなイランの司令官殺害は二の足を踏む。しかし、トランプはgoをかけた。決め手は米国民の命を奪う攻撃行為。

そういう話なのです。この話は、是非北朝鮮の金正恩も参考にしていただきたい。
 
(了)

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